VRIO分析とは?やり方と手順をわかりやすく解説します

VRIO分析は、企業が持つ内部要因が、どのくらい強みとなる可能性があるかをチェックするためのフレームワークです。経営学者のジェイ・B・バーニー氏によって提唱されました。

経営層や企画担当者が「自社の内部要因の強みを活かした戦略を構築したい」と思った際に、その前提となる、自社が持つ内部要因を評価するプロセスで活用されています。

この記事では、VRIO分析のやり方と手順について、わかりやすく解説していきます。

VRIO分析とは?

VRIO分析とは、企業が持つ内部要因を評価するためのフレームワークです。リソース・ベースト・ビュー(RBV)の考え方に基づいています。

リソース・ベースト・ビュー(RBV)とは、企業が良い経営資源を持つことが、企業を成功に導くための競争優位の源泉であるとする考え方のことを指します。経営戦略論では、マイケル・ポーター氏のポジショニング論(外部要因である市場の分析に基づいて良いポジションを取ることが、企業の競争優位の源泉となるという理論)とは対となる考え方です。

VRIO分析では、企業の内部要因は、4つの要素で評価できるとしています。4つの要素とは、経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)、組織(Organization)で、これらの要素を表す単語の頭文字をとって、VRIO(ブリオ)と呼びます。

VRIO分析では、これらの4つの要素の下に行けば行くほど、競争優位性を構築することに寄与する内部要因だと考えられています。

VRIO分析の目的

VRIO分析の目的は、大きく二つあります。

一つ目の目的は、自社の内部要因を評価するためです。VRIO分析の各要素を洗い出すことで、自社の内部要因がどのくらい強みとなる可能性があるかをチェックすることができます。

二つ目の目的は、内部要因の競争優位性を維持・向上させるためです。競争優位となる要素を明らかにし、競争優位性を維持・向上させるために、どのような戦略や対策をとるべきかを考える際に役に立ちます。

VRIO分析の4つの要素

VRIO分析の4つの要素、経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)、組織(Organization)について説明します。

経済価値(Value)

まず、経済価値(Value)について説明します。経済価値とは、分析対象となる自社の内部要因に対し、顧客が認識している価値を指します。その内部要因を保有している場合と保有していない場合を比較し、顧客の満足度に繋がっているか、企業の売上に貢献しているかどうかで、価値の有無を判断します。また、顧客の満足度に繋がっている価値の源泉が何かについては、詳しくヒアリングして確認するようにしましょう。

希少性(Rarity)

次に、希少性(Rarity)について説明します。希少性とは、分析対象となる自社の内部要因が、市場において希少性があるものかどうかを指します。他社と比較した場合、他社も保有している内部要因であれば希少性は無く(低い)、他社が保有していない内部要因であれば希少性は有る(高い)と判断します。

模倣困難性(Imitability)

次に、模倣困難性(Imitability)について説明します。模倣困難性とは、分析対象となる自社の内部要因を他社が模倣する際に、獲得コスト、あるいは開発コストが高く付くか、あるいはコストが低く模倣しやすいかどうかを指します。模倣するためのコストが高く、採算に見合わない場合、模倣困難性が有ると判断できます。

バーニー氏は、模倣困難性を高める要素として、以下の4つを挙げています。

  • 歴史的条件(unique historical conditions)
  • 因果関係不明性(causal ambiguity)
  • 社会的複雑性(social complexity)
  • 特許(patent)

歴史的条件とは、老舗である、○○の発祥の店であるなど、歴史そのものが価値として成立している場合を指します。

因果関係不明性とは、強みとなっている内部要因を、どのように獲得したのかがわからず、模倣しようにも再現することが難しいことを指します。

社会的複雑性とは、強みとなっている内部要因が、企業内で内製化できるものではなく、模倣しようにも再現することが難しいことを指します。例えば、顧客から、既にその企業特有のものと認識されているブランドイメージなどが挙げられます。

特許に関しては、法律によって守られ、特許を侵害しないで模倣するのが難しい状態をつくることができる要素です。ただし、特許がきれてしまうと、簡単に模倣することができてしまう可能性も高いため、注意が必要です。

組織(Organization)

最後に、組織(Organization)について説明します。組織とは、分析対象となる自社の内部要因を有効に活用できる組織体制が構築できているのかどうかの有無を指します。再現性のある状態で内部要因の強みを活用できる仕組みが構築できているか、もしくは、一部の人しか活用できず、再現性の無い状態かで判断します。

経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)があったとしても、自社の内部要因を有効に活用できる組織体制が構築できていなければ、持続的な競争優位性にはつながらず、宝の持ち腐れになってしまう可能性があるので注意しましょう。

VRIO分析のやり方と手順

VRIO分析のやり方と手順について説明します。VRIO分析の手順は5つのステップに分解することができます。順に見ていきましょう。

内部要因を洗い出す

VRIO分析では、はじめに内部要因の洗い出しを行います。内部要因の洗い出すための方法として、バリューチェーンを活用する方法があります。バリューチェーンとは、製品やサービスが顧客の元に届くまでに発生する、様々な事業活動の流れのことを指します。

企業内部の組織は、おおよそ、このバリューチェーンに沿って構成されていると思います。

例えば、小売業であれば、

  • 研究開発
  • マーケティング
  • 販売
  • 物流
  • アフターサービス

などで部門が構成されています。

また、近年増加している、サブスクリプション型のサービスを提供する企業であれば、Salesforce社の取り組みに倣い、

  • マーケティング
  • インサイドセールス
  • 営業
  • カスタマーサクセス
  • 開発

などで部門が構成されている企業も多いと思います。

バリューチェーンに沿って、自社を構成している各部門を洗い出し、それらの内部要因をそれぞれV→R→I→Oの順番で分析していく、という手順になります。

VRIOの各要素に当てはめて分析する

次に、洗い出した内部要因を、VRIOの各要素に当てはめて分析していきます。分析の実施方法には一覧表で分析する方法と、フローチャートで分析する方法の2パターンがあります。

一覧表で分析する方法は、規模の大きい戦略を構築する際に、内部要因を俯瞰して確認したい場合などに有効ですが、一つの内部要因を分析するのに手間と時間が掛かってしまいます。4つ全てにYESがついた内部要因に関しては、持続的な強みを持っており、競争優位性がある状態だと言えます。

一方、フローチャートで分析する方法では、NOが出た時点でその経営資源の分析をそこでストップさせて次の内部要因の分析に移るため、複数の内部要因をよりスピーディーに分析したい時に有用です。

内部要因の強みと弱みを明らかにする

洗い出した内部要因について、VRIOの各要素での分析を終えたら、どの内部要因に競争優位性が有るのか(もしくは、競争優位性が無いのか)を見極めていきましょう。

自社が保有する内部要因の強みが明確になったら、市場において、その強みをどのように活かすかを考えていきましょう。また、競争優位性が築けず、弱みとなっている内部要因が明確になったら、どのようにテコ入れするか(もしくは、手放すか)についても考える必要があります。

外部要因(市場の機会と脅威)と照らし合わせる

今後とるべき戦略を検討するにあたっては、企業経営を取り巻く外部要因にも目を向けて、明らかになった自社の内部要因の強みと弱みと照らし合わせていく必要があります。

外部要因を分析するにあたっては、SWOT分析やPEST分析、3C分析といったフレームワークも活用すると便利です。ここでは、SWOT分析と、クロスSWOT分析を活用する例をご紹介します。

クロスSWOT分析とは、SWOT分析で集めた情報(VRIO分析の結果は、SWOTの内部要因の強みと弱みに分類されます)を元に、それぞれの要因を組み合わせて解釈していくためのフレームワークです。戦略を多面的に捉え、検討していくことができます。

今後とるべき戦略と実行計画を検討する

外部要因、内部要因を把握し、クロスSWOT分析まで行うことができれば、今後とるべき戦略の方向性が絞り込めると思います。あとは、これからとるべき戦略を決め、実行計画に落とし込みましょう。

自社の強みを活かして、市場の新しい機会を勝ち取るための戦略を検討していく、または、市場の変化に対応できなくなるなど、最悪の状況を避けるために、今のうちに自社の弱みを補填するための対策を優先する、といった、様々な角度から戦略を検討していくことが重要です。また、とるべき戦略が決まったら、具体的にどのように戦略を進めていくのか、実行計画を検討していきましょう。

事例

VRIO分析の4つの要素、経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)、組織(Organization)を最大限にまで高め、他社の追随を許さないほどに成長した企業として、ECサイト、Webサービス会社の大手、Amazonの例を紹介します。

Amazonは、実店舗の数十倍、数百倍にも及ぶ商品の品揃えと、レコメンドエンジンによる的確な商品のお勧め、また、注文した当日(もしくは翌日)に商品が届くクイックデリバリーシステムを構築し、圧倒的な経済価値(Value)と希少性(Rarity)を構築しています。また、それらの仕組みを後発の企業が真似するためには、巨額の物流・ITへの投資が必要となるため、模倣困難性(Imitability)も非常に高いです。それらの仕組みを実現している組織(Organization)も、極限まで効率化・低コスト化されており、他社とは一線を画しています。

Amazonの強さは、「インターネットの普及」という外部要因のトレンドに乗ることができたからだけでなく、内部要因の4つの要素へ投資をし続け、他社が追随できない状況を構築できていることに秘訣があるといえます。

コツ・留意点

自社が保有する内部要因の強み・弱みが明確になったら、市場において競争優位性を構築できる組み合わせを考えることが重要です。また、内部要因の強みを維持・向上させ続けるためには、継続した投資を行い、独自の競争優位性になるまで磨き続けることも大切です。

また、変化の激しい業界では、あまり既存の内部要因にこだわりすぎると、足もとをすくわれる可能性もありますので、注意しておく必要があります。内部要因を強みと呼べるまでに育てるにはある程度の時間がかかるため、あらかじめ市場の変化を予測しておくことも大切です。

優れた内部要因を保有しているかという視点だけではなく、それを自社の戦略にどのように活かすかという視点を持っておきましょう。

さいごに

本記事では、VRIO分析のやり方と手順について解説しました。実際にVRIO分析を手がける際には、ぜひ、ご参考いただければと思います。

私たちは、今回ご紹介したVRIO分析だけでなく、マーケティングのフレームワークを活用した事業環境分析や、マーケティングの業務全般について、お手伝いをしております。

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