「言いたいことはあるのに、いざ話すと長くなってしまう」
「上司から“要点は何?”と突っ込まれてしまう」
「営業先で説明しても、相手の反応が薄い」
──そんな経験、ありませんか?
ビジネスの現場では 限られた時間で、わかりやすく、相手を納得させるスキルが欠かせません。
そこで役立つのが、誰でも使える3つのフレームワーク。
・PREP法:結論から話して説得力を高める
・SDS法:要点を整理して端的に伝える
・DESC法:対立を建設的に解決する
本記事では、この3つのフレームワークを図解・例文つきで分かりやすく解説します。
あなたが営業で「提案を通したい」ときも、研修で「理解を深めてもらいたい」ときも、きっと役立つはずです。
目次
まずは比較表で全体像を理解
「この場面、どう説明すればいいんだろう…?」
営業先で提案をするとき、上司に成果を報告するとき、あるいは顧客と条件交渉をするとき。
それぞれの場面で必要とされる“伝え方”は違います。
そんなときに便利なのが、状況に応じて使い分けられる3つのフレームワークです。
まずは全体像を比較してみましょう。
フレームワーク | 構成 | 得意シーン | メリット |
---|---|---|---|
PREP法 | 結論 → 理由 → 具体例 → 結論 | プレゼン・営業トーク | 説得力が増す、結論がぶれない |
SDS法 | 要約 → 詳細 → 要約 | 報告・研修・解説 | 端的に整理でき、理解が早い |
DESC法 | 状況 → 感情 → 要望 → 結果 | 交渉・クレーム対応 | 対立を建設的に解決できる |
たとえば、
「相手を納得させたい」ときは PREP法
「短時間で分かりやすく報告したい」ときは SDS法
「衝突を避けつつ自分の意見を伝えたい」ときは DESC法
といった具合に、場面ごとに“型”を使い分けることで、伝え方のストレスがぐっと減ります。
PREP法とは?結論から話す基本フレームワーク
「提案はしたのに、なかなか相手に響かない…」
営業や会議で、そんな経験はありませんか?
多くの場合、理由はシンプルで、“話の順番” がバラバラになっているからです。
そこで役立つのがPREP法。
結論から話し始めることで、聞き手は最初にゴールをイメージでき、その後の理由や事例もすんなり理解できるようになります。
PREP法の構成
・Point(結論):「最初に答えを示す」
・Reason(理由):「なぜそう言えるのかを説明」
・Example(具体例):「事例やデータで裏づけ」
・Point(再度結論):「もう一度、結論を強調」
実務での使用例
・営業トーク
「本サービスを導入すべきです(結論)。なぜなら採用単価を30%削減できるからです(理由)。実際、A社では導入3ヶ月で◯◯の成果が出ました(具体例)。したがって導入をご検討ください(再結論)。」
・社内報告
「今月のキャンペーンは成功しました(結論)。クリック率が前月比150%に伸びたからです(理由)。特に新規セグメントで成果が出ています(例)。以上のことから、来月も同様の施策を継続すべきです(結論)。」
PREP法は「提案を通したい」「短時間で説得したい」ときの最強の型です。
「回りくどい説明で失敗した経験がある人」ほど、その効果を実感できるでしょう。
SDS法とは?端的に全体像を伝える手法
「上司に報告したら、“結局どうなったの?”と聞かれてしまった…」
「会議で詳細を説明したのに、肝心なポイントが伝わっていなかった…」
そんな経験はありませんか?
これは多くの場合、相手が“全体像”をつかめていないことが原因です。
そんなときに役立つのがSDS法。
最初に要約を伝えることで聞き手が全体像を把握し、その後に詳細を補足する流れで理解をスムーズにできます。
SDS法の構成
・Summary(要約):「全体像をまず提示」
・Detail(詳細):「必要な情報を補足」
・Summary(まとめ):「最後に再び要約」
実務での使用例
・マーケティング会議の報告
「今回の施策は成果が出ています(要約)。具体的にはリード数が前年比120%、商談数が150%に増加しました(詳細)。以上の結果から、来期も施策を継続すべきです(まとめ)。」
・新人研修での説明
「今日は“リード獲得の全体像”を解説します(要約)。広告、SEO、展示会の3つが主なチャネルで、それぞれ特徴があります(詳細)。つまり、どのチャネルを選ぶかが成果を左右します(まとめ)。」
SDS法は「報告や研修で端的に伝えたいとき」に特に有効です。
聞き手が“全体像”を理解してから話を聞けるので、「結局どういうこと?」と聞き返されるストレスを大きく減らせます。
DESC法とは?対立や交渉に使えるアサーション技法
「取引先に無理な要望をされて、強く言い返せなかった…」
「会議で意見を主張したら、角が立ってしまった…」
「部下に改善点を伝えたいのに、相手を萎縮させてしまった…」
──そんな経験はありませんか?
コミュニケーションの難しさは、“言いたいことはあるのに、どう伝えるか” に尽きます。
そこで役立つのが DESC法。
攻撃的にならず、かといって我慢もしすぎず、建設的に自分の意見を伝えるためのフレームワークです。
DESC法の構成
・Describe(状況説明):事実を冷静に伝える
・Express(感情表現):自分の気持ちを率直に伝える
・Specify(要望):相手にどうしてほしいかを具体的に伝える
・Consequence(結果):そうすればどうなるか、良い未来を示す
実務での使用例
・顧客との交渉
「追加の修正依頼が多く発生しています(状況)。私たちの工数がひっ迫していて対応が難しいのが正直なところです(感情)。修正回数を月2回に絞っていただけますか(要望)。そうすればスケジュールを守りつつ高品質な成果をお届けできます(結果)。」
・社内での意見表明
「会議中に話を遮られることがあります(状況)。私は最後まで意見を言いたいので困っています(感情)。発言が終わるまで待っていただけますか(要望)。そうしていただければ議論がより建設的になります(結果)。」
DESC法は「対立を避けたいけれど、言うべきことは言いたい」ときに力を発揮します。
交渉・クレーム対応・チーム内の人間関係──どんな場面でも、冷静さと誠実さを両立した伝え方ができるのが魅力です。
3つのフレームワークの使い分け方
「同じ話し方で全部の場面に対応できる」
──そう思っていませんか?
実は、営業・報告・交渉などシーンごとに“効果的な型”は違います。
だからこそ、3つのフレームワークを使い分けることが大切です。
PREP法:説得が必要な「営業・プレゼン」
新サービスを提案するとき、時間のない相手にダラダラ説明しても響きません。
そんなときは PREP法。最初に結論を出してしまえば、聞き手は「なるほど、何を言いたいのか」がすぐに分かり、最後まで耳を傾けてくれます。
SDS法:正確さ重視の「報告・研修」
上司やチームに成果を報告するとき、最初から細かい数字を並べると「で、結論は?」となりがちです。
ここで使えるのが SDS法。先に全体像を伝えることで、相手は安心して詳細を聞け、理解も早まります。研修や教育の場でも効果的です。
DESC法:感情や対立を扱う「交渉・人間関係」
クライアントとの条件交渉や、チーム内での意見の衝突。感情的にぶつかってしまうと関係性を壊しかねません。
そんなときに役立つのが DESC法。冷静に事実と感情を切り分けて伝えることで、対立を建設的な解決に変えられます。
このようにシーンごとにフレームワークを切り替えることで、「伝わらない」から「伝わる」へ。
結果として、プレゼンの説得力・報告の正確性・交渉のスムーズさが劇的に高まります。
実務で活用する際のコツと注意点
フレームワークを知ったからといって、すぐに“伝わる人”になれるわけではありません。
大事なのは、現場でどう使いこなすか。ちょっとした工夫で、相手の反応は大きく変わります。
一文を短くする
「えっと、つまり……」と自分でも迷いながら長い文を話してしまうと、説得力は一気に下がります。
一文は短く、結論をサッと出す。聞き手は“理解のしやすさ”で安心し、話に集中してくれます。
数字や事例を入れる
「効果がありました」と言うより「リード数が120%に増加しました」の方が相手は納得します。
数字は相手の頭にイメージを描かせる最強の材料。実務のエピソードとセットで使うと説得力が跳ね上がります。
相手の立場を意識する
自分が気持ちよく話すためにフレームワークを使うと、ただの“自己満足プレゼン”になりかねません。
「上司は結論を早く知りたい」「顧客はリスクを気にしている」──相手が求めている視点に合わせて初めて、型が生きてきます。
AI時代のポイント
生成AIを使えば文章は整います。でも、それだけでは“心”が伝わりません。
結論や要点をAIに整えてもらいつつ、最後の仕上げに“自分の感情”を添えることで差別化できます。
「私はこう感じた」「こうしたい」という一言があるだけで、相手は「この人の話だ」と受け止めてくれるのです。
フレームワークは万能ではありません。
大切なのは「型」+「数字や事例」+「相手視点」+「自分の感情」。
この4つを意識すれば、どんな場面でもあなたの言葉は相手に届きやすくなります。
FAQ(よくある質問)
Q1. PREP法とSDS法って、どう使い分ければいいですか?
A. 「相手を説得したい」ときはPREP法、「分かりやすく報告したい」ときはSDS法です。
例えば、営業提案ではPREP法で結論から入り、社内の施策報告ではSDS法で全体像を示す──これだけで相手の反応はガラッと変わります。
Q2. DESC法はクレーム対応以外でも役立ちますか?
A. もちろんです。むしろ「社内の人間関係」で一番使いやすいフレームワークです。
上司に要望を伝えるとき、部下にフィードバックするとき、チームメンバーと意見がぶつかったとき──感情的にならずに冷静に伝えられるので、摩擦を減らせます。
Q3. 3つとも覚えるのは大変そう…。最初はどれから始めればいいですか?
Q3. 3つとも覚えるのは大変そう…。最初はどれから始めればいいですか?
A. 実務で一番出番が多いのはPREP法です。営業、資料作成、稟議…あらゆるシーンで使えます。
SDS法とDESC法は、「報告」「交渉」といった特定シーンで覚えればOK。順番に慣れていけば十分です。
Q4. 実際に使ってみると“型にはめすぎ”って思われませんか?
A. 型をそのまま読むと不自然に感じられることもあります。
ポイントは 「自分の言葉」に置き換えること。
結論は短く、理由は数字や事例を交えて、感情は率直に──それだけで自然に聞こえます。
Q5. AIに文章を作ってもらっても大丈夫ですか?
A. 下書きや整理にAIを活用するのはおすすめです。
ただし最後は必ず自分で「結論」「要点」「感情」を補足してください。
人間らしい体験や思いを足すことで、聞き手の心に届く言葉になります。
まとめ
ビジネスの現場では、「伝え方ひとつ」で成果が変わります。
今回紹介した3つのフレームワークは、それぞれに得意な場面があります。
・PREP法:プレゼンや営業で「相手を説得したい」ときに。
・SDS法:上司やチームに「分かりやすく報告したい」ときに。
・DESC法:顧客や同僚と「対立を建設的に解決したい」ときに。
どれも特別なスキルは必要ありません。
大事なのは、場面ごとに型を思い出して、実際の会話に落とし込むこと。
「言いたいことが伝わらない」から「伝わる!」へ。
ほんの少し“話し方の型”を意識するだけで、あなたの言葉は相手の心に届きやすくなります。
明日のプレゼンや会議、交渉で、ぜひ試してみてください。
さいごに
「提案資料を作ったのに、“もっと数字で裏づけしてほしい”と突っ込まれた」
「せっかく良い施策なのに、稟議でうまく説明できずに却下されてしまった」
──そんな経験、ありませんか?
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