オンラインでの情報収集が当たり前になっている今、コンテンツマーケティングはほとんどの企業にとって興味・関心の高いマーケティング施策です。
それにも関わらず、多くの企業やマーケターがコンテンツマーケティングに挫折してしまいます。コンテンツマーケティングで成果をあげるためには長期的な取り組みが必要となりますが、それに伴って、多くの課題に直面する可能性が高いことが理由です。
本記事では、コンテンツマーケティングに挫折してしまう原因と、それらに対処するための効果的な対策について解説します。挫折の壁を乗り越え、コンテンツマーケティングを成功に導く鍵を見つけましょう。
目次
コンテンツマーケティングに挫折してしまう原因
魅力的なコンテンツを制作し、それを適切なターゲットに適切なタイミングで提供し続けることは容易ではありません。挫折しないためにも、まずはよくあるコンテンツマーケティングに挫折の原因について知っておきましょう。
目的・戦略が曖昧
コンテンツマーケティングに挫折してしまう原因の一つ目は、コンテンツマーケティングの目的や戦略が曖昧な状態に陥ってしまうケースです。なんとなくコンテンツ発信している、効果があると説明できない、続けるべきかやめるべきかの判断がつかない場合、目的や戦略が曖昧になっている可能性が高そうです。
コンテンツを作り続けるためには、時間も労力もお金もかかります。また、オンライン上では、検索競合の増加や検索エンジンのアルゴリズム変更なども頻繁に発生するため、せっかく狙ったキーワードで上位表示されるようになったとしても、その状態が長続きするとは限りません。
このような状況では、目的・戦略が曖昧だと徒労感ばかりが増してしまい、結果的に挫折してしまう可能性が高くなります。漠然とコンテンツを更新し続けている状態であれば、今一度、目的と戦略を見直しましょう。
改善すべき点がわからない
コンテンツマーケティングに挫折してしまう原因の二つ目は、改善すべき点がわからないという状態に陥ってしまうケースです。コンテンツマーケティングを行う目的や戦略が固まっているにも関わらず改善すべき点がわからない場合、コンテンツマーケティングの効果改善のために必要な指標の計測や分析ができていない可能性が高いです。
指標の計測や分析ができていなければ、KGIや KPIの設定も曖昧な状態のままになっている可能性があります。企業がコンテンツマーケティングに取り組む目的や戦略は様々なため、当然ながらKGIや KPIの設定方法にも様々な形があります。指標の計測と分析が可能な環境を整え、適切なKGIやKPIの設定ができなければ、指標の達成=目的の達成とはならずに徒労感ばかりが増してしまい、結果的に挫折してしまう可能性が高くなります。
社内理解が得られない
コンテンツマーケティングに挫折してしまう原因の三つ目は、社内理解が得られないという状態に陥ってしまうケースです。
「とりあえず、はじめてみよう」
このような比較的ゆるい社内合意のもとにコンテンツマーケティングをはじめる企業が多いということもあります。しかし後々には、社内理解を得なければならないとき(得られなければ撤退を迫られるとき)が訪れます。
社内理解を得るためには、
・目的・戦略の説明
・KGI・KPI・アクションプランの説明
・関係者への進捗報告
などに取り組まなくてはなりません。
社内理解が得られずにコンテンツマーケティングの取り組みから撤退せざるを得なくなった、というお話は、実際に多くの企業の担当者から聞いたことがあります。社内理解が得られていない(撤退を迫られる可能性がある)と感じる場合には、上記の取り組みに対する見直しが必要です。
コンテンツのネタ切れ
コンテンツマーケティングに挫折してしまう原因の四つ目は、コンテンツのネタ切れ状態に陥ってしまうケースです。
なかなかコンテンツの内容が思いつかず、コンテンツの更新頻度が少なくなってしまう人や、コンテンツの更新が止まったまま挫折してしまう人も多いというのが正直なところです。
ネタ切れになってしまう原因はいくつか考えられますが、多くの場合、情報収集の量と質を改善することでネタ切れを解消できます。
人手不足
コンテンツマーケティングに挫折してしまう原因の五つ目は、人手不足の状態に陥ってしまうケースです。コンテンツマーケティングには、コンテンツの作成だけでなく、ウェブサイトへの投稿、効果計測・分析、改善、競合コンテンツ分析、関係部署への連携など、さまざまな業務が付帯的に発生します。
コンテンツマーケティングに取り組む場合、これらの業務を継続して行う必要があり、人手と根気がいる作業となります。慢性的なリソース不足の状態では、徐々にコンテンツ配信のペースが落ちてしまい、せっかく集めた見込み客が離脱してしまう恐れがあります。
コンテンツマーケティングの体制づくりができていないと、コンテンツマーケティングの効果が得られないばかりか、コンテンツマーケティングに必要な取り組みを継続することができず、結果として挫折してしまう可能性もあります。
コンテンツマーケティングに挫折しないための対策
コンテンツマーケティングに挫折してしまう裏には、さまざまな理由があることがご理解いただけたと思います。続いて、コンテンツマーケティングに挫折しないための効果的な対策について探求していきましょう。
目的・戦略を決める
意味のあるコンテンツマーケティングの戦略を立てるためには、目的(=ゴール)が明確に設定されていなければなりません。まずはコンテンツマーケティングの目的を設定しましょう。
・見込み客(リード)情報の獲得
・見込み客との接点増加
・コンテンツへの反応からニーズを把握する
・購入検討に必要な情報を提供する
などなど、コンテンツマーケティングにはさまざまな効果が期待できます。売り上げを伸ばすために、また特定の課題を解決するために、何をコンテンツマーケティングで達成するのか決定しましょう。
コンテンツマーケティングの目的を一つ限る必要はありませんが、あれもこれもと欲張りすぎると戦略が曖昧になり、かけられるリソースも分散してしまいます。そのため、特に達成したい目的に絞って優先度をつける必要があります。
注意したい点としては、コンテンツマーケティングは中長期的には効果を発揮するものの、広告のように即効性があるわけではないことです。達成したい目的とコンテンツマーケティングの相性が良いかどうかは、事前に確認しておきましょう。
目的が設定できたら、具体的なコンテンツマーケティングの戦略を立てます。まずは、いつ、誰に、どのような方法で、何のコンテンツを届け、どのような行動に促したいのか情報を整理しましょう。
これらの情報を整理するためには、ペルソナの設定やカスタマージャーニーの作成が有効です。コンテンツマーケティングを成功させるためには、顧客理解を深め、見込み客の求めるタイミングで求める情報(コンテンツ)が提供できるように準備しておくことが大切です。
コンテンツマーケティングの戦略を立てる際には、まずはターゲットを明確にします。ターゲットは、年齢層や性別などのセグメントだけでなく、購買段階によっても分類します。サービスを知らない潜在層、サービスを探している比較検討層、すでに顧客となっている既存客の層など、購買の段階によって効果的なコンテンツや接触方法が異なります。
続いて、狙いたいターゲットのニーズに応えるコンテンツの企画を立てます。企画を考える際には、既存顧客、特に優良顧客の行動を調査します。お客さまが何をきっかけに商品を知ったのか、どこに納得感を持って購入を決めてくれたのか、購買段階を後押ししたトリガーを探しましょう。
作成済みのコンテンツを活用して狙いたいターゲットのニーズに対応するのも有効です。営業担当者が作成した提案資料、または事例や調査レポート、過去に書いたブログ記事やメルマガなどがあれば、それらのコンテンツを再利用するもの有効です。ターゲットが求めているコンテンツが既にあるのであれば、何も一から作成する必要はありません。
作成するコンテンツには、ターゲットに何らかの態度変容を起こさせ、購買行動を後押しするための仕掛けが必要です。この仕掛けのことをCTA(Call To Action=行動喚起)と呼びます。
コンテンツ全体の設計次第ではありますが、各コンテンツにはコンテンツマーケティングの目的に促すCTAを設置しておくことが大切です。例えば、問い合わせを増やすことが目的であれば、問い合わせに促すためのCTAが必要になります。
KGI・KPI・アクションプランを設定する
コンテンツマーケティングを行う際には、目的と戦略だけでなく、KGI・KPI・アクションプランも設定するようにしましょう。
目的と戦略、KGI・KPI・アクションプランの関係性は、わかりやすくドライブで例えるならば、
目的:目的地
KGI:目的地までの距離と到着時刻
戦略(KFS):目的地までの通過点
KPI:各通過点までの距離と到着時刻
アクションプラン:行動計画 ※一日あたり車で○km走行する、など
という関係性になります。
KGI・KPI・アクションプランの設計で注意すべきは、自分の目的を正しく表しているKGIを決め、KGIを達成するためのマイルストーンとして正しい指標をKPIに据えることです。コンテンツマーケティング、及びウェブマーケティングの効果を計測するための指標はたくさんありますが、KGIを達成するためのマイルストーンとして正しい指標をKPIに据えておかないと、KPIの達成=KGIの達成にはつながらず、適切なアクションや改善活動をとることができません。
コンテンツマーケティングの目的をどのように据えるかによって、KGI・KPIは変化しますが、参考までに、下記に目的別の計測指標の例をあげておきます。
◎目的を「認知獲得」とした場合のKGI・KPIに利用する指標例
ページビュー数、セッション数、流入元、ユニークユーザー数、キーワード順位、SNSのリーチ数、SNS からのサイト流入数、など。
◎目的を「ロイヤルティ向上」とした場合のKGI・KPIに利用する指標例
メルマガ開封率、クリック率、SNSのエンゲージメント率、コンテンツの読了率、SNSシェア数、など。
◎目的を「コンテンツの満足度向上」とした場合のKGI・KPIに利用する指標例
直帰率、再訪数/率、滞在時間、読了率、SNS シェア数、セッション当たり PV数、メルマガ登録数、資料ダウンロード数、など。
◎目的を「売上への貢献」とした場合のKGI・KPIに利用する指標例
個別のページの PV/UU、CTAボタンのクリック率、リード獲得数、申し込みページの閲覧数、資料請求数、問い合わせ数、営業へのリード引渡し数、有効商談数、受注数、など。
どの数値をKPIに設定し、追跡していく必要があるのかについては、KGIの達成に必要なユーザーの行動から逆引きして決定しましょう。
また、KPI設定だけでなく、それに基づいたアクションプランの設定も同様に重要です。なぜなら、目標を達成するためには単なる数値だけでなく、具体的な行動が必要だからです。
KPIは目標の達成度を測定するための指標である一方、アクションプランはその目標に向かって進むための具体的な行動計画です。両者を組み合わせることで、戦略の効果的な実行と目標達成の成功に寄与します。
社内にレポートを行う
コンテンツマーケティングは比較的新しい手法なので、社内から批判の目を向けられてしまうことも少なくありません。
「アイツは何をやっているのか?」
「いつになったら効果がでるのか?」
など、批判されることや、説明を求められることも多々あります。そのため、社内にレポートを行うことが大切です。必ず行うようにしましょう。
上長や他部門にコンテンツマーケティングの成果を伝え、理解を得ることもコンテンツマーティングの担当者・責任者の業務です。定期的にレポーティングを行い、社内に情報を共有しましょう。
社内への定期的なレポーティングは、コンテンツマーケティングの進捗を定期的に振り返る良いきっかけになります。レポートを作成する過程で、成果が出ている施策と出ていない施策が明らかになり、改善の糸口が見かる可能性もあります。コンテンツマーケティングの目的とKGIの達成に近付くため、そして達成のスピードを速めるためにも、定期的にレポート作成と分析、報告を行いましょう。
レポートを作成する際には、週単位・月単位など、一定期間ごとに数値を計測し、分析して資料にまとめます。Google Analytics、SNSやメール配信ツールの分析機能を利用してレポートを作成します。レポートを作ることに満足してしまい、分析に十分な時間を使っていないというケースがありますが、それでは意味がありません。レポート作成はツールを使ってできるだけ効率化し、分析する時間を確保することが大切です。
また、レポートで報告する数値は、レポートを見る人によって変えましょう。コンテンツマーケティングの担当者が見る場合は、Web上で集められる詳細なデータにも注目しますが、管理層やWebマーケティングに詳しくない人に報告する場合は、ROI(投資対効果)や成果の全体的なトレンドを理解できるような内容を中心に説明した方が関心を持って聞いてもらいやすくなります。
実務担当者間での進捗確認、及びレポーティング・分析は、毎日が難しくても、一週間に一度は行うようにしましょう。管理層や社内へのレポーティング・報告は、一ヶ月に一度、もしくは四半期に一度くらいの頻度を目安に実施すると良いでしょう。
コンテンツマーケティングは即効性がある施策ではありませんが、関係者に向けてしっかりと説明責任を果たし、かつ徐々に効果をあげていくことが出来れば、いずれはコンテンツマーケティングの取り組みを応援してくれるようになるはずです。
インプットを増やす
もうコンテンツの企画が思いつかない、書くネタがない!こんな状況に陥っているとき、原因は情報のインプット不足にあるかも知れません。コンテンツマーケティングの担当者にオススメのインプット方法をご紹介します。コンテンツのネタに詰まったらぜひ試してみてください。
◎営業担当者や製品担当者からの情報収集
まずは、身近な社内の人から情報収集してみましょう。お客さまと普段から直接会っている営業担当者はお客さまのリアルな声を聞いています。製品開発担当者は、製品の特徴や強みを知っています。異なる視点を持った社内の人に編集会議に参加してもらい、コンテンツ企画のヒントを集めるのもよいでしょう。
◎見込み客からの情報収集
見込み客の課題や興味分野がわかれば、コンテンツのネタが湧いてきます。アンケート調査やインタビューで、お客さまの声を聞き、ニーズやインサイトを深掘りしましょう。
◎既存顧客からの情報収集
既存顧客からの情報収集もおすすめです。商品やサービスの情報収集はどのように行なったのか、購入検討時にもっと欲しかった情報はあるか、「○○という特徴を早めに知っていれば、もっと早く購入したのに!」といった意見など、既存顧客の意見からコンテンツ企画のヒントが集まることも多いので、こちらもおすすめの方法です。
制作体制を整備する
コンテンツ制作の体制を整備することも大切です。コンテンツ制作は、複数人のチーム体制で行うようにしましょう。編集長、運用担当者、分析担当者、クリエイターを含む複数人のチーム体制が理想的です。一人の担当者が複数の役割を兼務してもよいですが、少なくとも二名以上の担当者を置いておくことをおすすめします。
コンテンツ制作は骨が折れる孤独な作業です。そのため、慣れない人は袋小路に迷い込みがちです。一緒にコンテンツマーケティングに取り組み、相談や、コンテンツのチェックとフィードバックをお願いできる相手がいることで、コンテンツ制作が結果的に効率化されます。コンテンツを作ったら社内や関連部署にも展開して確認してもらい、フィードバックを受けるのもよいでしょう。
また、外注を賢く使うことも大切です。文章の執筆や編集ができる人、イラストが描ける人、写真が撮れる人、CMSやSNSを使いこなせる人などが社内にいる場合はよいですが、すべてのスタッフを内製化できる企業は少ないと思います。コンテンツの質と量を両立するためにも、外注を賢く使うことが大切です。
編集プロダクションやフリーランスのライター・編集者など、複数の外注先に依頼してみて、自社に合う、相談しやすい外注先を作っておくと便利です。コンテンツ制作を外注すると、社員が制作する人件費と比較して、低コストで高い品質のコンテンツを制作できる場合も多いです。
ただし、外注する場合でも丸投げはせず、社内にも担当者を置いて、コンテンツマーケティングの知識やノウハウが社内に蓄積されるようにしておくことも大切です。合わせて、外注先への発注とスケジュール管理、品質チェックも行うようにしましょう。
コンテンツマーケティングに挫折しないために
オンラインでの情報収集が当たり前になっている今、コンテンツマーケティングは長期的な成功を収めるためには必須といっても過言ではない取り組みです。しかし、本記事で解説したように、その利点を最大限に引き出すには時間と労力、目的と戦略、社内理解の獲得など、様々なハードルがあります。
コンテンツマーケティングを新たに始める方々にお伝えしたいのは、成功には外部の専門家との協力が有益であるということです。専門家の支援を受けることはコストがかかりますが、自社でできる範囲を進めた上で、外部の専門家の協力を取り入れることは賢明な選択です。これにより、コストを抑えつつ、自社のマーケティング活動を向上させることが可能となります。
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