顧客体験(CX)の改善にアンケートが効果的な理由

顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)は、Customer(顧客)と Experience(体験)を組み合わせた用語です。製品やサービスの認知から購入、その後の利用を含むプロセスすべての購買者の主観的な認知・感情・感覚などを総合したものを指します。

顧客体験(CX)を向上させることは、どのビジネスにおいても大切です。顧客との良好な関係を長期的に継続することや、ビジネスを大きくスケールさせることにもつながるでしょう。本記事では、顧客体験(CX)を改善するためのアンケートの活用方法について、わかりやすく解説します。

顧客体験(CX)が求められる理由

顧客体験(CX)が求められる理由は、いくつかあります。

製品・サービスのコモディティ化

一つ目の理由は、製品・サービスのコモディティ化です。現代社会ではほとんどの市場において、需要よりも供給の方が大きく、製品やサービスのコモディティ化が進んでおり、特定の製品に依存しなくても、別の製品で基本的なニーズは充たされてしまいます。そのため、購入や利用において、良い顧客体験を期待できる製品を選ぶようになっています。

オンライン化による顧客体験の増加

二つ目の理由は、オンライン化による顧客体験の増加です。インターネットの普及により、現代社会では顧客との接点がオフラインだけでなくオンラインにも移行しており、かつ増加してきています。それに伴い、顧客体験についても、管理の枠を超えて莫大な量になってきています。

「口コミ」は良い顧客体験によって生み出される

三つ目の理由は、「口コミ」は良い顧客体験によって生み出されるためです。オンラインでの顧客接点として重要なものの一つに「口コミ」があります。口コミは、実際に製品やサービスを体験した顧客の声のため、製品やサービスの購入を決めるにあたり大きな影響を与えます。良い「口コミ」は良い顧客体験によって生み出されます。

顧客体験(CX)の改善にアンケートが効果的な理由

顧客体験(CX)を改善するためには、アンケートが効果的です。理由は以下のとおりです。

顧客の声は待っていてももらえない

一つ目の理由は、顧客の声は待っていてももらえないということです。顧客は基本的に、顧客体験(特に悪い体験)を伝えることを煩わしいと感じています。また、煩わしい思いをして伝えたところで、必ずしもサービスが改善されるとは限りません。そのため、ただ待っているだけでは、顧客の声はもらえませんし、そればかりか、いつの間にか他社の製品やサービスに乗り換えてしまうこともあります。

そのため、顧客体験は、貰いにいってなんとか貰えるものだと考えましょう。主観的な顧客体験を貰うためのツールとして、アンケートの活用が効果的なのです。

回答結果を数値化して分析できる

二つ目の理由は、回答結果を数値化して分析できるということです。顧客体験を改善するための活動を経験や勘に頼るのは危険です。経験や勘に頼り誤った判断をしてしまうと、無駄な改善活動に経営資源を割かれてしまうばかりか、既に効果が出ている顧客体験を毀損してしまう可能性もあります。

経験や勘に頼った判断をしないためにも、アンケートを活用して回答結果という「事実」を収集し、数値化して分析することが大切です。アンケートの設問は、収集したい情報の特性に合わせて選択式や記述式を使い分けるようにしましょう。

顧客体験(CX)の改善点を明確にできる

三つ目の理由は、顧客体験(CX)の改善点を明確にできることです。アンケートを活用して回答結果という「事実」を収集し、数値化して分析することにより、改善要望の多い顧客体験や、改善余地のある顧客体験が見えてきます。

アンケートの回答結果という「事実」からわかった改善点は顕在化した顧客のニーズであるため、改善により、顧客体験の向上が確実に見込めます。

事例

顧客体験(CX)を改善するためのアンケートの活用方法について、実際の事例を確認してみましょう。カスタマーサクセスの施策の一環として、顧客企業内でサービスの利用の阻害要因を特定するために行ったアンケートの例をご紹介します。

※活用例としてご紹介する企業は、架空で設定した企業です。

    企業:A社
    提供サービス:法人向け備品調達サービスの運営
    アンケート集計期間:一ヶ月
    実施方法:webアンケートフォーム、FAX
    目的:顧客企業内でサービスの利用の阻害要因の特定
    対象:サービス利用のためのIDが発行されている部署・拠点の全て

A社のケースでは、サービス利用の阻害要因と考えられるものには、2つのカテゴリ、8つの要因がありました。そのため、アンケートは、下記の要因について明らかにすることを目的に設計しています。

    ◎認知度の問題
    ① A社サービスの認知度
    ② 利用方法の認知度

    ◎商品・サービスの質の問題
    ③ 商品の価格に関する質
    ④ 商品の品揃えに関する質
    ⑤ 注文サイトの操作性に関する質
    ⑥ コールセンターの対応に関する質
    ⑦ 既存購入先の連携に関する質
    ⑧ その他

アンケートの設問項目のサンプルは、以下のとおりです。

    Q1:A社サービスは知っていますか? ・・・ ①を確認
    Q2:【Q1】で知らなかったとお答えいただいた方にお聞きします。消耗品関係は普段どこから購入されていますか? ・・・ ⑦を確認
    Q3:【Q1】で知らなかったとお答えいただいた方にお聞きします。そこからご購入している理由をお選びください ・・・ ⑦を確認
    Q4:A社サービスのご利用頻度についてお選びください ・・・ ②を確認
    Q5:商品価格についてお選びください ・・・ ③を確認
    Q6:商品の品揃えについてお選びください ・・・ ④を確認
    Q7:注文サイトの操作性についてお選びください ・・・ ⑤を確認
    Q8:コールセンターの対応についてお選びください ・・・ ⑥を確認
    Q9:連携してほしいサプライヤがございましたらご記入ください ・・・ ⑦を確認
    Q10:その他A社サービスへのご意見・ご要望がございましたらご記入ください ・・・ ⑧を確認

このように、サービス利用の阻害要因と考えられるものと連動した設問を作成しましょう。回答結果から、サービス利用の阻害要因を把握し、分析することができるようになります。

上記は架空のアンケート活用例ですが、ご参考いただければ幸いです。

コツ・留意点

続いて、アンケートを活用する際のコツ・留意点についてご紹介します。

調査目的と調査範囲を明確にしておく

一つ目のコツ・留意点は、アンケートの調査目的と調査範囲を明確にしておくということです。調査目的と調査範囲を明確にしておかないと、どのような回答が集計できれば知りたい情報が明確になるのか、回答を集計するための設問項目はどのような内容が適切か、といった判断ができません。

また、アンケートは複数回に分けて実施してみる、というの一つの手です。例えば、先にご紹介したアンケート活用例では、サービス利用の阻害要因がどこにあるのか特定するためのものでしたが、商品の品揃えに関する質に問題があることがわかれば、次に、どのような商品の品揃えが必要かのアンケートを実施する、といった具合です。

答えを誘導するような質問はしない

二つ目のコツ・留意点は、答えを誘導するような質問はしないということです。アンケートの回答結果を良く見せたい(自社の製品やサービスが支持されているように見せたい)と思うかもしれませんが、「顧客体験(CX)を改善するためのアンケート」といった視点で考えれば、答えを誘導するような質問はしてしまうと、顧客の声を正しく把握することができません。

顧客体験(CX)を改善するためには、顧客の声を正しく把握するための質問を行うようにし、顧客の声を正しく把握できるよう心がけましょう。経験や勘に頼った判断は、経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間)の無駄使いにつながります。

(できれば)アンケートは定期的に実施する

三つ目のコツ・留意点は、(できれば)アンケートは定期的に実施することです。アンケートを実施する→改善点を把握する→改善する→アンケートを実施する… といったように、アンケートを定期的に実施し、顧客体験(CX)を改善するためのPDCAサイクルを回せるようにしましょう。過去の結果と現在の結果を見比べることによって、改善のための施策がうまく機能しているか検証することができます。

また、アンケートを定期的に実施し、その結果をクライアント企業の担当者に共有することは、喜ばれると思います。顧客体験(CX)を改善するために必要なことはもちろんですが、アンケートの企画から実施、レポートに至るまで、各タイミングを顧客とのコミュニケーションの機会として有効活用するようにしましょう。

さいごに

本記事では、顧客体験(CX)を改善するためのアンケートの活用方法についてご紹介いたしました。社内にある顧客情報や各データを分析することも、傾向の把握という点では大切ですが、データが十分に揃っていて、かつ最新の状況が反映されたものになっていなければ、それだけで正しい答えを導く出すのは難しでしょう。そのため、アンケートを活用して顧客の最新の声を集める、というアプローチは顧客体験を改善する上で非常に有効です。

また、回収したアンケート結果は、クライアント企業とのコミュニケーションだけでなく、マーケティング戦略の立案や商品開発などの際に、社内でのコミュニケーションの下地にも活用できます。みなさまの会社でも、アンケートを有効活用してみることをおすすめします。