マーケティングプロセスとは?マーケティングの一連の流れ(5つの基本手順)について

みなさまは「マーケティング」という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?

商品を売るための営業活動と考えるかもしれません。しかし、それは正しくありません。営業は顧客に直接商品の販売活動を行うのに対して、マーケティングは商品を売る市場(=マーケット)において売れるための戦略を立てて、そのプロセスを作る活動そのものだからです。

言い換えれば、マーケティングとは、自社の商品やサービスに対して興味を持ってもらうためのプロセスの一連の流れのことを指します。このプロセスを形成するためには、市場の調査や分析、および顧客に対する理解が必要です。マーケティングとは、市場の調査や分析、商品開発、流通、営業、広告宣伝など、事業活動のあらゆる面を包括するものといえます。

本記事では、マーケティングの大家P.コトラーによって提唱された、世界的に有名なマーケティングプロセス(RSTPMM-I-C)のフレームワークついて、わかりやすく解説していきます。

マーケティングプロセスとは?

マーケティングプロセスは、マーケティングの戦略プロセス、戦術プロセスの一連の流れを表したフレームワークです。マーケティングプロセスは、5つの基本手順の頭文字をから「RSTPMM-I-C」と呼ばれることもあります。

図で表すと、全体像は下記のようになります。

マーケティングの戦略や戦術は、「誰に」「何を」「いくらで」「いつ」「どこで」「どうやって」売るのかを明確化することによって策定されます。

リサーチ(R)セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)マーケティング・ミックス(MM)、実行(I)、評価(C)、これらの5つのプロセスを実行することで、「誰に」「何を」「いくらで」「いつ」「どこで」「どうやって」売るのが良いのか、決めることができます。

ここからは、マーケティングプロセスの各要素について、詳しくご紹介していきます。

リサーチ(R)

第一のプロセスは、リサーチ(R)です。マーケティング戦略を策定する際、最初に行うべきことは、自社が置かれている状況をできるだけ正確に把握することです。そのため、まずはリサーチ(R)を行い、事業を取り巻く環境の分析を行います。環境分析の方法には、大きく分けて外部分析(マクロ環境分析、ミクロ環境分析、競争環境分析)と内部分析(内部資源分析、効率性分析)があります。

外部分析は、事業に影響を与える外部の要因に関係する分析です。人口や政治、経済、環境、技術、文化などと行ったマクロ環境と、自社の周辺環境や市場動向といったミクロ環境、また、市場内での売り手や買い手、新規参入といった競争環境などがあります。外部分析の代表的なフレームワークには、PEST分析ファイブフォース分析などがあります。

内部分析は、商品開発力や販売力といった自社の強みや弱み、資金や人材の有無、事業運営の効率性といった事業に影響を与える内部の要因に関係する分析です。内部分析の代表的なフレームワークには、VRIO分析バリューチェーン分析などがあります。

また、外部分析と内部分析の双方の分析に用いられるフレームワークには、SWOT分析3C分析があります。

セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)

第二のプロセスは、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)です。マーケティングの戦略プロセスの要(かなめ)になります。

セグメンテーションでは、市場を年齢、性別、地域、購買行動など、さまざまな切り口で分類します。大切なことは、同質のニーズを持つ顧客ごとに細かく分類し、自社にとって意味のある層を特定することです。ニーズが同一であれば分ける必要はありません。ターゲティングでは、限られた経営資源を有効かつ効果的に使用するため、どのセグメンテーションにアプローチするかを決めます。ポジショニングでは、ターゲットにどのような商品の利点を明示し、それを認識してもらうのか、顧客にどのように認知されたいのかを決めます。ポジショニングを決める際には、バリュープロポジションの考え方を参考にしましょう。

ターゲットを決めることで、

  • ターゲット ≒ 誰に

が明確になります。

また、注意点として、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP) のプロセスでは、3つの要素が論理的に適合しているか、以下の6Rを満たしているかについて確認するようにしましょう。

  • Realistic scale(有効な規模)
  • Rate of growth(成長率)
  • Rival(競合)
  • Rank(優先順位)
  • Reach(到達可能性)
  • Response(測定可能性)

マーケティング・ミックス(MM)

第三のプロセスは、マーケティング・ミックス(MM)です。マーケティング・ミックス(MM)のプロセスでは、ターゲットに働きかけるために4つの要素をどのように組み合わせるかを具体的に決めます。

4つの要素は、企業からの視点では、製品(product)、価格(price)、流通(place)、販促(promotion)と整理することができ、それぞれの頭文字から、4Pと呼ばれています。また、同様の要素を顧客の視点から、顧客価値(Customer Value)、経費(Cost)、顧客利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)と置き換えて表現することもあります。この場合、4Cと呼ばれます。

4つの要素を決めることで、

  • 製品(product) ≒ 何を
  • 価格(price)≒ いくらで
  • 流通(place)≒ いつ、どこで
  • 販促(promotion)≒ どうやって

が明確になります。

マーケティング・ミックス(MM)は、戦術プロセス策定の要となります。

実行(I)

第四のプロセスは、実行(I)です。ここまでのプロセスを経て、「誰に」「何を」「いくらで」「いつ」「どこで」「どうやって」売るのが良いのか、プランが決まったと思います。あとは、ここまで緻密に練ってきたプランを実行するだけです。

いかに精度の高い戦略・戦術を練り上げても、精度の高い実行が無ければ高い成果は望めません。実行を確実なものにするためには、実行するための施策のスケジュールや実行によって達成したい目標(数値目標)を設定し、関係者で認識を合わせるようにしましょう。また、他のプロセスとの連携も考慮に入れましょう。

評価(C)

第五のプロセスは、評価(C)です。マーケティング施策の実行中や実行後に評価を行い、マーケティング施策の効果や改善点などを見極めて逐一反映させます。効果を測定し、効果に応じて改善するために成功要因を分析し、さらに達成すべき目標値や業務遂行場の指標の見直しを行います。

評価(C)を行うためには、主要成功要因(KSF)、重要目標達成指標(KGI)、重要業績評価指標(KPI)、アクションプランの進捗率の4つの指標から評価を行うようにしましょう。

コツ・留意点

マーケティングプロセスを活用する際のコツ・留意点ですが、5つのプロセスは、全て実施するようにしましょう。1つでも欠けてしまうと効果的ではなくなってしまいます。

例えば、リサーチ(R)を実施しないままセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)を決めようとすると、勘や経験に頼った戦略を策定してしまう可能性が高まります。素晴らしい戦略を立てることができたとしても、実施(I)や評価(C)が無ければ、期待する結果に届かず、本当に素晴らしい戦略だったのかを証明することができません。

マーケティングプロセス全体をきちんと実行することが重要です。

さいごに

いかがでしたでしょうか?少し長くなってしまいましたが、前述したとおり、マーケティングの戦略や戦術は、「誰に」「何を」「いくらで」「いつ」「どこで」「どうやって」売るのかによって決まります。

マーケティングプロセスのフレームワークの一連の流れを実行すれば、「誰に」「何を」「いくらで」「いつ」「どこで」「どうやって」売るのか、また、そのための活動がうまく行っているのかを明らかにすることができるようになるでしょう。

みなさまの携わる事業でも、マーケティングプロセスの5つのプロセスの実行を通じ、マーケティング活動の精度を高めていきましょう。