KGI・KSF・KPIの違いと関係性を解説|実務で使える設定例とアクションプラン

「上司から“まずはKGIに落とし込んで”と言われたけれど、KPIとの違いが曖昧で説明できない」
「KPIは設定しているのに、なぜか成果につながらない」

──そんなモヤモヤを感じたことはありませんか?

営業やマーケティングの現場では、数値目標を立てること自体はできても、KGI・KSF・KPI・アクションプランの関係性を整理できていないために、稟議やチームマネジメントでつまずくケースが少なくありません。
例えば、KPIの数字を追いかけても、実際の売上(KGI)に結びつかない。あるいは、部門ごとに目標の解釈がバラバラで、全社目標との整合性がとれない──そんな状況が続くと、現場の努力が報われず、成果が空回りしてしまいます。

本記事では、こうした課題を解決するために、KGI・KSF・KPI・アクションプランの違いと関係性を整理し、実際の業務に落とし込める具体例を紹介します。
「結局どう設定すれば成果につながるのか?」という疑問を解消し、次の会議や稟議で自信を持って説明できるようになることをゴールにしています。
本記事を読めば、①KGI/KSF/KPIのズレを発見し、②逆算の型で正しく設定し、③稟議で再現性を説明できるようになります。

KGI・KSF・KPI・アクションプランとは?

数値目標を設定するときによく聞くKGI・KSF・KPI・アクションプラン。似た言葉が多く混乱しがちですが、それぞれ役割が異なります。実務での使い分けをイメージしながら整理しましょう。

KGI(Key Goal Indicator|重要目標達成指標)

組織や事業が最終的に目指すゴールを数値で表す指標です。

例:年間売上10億円、国内シェア20%獲得

KGIは経営陣や投資家に示す“最終ゴール”であり、会社の方向性そのものを示します。現場の数字がどれだけ動いても、このゴールに直結していなければ意味がありません。

KSF(Key Success Factor|主要成功要因)

KGIを達成するために「これが欠けたら成功しない」という条件。

例:新規顧客売上4億円の獲得、チャーン率5%以下

KSFは「勝つための鍵」。営業なら「新規顧客の開拓」、マーケなら「質の高いリード獲得」、CSなら「解約率の低下」など、部門ごとに異なります。KGIが“目的地”だとしたら、KSFは“目的地にたどり着くための必須ルート”です。

KPI(Key Performance Indicator|重要業績評価指標)

日々の業務やプロセスごとに進捗を測るための指標。

例:商談数100件、リード数1,000件

KPIは「今の走り方が正しいか」を確認するスピードメーターのような存在。KPIを追うことで、KGIへの進捗をリアルタイムに把握できます。ただし、KPIだけを追っていると「数は稼げたけど売上につながらない」といった“指標迷子”に陥るリスクがあるため、必ずKGIやKSFとの整合性を確認しましょう。

アクションプラン(Action Plan)

KPIを実現するための具体的な行動計画。

例:架電10,000件、月2回のウェビナー開催

アクションプランは「今日、何をするか」を示す実行レベルの計画です。ここが曖昧だと、KPIやKGIに近づく道筋が見えません。逆に、アクションプランが明確だと、現場の一人ひとりが「何をすればゴールに近づけるか」を理解できます。

KGI → KSF → KPI → アクションプラン の順番で分解すると、「経営の最終目標」と「現場の日々の行動」が一本の線でつながります。これにより、上層部への報告も稟議も、現場の実行もすべてブレのない形で進められるのです。

KGI・KSF・KPI・アクションプランの関係性

4つの指標の関係を整理するとき、ドライブに例えるとイメージが湧きやすいです。

KGI=目的地(ゴール地点と到着時刻)

例:目的地を「東京駅」、到着時刻を「17時」と決めるイメージ。会社なら「今年度売上10億円を達成」といった最終ゴールです。

KSF=目的地に行くための通過点

例:目的地に着くために「高速道路に乗る」「〇〇インターを通過する」ことが必須。ビジネスでは「新規売上4億円」「チャーン率5%以下」といった“欠かせない成功条件”がこれにあたります。

KPI=各通過点までの距離や所要時間

例:「次のインターまで30km、到着予定は14時」と把握するイメージ。現場では「商談100件」「リード1,000件」など、進捗を確認する数値です。

アクションプラン=ルートや休憩計画、必要な燃料や車の準備

例:「高速に入る前にガソリンを満タンにする」「1時間ごとに休憩を入れる」。ビジネスでは「架電10,000件」「月2回のウェビナー開催」といった日々の行動計画です。

つまり、アクションプランが日々の業務レベルで実行され、その積み上げがKPIの達成につながり、最終的にKGIが実現するという流れになります。
ここを正しく理解していないと、

・KPIだけが形骸化して「数字を追う作業」になってしまう
・アクションプランがKGIに結びつかず、現場の努力が空回りする

といった状況に陥りやすいのです。
「KGI→KSF→KPI→アクションプラン」の一連の流れを一本の線でつなげることが、成果を出す組織の必須条件です。

設定の流れと実務での使い方

KGI・KSF・KPI・アクションプランは、バラバラに考えてもうまく機能しません。「最終ゴールから逆算して現場の行動に落とし込む」のが基本の流れです。

Goal(最終目標)を定める

まずは組織や事業の「あるべき姿」を描きます。

例:売上10億円、ユーザー数10万人

この段階では「夢」や「ビジョン」に近い目標でも構いません。

KGIを設定する

次に、ビジョンを数値化し、期限を切って明確なゴールにします。

例:当期売上10億円

経営会議や投資家に示す“到達点”です。

KSFを特定する

KGIを達成するために欠かせない条件を見極めます。
例:新規売上4億円、既存顧客リピート6億円
「この要素をクリアできなければKGIは絶対に届かない」という必須条件を洗い出すのがポイントです。

KPIを設定する

KSFをブレイクダウンして、日々の進捗を測る指標を決めます。

・新規受注数:20件
・商談数:100件
・リード数:1,000件

ここが曖昧だと「努力はしているのに成果が出ない」状態に陥ります。現場のメンバーが日々確認できる粒度にすることが大切です。

アクションプランを立てる

最後に、KPIを実現するための具体的な行動を定めます。

・架電数:10,000件
・SEO記事:月4本
・ウェビナー:月2回

「誰が・いつまでに・どのくらい実行するのか」まで落とし込みましょう。ここまで具体的にしないと、KPIやKGIは絵に描いた餅になってしまいます。

この一連の流れに SMARTの法則(Specific=具体的/Measurable=測定可能/Achievable=達成可能/Relevant=関連性/Time-bound=期限付き)を適用すると、実効性のある計画になります。

具体例|売上目標1億円を達成するための分解

机上の理論だけではイメージしづらいため、実際の数字を使って分解してみましょう。

◎ゴール(KGI)
・年間売上1億円

◎成功条件(KSF)
・既存顧客リピート売上:6,000万円
・新規売上:4,000万円(←これが達成できなければ目標に届かない)

◎中間指標(KPI)
・平均受注単価:200万円
・受注率:20%(商談→受注)
・商談化率:10%(リード→商談)

これを分解すると、

・4,000万円 ÷ 200万円 = 20件の新規受注が必要
・20件 ÷ 20% = 100件の商談が必要
・100件 ÷ 10% = 1,000件のリードが必要

KPI=受注20件/商談100件/リード1,000件

◎行動計画(アクションプラン)
KPIを達成するために、営業・マーケそれぞれのアクションを具体化します。

・営業:架電10,000件(アポ獲得率1%で商談100件を確保)
・マーケ:ウェビナー6回開催、SEO記事12本投稿(リード1,000件を確保するための施策)

このように数値を逆算で落とし込むと、

「リード1,000件を作るために何をすべきか」
「営業はどのくらいの架電量を担う必要があるか」

が明確になります。

特に上層部への説明や稟議の場では、数式や表でロジックを“見える化”すると納得感が高まり、「本当に実現可能な計画なのか?」という問いに自信を持って答えられるようになります。

よくある失敗と改善ポイント

KGI・KSF・KPI・アクションプランの仕組みはシンプルですが、実務に落とすとよく次のような“つまずき”が発生します。

失敗①:KPIが多すぎて管理できない

「商談数」「架電数」「メール数」「DL数」…と、あれもこれもKPIに設定してしまい、結局どれも中途半端にしか追えないケース。現場メンバーは“数字を埋めること”が目的化し、成果につながらなくなります。
→ 改善策:KPIは“本当に成果につながる3つ以内”に絞る。優先度をつけ、達成インパクトの大きい指標に集中する。

失敗②:アクションプランが非現実的

「1日200件の架電」「月8本のホワイトペーパー」など、現場のキャパシティを無視した計画を立ててしまうケース。メンバーは開始直後から“達成不可能”と感じ、形骸化してしまいます。
→ 改善策:現場のリソースと照らし合わせ、実行可能性を担保する。最初は小さく始め、改善サイクルを回しながら徐々にレベルを引き上げる。

失敗③:部署ごとにKGIとKPIがバラバラ

営業は「商談数」、マーケは「リード数」、CSは「解約率」と、部門ごとに異なるKPIを追っていて、全体のKGI(売上・利益)に結びつかないケース。会議では「どの数字が正しいのか」で議論が迷走します。
→ 改善策:経営・営業・マーケが同じテーブルで議論できる会議体を設ける。全社KGIを起点に、各部門KPIがどう接続するかを確認し、数字の“一本化”を図る。

この3つの失敗はどの企業でも頻発するものですが、逆に言えば 「KPIを絞る」「実現可能な計画にする」「全体整合をとる」 の3点を押さえるだけで、施策の成功確度は大幅に高まります。

コツ・留意点

KGI・KSF・KPI・アクションプランを「作って終わり」にしないためには、以下のポイントを意識することが重要です。

SMARTの法則で設定する

「頑張って売上を増やす」では曖昧すぎます。

・Specific(具体的):何を?(例:新規受注20件)
・Measurable(測定可能):どの指標で?(例:受注率20%)
・Achievable(達成可能):現実的か?(例:月間リード300件の獲得体制があるか)
・Relevant(関連性あり):KGIにつながるか?(例:新規売上4,000万円に直結するか)
・Time-bound(期限付き):いつまでに?(例:今期末までに)

稟議や上層部への説明時にも、「SMARTに設定済み」と言えるだけで納得感が高まります。

整合性を常に確認する

KGI・KSF・KPI・アクションプランは“つながっていなければ意味がない”指標です。

・KPIだけ達成してもKGIに届かない
・アクションプランが現場の作業感で終わってしまう

こうしたズレは組織でよく起きます。定期的に「この行動は本当にKGIに貢献しているか?」を問い直しましょう。

四半期ごとにレビューする

市場や顧客の状況は常に変化します。

「受注率が20%の想定だったが、実際は15%しか出ていない」
「ウェビナーからのリードが予想以上に多く獲得できた」

こうした実績データをもとに、四半期ごとにKPIやアクションプランを見直す仕組みを入れると、目標管理が“生きたもの”になります。

さらに実務で役立てたい方は、こちらの記事も参考になります。
➡︎ KPIの適切な決め方|SMART原則と部署別具体例【一覧表つき】

FAQ

KGIとKPIの違いは?

KGIは「最終ゴール」、KPIは「その道のりを測る中間指標」です。

・KGI=会社や事業の到達点(例:年間売上10億円)
・KPI=その達成度合いをチェックするための進捗管理(例:商談数100件、リード数1,000件)

KPIだけを追っていると「数は達成したのに売上につながらない」状態になりがちです。必ずKGIとセットで考えましょう。

OKRとの違いは?

OKRは“挑戦的な目標”を掲げる仕組みで、KPIより柔軟性が高いのが特徴です。

・KPI=「確実に達成すべき数値目標」
・OKR=「理想に近づくためにストレッチして挑戦する目標」

例えば、新規顧客獲得において

・KPIなら「今期でリード数1,000件」
・OKRなら「2,000件に挑戦しよう」

といった違いになります。KPIは管理指標、OKRは組織の挑戦を促す仕組みとして使い分けましょう。

KPIはどのくらいの頻度で見直すべき?

基本は四半期ごとにレビューするのがおすすめです。

・市場や顧客の変化に応じて「受注率20%→実際は15%」など、想定との差分が出てくるため、定期的に補正が必要です。
・また、新しい施策(例:ウェビナーやSEO記事)が予想以上に成果を出した場合も、次の四半期でKPIを再設定すると効果的です。

「設定したらそのまま」ではなく、データに基づき柔軟に調整することが、KGI達成に直結します。

KPIは“量”だけでよい?(例:件数)

量だけでは不十分です。量×質の両面で管理してこそ、成果までの最短ルートが見えます。

例:商談数(量)×受注率(質)=受注数
例:リード数(量)×商談化率(質)=商談数

「量だけ」だと“がんばった感”は出ても、KGIに直結しないケースが多発します。必ず質指標(CVR・単価・チャーン率など)を1つ組み合わせ、数字をKGIに接続できる形にしましょう。

部署ごとにKPIが違ってもいい?

部署ごとにKPIが異なるのは当然。ただし“全社KGIに数式で接続できること”が条件です。

・売上(KGI)=単価 × 受注数
・受注数 = 商談数 × 受注率
・商談数 = リード数 × 商談化率

このように展開すれば、営業が追う「商談数」、マーケが追う「リード数」、CSが追う「解約率」もすべて一本のロジックでKGIに直結します。
部署ごとにKPIを設定する際は、必ず「数式でKGIにつながるか?」をチェックしましょう。

まとめ

・KGI・KSF・KPI・アクションプランは、「ゴール → 条件 → 指標 → 行動」という階層で整理することで全体の整合性が取れる
・部署ごとに具体例を設定し、SMART原則で現実的な計画に落とし込むと、メンバーが自信を持って動ける
・四半期ごとのレビューで修正を繰り返すことで、机上の目標が“成果につながる仕組み”に変わる

要するに、経営の大きな目標を現場の具体的な行動までブレイクダウンできるかどうかが、成果を左右する最大のカギです。

「数字は追っているのに成果が出ない」
「部署ごとに指標がバラバラで、経営層に納得感を持って説明できない」

──そんな悩みを抱えているなら、それは仕組みを見直すサインです。

KGI・KSF・KPI・アクションプランを正しく整理し直すことで、努力のベクトルが一本に揃い、現場の行動がそのまま成果につながるようになります。

さいごに|実務に落とし込むなら当社が伴走します

「KPIを設定しているのに、商談や受注にまったくつながらない」
「上層部に稟議を出しても、“再現性のあるロジックになっていない”と差し戻されてしまう」

──そんな悩みを抱えている方は少なくありません。数字を“追うだけの指標”から“成果を生み出す仕組み”に変えるには、目標管理とコンテンツ施策をつなぐ設計が欠かせません。

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