【徹底解説】コンテンツマーケティングの基本と実践

この記事では低コストで始めやすいマーケティング手法である「コンテンツマーケティング」について、基本知識から実践ノウハウをまとめました。これから事業を立ち上げる、拡大していくが予算が多くないといった組織にとって最適な手法です。

コンテンツマーケティングとは

まずはコンテンツマーケティングとは何かをご説明します。

コンテンツマーケティングの基本

コンテンツマーケティングとは、受け手にとって価値あるコンテンツを発信することにより、見込み顧客を啓蒙し、成約に至らせるためのマーケティング手法です。

コンテンツマーケティングの第一人者としてジョー・ピュリッジという人物がいます。ジョー・ピュリッジは「コンテンツマーケティングとは、有益で説得力のあるコンテンツを制作・配信することによって、ターゲット・オーディエンスを引き寄せ、獲得し、エンゲージメントをつくり出すためのマーケティングおよびビジネス手法」と定義しています。

言い換えると、コンテンツマーケティングとは、「オウンドメディアを中心に、顧客に適切な情報を発信することで、エンゲージメントを高めること」だと言えます。

コンテンツマーケティングが必要とされてきた背景

次に、コンテンツマーケティングが必要とされてきた背景を解説します。コンテンツマーケティングが必要とされてきた主な背景は、以下の2つです。

  • マスのコミュニケーション衰退
  • 情報入手の容易性向上

かつてのマーケティング(=プロモーション)手法の主流は、テレビCMや新聞広告に代表される、マス広告でした。マス広告は1つのチャネルで不特定多数のユーザーに一方的に発信する性質を持っています。

1つのチャネルで多数のユーザーにアプローチできるので、大多数が限られた価値観を共有している社会においては、有効な手段でした。しかし、社会の変化により価値観が多様に変化していき、個々人に合わせたコミュニケーションを取らないと広告の効果が減衰していってしまうという状況になりました。

また、テレビや新聞を大多数が閲覧している社会から、多数のSNSが存在していて、それぞれのSNSにおいて所属するユーザーの構成比率も異なるという状況になっていきました。これにより、マスのコミュニケーションが成立しなくなりました。

2つ目の背景は、Googleを始めとした検索エンジンの検索技術が発展し、それを使うユーザーの検索能力が発達したことです。つまり、ユーザー自身が情報を自分自身で仕入れやすくなったのです。

マスのコミュニケーションには限界があり、ユーザーの求める情報を適切に配信することが必須となってきました。そこで生まれたのが「コンテンツマーケティング」という考え方です。自社でオウンドメディアを立ち上げ、ユーザーの求める情報を発信することで、より自社の見込み顧客になりやすいユーザーを惹きつけ、ユーザーとの信頼関係も深めることができます。

ユーザーの視点に立ってみても、自分自身が欲している情報を受け取ることができるため、マスのコミュニケーションと比べて、より有益な情報を得ることが可能となります。

SEOや広告との違い

〇SEOとの違い
コンテンツマーケティング=SEOだと認識されている方が多いと思いますが、実は少し異なります。

コンテンツマーケティングとは、「オウンドメディアを中心に、顧客に適切な情報を発信することで、エンゲージメントを高めること」を指します。一方、SEOとは、「ユーザーと検索エンジンの双方にやさしいサイトを構築することで、検索回数を増やし、検索結果でより多くの露出を獲得する考え方。また、そのための技術や方法」を指します。

つまり、コンテンツマーケティングはターゲットの求めるコンテンツを発信し、全体的なエンゲージメントを高めるというように、エンゲージメントに主眼を置くのに対し、SEOは検索結果を上位表示させることで、オンラインでの露出を高めるといったオンラインでの露出に主眼を置いた考え方です。

コンテンツマーケティングは、情報発信により潜在顧客の啓蒙を行い、最終的なエンゲージメントを高めることを指すため、オウンドメディアに限らず、ホワイトペーパーや動画、メルマガといった他のオンラインチャネルやセミナーといったオフラインチャネルに至るまで、様々なチャネルを対象としています。

コンテンツマーケティングの概念はSEOの概念を内包している関係性と言えます。

〇広告との違い
では、広告とコンテンツマーケティングの違いは何でしょうか?

広告は露出をした分だけ費用がかさむ掛け捨て型の施策であるのに対し、コンテンツマーケティングはコンテンツを作成した分だけ持続的に露出可能な蓄積型の施策であるといえます。

例えば、リスティング広告であれば、露出をしてクリックされた分だけ費用が発生します。一方、コンテンツマーケティングは作成して公開した情報をオウンドメディアなどに掲載し続ける限り、蓄積されていくので中長期的な効果が見込まれます。

コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングを実践するメリットをご説明します。コンテンツマーケティングを実践するメリットは以下の3つです。

  • ①導入ハードルが低い
  • ②集客効率が高い
  • ③顧客から信頼が得られる

①導入ハードルが低い
コンテンツマーケティングの最大のメリットは導入コストの低さです。
コンテンツマーケティングを始めるにあたって必要なものは、「コンテンツ」と「コンテンツを掲出するメディア」のみです。

コストはコンテンツ制作のための人件費とメディアを開設・維持するためのサーバー代のみです。予算の限られた組織でも始めやすいのが特徴です。また、コンテンツは蓄積することができるため、一度公開したあとは継続的に露出されている状態となり、コンテンツが増えれば増えるほど顧客との接点量が増え、費用対効果が高まります。

②集客効率が高い
コンテンツマーケティングでは、広告とは異なりユーザー自身が調べてコンテンツを探してきてくれます。プッシュ型の広告とは異なり、コンテンツに集客したあともユーザーを効率的に成約へと結びつけやすい特徴があります。

また良質なコンテンツであれば、ユーザーはSNSなどで知り合いや会社の同僚に紹介してくれることが考えられます。つまり、ユーザー自身がコンテンツを拡散してくれやすい傾向にあるのがコンテンツマーケティングなのです。

③顧客から信頼を得られる
自社が専門的な知見を持つ領域に関する情報を発信し続けることで、ユーザーが該当する領域についての知識を探すときには自発的に自社のオウンドメディアを探しに来てくれるという仕組みができあがる可能性もあります。

その結果、専門性のある会社として顧客からの信頼を獲得して、自社のブランド力を高めることにもつながるでしょう。ブランド力を高めたい、認知率を向上させたいといった課題をお持ちの企業には特におすすめです。

コンテンツマーケティングを実践する4つの手順

コンテンツマーケティングの実践方法について解説していきます。
コンテンツマーケティングを実践する方法は以下の4つの手順に分けられます。

  • 1.ペルソナ設計
  • 2.カスタマージャーニーマップ設計
  • 3.コンテンツマップ設計
  • 4.チャネル選定

コンテンツマーケティング実践手順1:ペルソナ設計

コンテンツマーケティング実践の手順1つ目は、ペルソナ設計です。
ペルソナの設計により、そもそもどういうユーザーをターゲットにするのか?どのユーザーはどういう情報を欲しているのか?などを言語化します。

では、どのようにペルソナ設計をすればよいのでしょうか?
ペルソナ設計をするにあたっては以下の4つの観点で設計を進めましょう。

・Who(どんな人なのか)
・What(何を抱えているか、問題は何か)
・Why(なぜ解決できないか、自社なら解決できるか)
・How(どのようなメッセージがその人に届くか)

ペルソナ設計の詳細については、別記事「ペルソナ設定とは?BtoBマーケティングにおけるペルソナ設定と活用のコツ」で解説しています。合わせてご覧ください。

コンテンツマーケティング実践手順2:カスタマージャーニーマップ設計

コンテンツマーケティングの実践手順の2つ目は、カスタマージャーニーマップの設計です。ペルソナ設計により明確になったターゲットが自社商材を認知してから、成約に至るまでにどのような行動をとったのかを書き出していきます。

カスタマージャーニーマップの作成については「カスタマージャーニーとは?概要とカスタマージャーニーマップの作り方について解説します」で解説しています。合わせてご覧ください。

コンテンツマーケティング実践手順3:コンテンツマップ設計

コンテンツマーケティングの実践手順の3つ目はコンテンツマップ設計です。

カスタマージャーニーマップをもとにコンテンツマップを作成します。コンテンツマップの設計においては、横軸に顧客の購買検討や認知フェーズを取り、縦軸に訴求すべきコンテンツを取ります。作成したカスタマージャーニーマップ上の、顧客の行動や心理状態をもとに訴求すべきコンテンツを書き出していきます。

コンテンツマップを作成すると、自社のメディアにどのコンテンツが足りないのか一目でわかるようになります。「このフェーズの顧客にはこのコンテンツを訴求すべき」ということが、カスタマージャーニーマップから見えてくるので、コンテンツマップを作成し、足りない部分が見えてきたら、必要なコンテンツを作成していきましょう。

コンテンツマーケティング実践手順4:チャネル選定

コンテンツマーケティングの実践手順の4つ目は、チャネル選定です。

カスタマージャーニーマップをもとに、ユーザーの状態や心理に合わせて最適なチャネル(SNS、ブログ、メールなど)を選定しましょう。オンラインのチャネルだけではなく、セミナーや展示会などオフラインのチャネルも忘れずに選定しましょう。

さいごに

コンテンツマーケティングの実践方法について解説してきました。
コストを抑えて中長期的に自社の資産になるマーケティング手法なのでぜひ実践してみてください。

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BtoBマーケティングの基本と実践