KPIツリー作成のメリット・デメリット

KPIツリーとは、最終的に目指したい目標であるKGIを達成するために、どのKPIをどの水準まで調整すれば良いのかを構造的に把握・整理するためのフレームワーク(考え方)です。

この記事では、KPIツリーを作成することが自社にとって最適な手段なのかがわかるように、KPIツリー作成のメリット・デメリットを整理しました。

KPIツリー作成方法については以下の記事で詳しく解説していますので、以下の記事も合わせてご覧ください。
KPIツリーとは?〜目的・作り方を解説します〜

KPIツリーを作成するメリット

さっそく、KPIツリーを作成するメリットとデメリットを見ていきましょう。

基本的にはKPIツリーを作成することにはメリットしかないですが、デメリットについてはKPIツリーを使ってマネジメントや施策検討をする際の注意点という観点で挙げてみました。

まずはKPIツリーを作成するメリットをご紹介します。
KPIツリーを作成するメリットは以下の3つです。

  1. KGI達成のためのプロセス構造を関係者で認識を合わせやすくなる
  2. KGI達成をするための具体的な行動を検討しやすい
  3. ボトルネックを特定しやすい

メリット1.KGI達成のためのプロセス構造を関係者で認識を合わせやすくなる

KPIツリーを作成するメリットの1つ目は「KGI達成のためのプロセス構造を関係者で認識を合わせやすくなる」ことです。

KPIツリーは、KGI達成を目的としてKGIを構成する要素をロジカルに抜け漏れなく分解して作るものです。KPIツリーを作成することで、KGI達成のために見るべき指標や推進すべき行動が可視化されるため、これから議論する内容はどういう指標にどのくらいのインパクトを与えるのかが、関係者間で認識合わせをしやすくなります。

議論の前提となる指標構造の認識を合わせることができるというのが、KPIツリー作成のメリット1つ目です。

メリット2.KGI達成をするための具体的な行動を検討しやすい

2つ目のKPIツリー作成のメリットは、「KGI達成をするための具体的な行動を検討しやすい」ことです。

KPIツリーはKGIをロジカルに分解して作成するとお伝えしましたが、分解した最小の単位は「行動」となっているはずです。つまり、KPIツリーを作成することで、現在推進している施策や具体的な行動が、どの指標に影響を与えるのかが明らかになります。
行動と指標の関係性が明らかになれば、どの行動をどのくらい推進すればよいのかが判断できるようになります。

例えば、売上を伸ばすために、営業組織に何を推進させればよいかを考える際に、下図のようなKPIツリーを作成して考えると、売上を上げるためには新規契約を獲得するか、既存顧客から契約の更新を獲得するという2つの経路があることがわかります。

更に構造を見ていくと、新規契約を獲得するための構造の中で営業担当者の行動でコントロール可能なのは「提案」と「アポ実施」ということが分かります。(それ以外は顧客に決定権があるため。)逆に既存契約経由では、「契約更新連絡」のみがコントロール可能な行動ということが分かります。

つまり、新規契約経由の売上を伸ばすためには提案社数を増やし、既存契約経由の売上を伸ばすには契約更新の連絡を徹底するということが分かります。

このように、KPIツリーを作成することで、どんな行動をコントロールすればKGIが達成できるのかが分かりやすくなるというメリットがあります。

メリット3.ボトルネックを特定しやすい

KPIツリーを作成する3つ目のメリットは、「ボトルネックを特定しやすい」ということです。

KGIの目標を達成するには、分解された各KPI指標がどのくらいの水準になっていないといけないかが試算できるようになります。

試算した理想の状態に対して、現状の実績を当てはめたときにギャップが大きい指標がボトルネックだと分かります。ボトルネックが特定できたら、ボトルネックとなっている指標に影響する行動を改善していくことになります。

行動改善を検討するときに注意すべきなのは、改善しようとしている指標が「量」なのか「質」なのかで考え方が変わるという点です。
以下の図のようにKPIツリーは量×質で構成されていますが、量を上げるときは行動を増やすだけなのでシンプルです。一方、質を上げるときには単純に行動を増やしても改善されないことはKPIツリーを見れば明らかです。

つまり、物理的な行動の量を増やすのではなく、行動の中身(営業トークや提案内容など)を改善する必要があるので、工夫が求められます。質の改善をしなければならないのに、行動量を増やすというような、目的と打ち手がずれてしまうことがないように気をつけましょう。

KPIツリーを作成するデメリット

KPIツリーを作成することは基本的にメリットしかありませんが、KPIツリーを使ってマネジメントや施策検討をする際の注意点という観点でデメリットを挙げてみました。

KPIツリーを作成するデメリットは以下の3つです。

  1. KPIツリーにはアンコントローラブルな指標も現れる
  2. KPIツリーに表現されない要素が見落とされやすい
  3. 既存の構造の枠組みで思考を固定してしまう

デメリット1.KPIツリーにはアンコントローラブルな指標も現れる

KPIツリーはKGI達成を目的として、MECEにロジカルに要素を分解していくので、現実にはコントロールできない指標も表現されてしまいます。

例えば、先程の売上を上げるときのKPIツリーを例に取ると、事業内容によっては顧客単価は発注内容によって決まってしまい、営業担当者ではコントロールしづらく、顧客の要求に依存しているということもあるでしょう。

それにも関わらず、顧客単価をKPIに設定してしまうと、コントロールできない指標を追いかけることになってしまい、結果的にKGIが達成しづらい(達成のためのコントロールが効きづらい)状況になってしまいます。

KPIツリー上にはコントロールできない指標も表現されていることを意識して、追いかける指標はコントロール可能な指標に絞りましょう。

デメリット2.KPIツリーに表現されない要素が見落とされやすい

KPIツリーのデメリットというより、注意点です。
前提としてKGIを構成する要素はKPIツリー上にはすべて表現されているべきですが、外部環境(市況、政治の変化など)の要素はKPIツリーには表現されないことが多いです。

KPIツリー上に表現されていなくても現実的にはKPI指標に影響を与えることもあるのが外部環境の要素です。具体的にどういう事象が起きるかというと、「KPIは達成できているのに、KGIが達成できなかった」という事象です。

基本的にはKPIツリーが正しく作成されていれば、KPIが達成されるとKGIは達成されるはずです。それにも関わらず、KGIが達成されていない場合はKPIツリーの外にある要素がKPIツリーに影響を与えていると考えられます。

デメリット3.既存の構造の枠組みで思考を固定してしまう

こちらもKPIツリー作成のデメリットというより、注意点です。

KPIツリーは既存の事業活動を可視化するものなので、既存の枠組みから離れて改革的な取り組みをする場合には不向きなフレームワークです。

大きな改善幅が見込まれないわけではないですが、「対前年比100倍の売上を目指す!」など、現状の改善による成果の伸長ではなく、イノベーションが求められる場合にはKPIツリーで考えてしまうと、既存の枠組みで思考を固定してしまう可能性があるので適切ではないかもしれません。

さいごに

KPIツリーを作成することで、関係者と目線合わせがしやすくなり、限られたリソースをより効率的に活用することができるようになります。

ぜひ、「KPIツリー作成の目的・作成方法」の記事と合わせてご覧ください。

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