LTV(顧客生涯価値)とは?計算方法や最大化するための方法についてわかりやすく解説します

企業活動において、お客さまに商品やサービスを購入してもらうことは大切です。しかし、購入していただいたお客さまに満足してもらい、使い続けてもらうことが出来なければ成功とはいえません。

そのような認識の高まりもあり、近年ではLTV(顧客生涯価値)というキーワードに注目が集まりつつあり、事業の収益性改善やマーケティング施策の効果改善のために活用する企業が増えてきています。

本記事では、LTV についてあまり詳しく知らないという方々向けに、LTVとは何かということや、LTVの計算方法、LTVを最大化するための方法についてわかりやすく解説します。

LTV(顧客生涯価値)とは?

はじめに、LTV(顧客生涯価値)とは何かについて概要をご説明します。

LTV(顧客生涯価値)の意味

LTVは、Life Time Valueの頭文字をとった言葉です。LTVは、Life Time(生涯)、Value(価値)の言葉のとおり、顧客につき、生涯でどのくらいの価値を発生させるのかを意味しています。

LTVは、顧客が自社の商品やサービスを生涯でどのくらい購入してくれたかを数値で表したものになります。つまり、LTVが高いということは、購入頻度(もしくは購入単価)が高く、リピーターが多いということを意味しています。

LTV(顧客生涯価値)が注目される理由

LTV(顧客生涯価値)が注目されるのには、いくつかの理由があります。

◎成熟市場における商品やサービスの飽和
一つ目の理由は、成熟市場において商品やサービスが飽和していることです。成熟市場においては、顧客側が多くの選択肢を持っている状態のため、一度購入してもらったとしても、気に入らなければ、競合の商品やサービスに切り替えられてしまう可能性があります。

成熟市場においては、顧客が競合に流れてしまうことはそのまま市場シェアにも影響を与えるため、自社を利用し続けてもらうための取り組みが重要になります。

現代社会では商品やサービスの供給が過熱しており、さまざまな市場が成熟市場になってきています。このような市場では、LTV(顧客生涯価値)が着目されるようになってきています。

◎新規顧客獲得コストの増大
二つ目の理由は、新規顧客獲得コストの増大していることです。一つ目の理由とも重なりますが、成熟市場においては、顧客獲得の競争も激しく、新規顧客獲得コストが増大してきています。ただ、せっかく高値で顧客を獲得できたとしても、それによって収益よりも費用がかさみ、赤字になってしまっては本末転倒です。

顧客獲得コストが半年で回収できなかったとしても、LTV(顧客生涯価値)が顧客獲得コストを上回るようであれば、顧客を獲得する意義はあります。しかし、LTV(顧客生涯価値)がわからなければ、顧客獲得コストをどこまでかけても大丈夫なのか、判断することができません。このような理由からも、LTV(顧客生涯価値)が着目されるようになってきています。

また、一般的に、新規顧客獲得にコストをかけるよりも、一度購入してもらった顧客にリピートしてもらう方がコスト効率が良いことも理由です。

◎サブスクリプションサービスの普及
三つ目の理由は、サブスクリプションサービスの普及です。サブスクリプションサービスとは、高額な初期費用を投じて商品や設備を購入することが必要なプロダクト購入型のサービスとは違い、利用料を払うことで利用許諾(ライセンス)を取得し、利用者が解約を行わない限り利用を続けることができるサービスの利用形態のことを指します。

サブスクリプションサービスでは、これまでのプロダクト購入型のサービスとは違い、高額な初期費用を必要としません。顧客側にとってはそれがメリットなのですが、企業側からすれば、使い続けてもらえれば継続して売上が入ってきますが、解約されてしまったら売上が入ってきません。つまり、LTV(顧客生涯価値)の最大化が、そのまま企業の売上の最大化につながる訳です。

サブスクリプションサービスを提供する企業では、LTV(顧客生涯価値)を経営指標としているところも多いです。近年、サブスクリプションサービスを提供する企業が非常に増えていることからも、LTV(顧客生涯価値)が着目されるようになってきています。

LTV(顧客生涯価値)の計算方法

LTV(顧客生涯価値)の計算方法には、いくつかの種類が存在します。本記事では、代表的でわかりやすい計算式を3つご紹介します。

計算式①:LTV=年間取引額×収益率×取引継続年数

一つ目の計算式は、顧客の年間取引額に収益率と取引継続年数を掛けたものです。

    LTV=年間取引額×収益率×取引継続年数

例えば、ある企業に対しての年間取引額が1,000万円だったとします。収益率が20%、取引年数が10年あるとすると、この企業のLTVは【1,000万円×20%×10年=2,000万円】となります。

このように、顧客との実際の取引状況からLTVを求める方法は、おそらく最も一般的な計算方法です。しかし、BtoCのように顧客が数万人単位でいる場合や、BtoBでも顧客が数百〜数千社いる場合には、顧客一人ひとりのLTVを計算するのは非常に手間とコストがかかってしまいます。

計算式②:LTV=平均購入単価×平均購入回数×平均継続期間

二つ目の計算式は、顧客全体から平均購入単価と平均購入回数、そして平均継続期間を算出し、それぞれを掛け合わせたものです。

    LTV=平均購入単価×平均購入回数×平均継続期間

例えば、平均購入単価が10,000円、平均購入頻度が年10回、そして、平均継続期間が5年だったとします。その場合、顧客一人あたりのLTVは【10,000円×10回×5年=500,000円】となります。

平均継続期間を割り出すのが困難な場合、顧客全体の解約率から導き出す方法もあります。例えば、1年で10%が離脱する場合、平均継続年数は10年と考える、といった方法です。

計算式③:LTV=(売上高−売上原価)÷購入者数÷解約率

三つ目の計算式は、年間の売上高から売上原価を引いて全体の粗利を算出し、そして粗利を購入者数で割り、最後に解約率で割る方法です。

    TV=(売上高−売上原価)÷購入者数÷解約率

例えば、年間の売上高が一億円、売上原価が2,000万円、購入者数は8,000人、解約率が10%だったとします。その場合、顧客一人あたりのLTVは【8,000万円÷8,000人÷10%=100,000円】となります。

LTVは顧客全体のデータで計算したほうが手間もコストもかからないため、実務においては、計算式②や計算式③のような方程式で計算されることが多いのではないかと思います。

利益(LTV−顧客獲得コスト−顧客維持コスト)も把握する

上記でLTVの計算式を3つご紹介しましたが、LTVの計算式によって導き出された数値を用いて利益を算出する方法もご紹介します。利益を把握することは、マーケティングや経営そのものを考える上で非常に大切です。

    利益=LTV−顧客獲得コスト−顧客維持コスト

利益の計算式は非常にシンプルで、LTVから顧客獲得のために要したコストや顧客維持のために要するコストを引くだけでわかります。つまり、LTV(顧客生涯価値)を上げて、顧客獲得コストや顧客維持コストを下げれば、利益は増大していくことになります。

顧客のLTV(顧客生涯価値)に対して、顧客獲得コストや顧客維持コストを引いて利益を算出することは大切です。仮に利益がマイナスになるようであれば、顧客を獲得すればするだけ事業の負債が増えてしまいます。つまり、利益がマイナスになるような顧客獲得の方法をしてしまうと、事業がスケールしないのです。あなたの事業を将来的にも繁栄のためには、利益の獲得が不可欠であることは認識することが必要です。

LTV(顧客生涯価値)を最大化するための方法

LTV(顧客生涯価値)を最大化するための方法は、大きく5つあります。

購入単価を増やす

一つ目の方法は、購入単価を増やすということです。購入単価を増やす方法は、更に3つに分けることができます。

◎値上げする
最も単純な方法としては、値上げするという方法があります。しかし、顧客目線で言えば、値上げは最も嫌われる方法です。顧客目線を無視した値上げは解約を引き起こす可能性があります。そのため、値上げを検討する際には、顧客に納得してもらえる理由があることが大切です。あなたの商品やサービスに愛着があり、値上げの理由にも納得がいくと感じる顧客であれば、使い続けてくれるでしょう。

ただし、それでも値上げを検討する際には十分に注意する必要があります。例えば、電気料金、ガス料金のような、生活インフラに関わることで他の商品やサービスで代替が難しいものであれば解約につながる可能性は少ないかもしれません。しかし、代替品が存在する商品やサービス、かつ、顧客が求めている価値の一つに安さがある場合、解約が増え、競合に流れてしまう可能性も高いです。

安易な値上げによって解約が増え、結果的にLTVが下がってしまっては本末転倒です。十分に注意して検討しましょう。

◎アップセル
アップセルとは、既に購入している商品やサービスを、より上位のプランに移行してもらうための営業活動のことをいいます。アップセルを狙うためには、あらかじめ、複数の価格帯の商品・サービスのラインナップを持っておく必要があり、かつ、それぞれの価格帯の商品・サービスの違いをお客さまに説明できるようにしておかなければなりません。

そのため、アップセルを狙うためには商品やサービスのラインナップの設計段階から仕組みを検討しなければなりませんが、一度仕組みが出来てしまえば、買い替えや更新のタイミングで、より高額な上位プランを提案できるようになります。

◎クロスセル
クロスセルは、既に購入している商品やサービスに加え、関連商品やオプションサービスを組合せて購入してもらう営業活動のことをいいます。

例えば、BtoCであれば、車を購入した方に自動車保険の契約を進める、生命保険に入院保証のオプションも追加する、などといった提案もクロスセルにあたります。BtoBであれば、ITツールを導入した方に活用コンサルティングのオプションも追加で購入してもらう、といった提案もクロスセルになります。値上げやアップセルに比べれば、比較的難易度が小さい施策ともいえます。

ただし、値上げやアップセルと同様、顧客の目線に立って提案することが出来なければ、押し売り的な印象を与えかねません。あくまで、顧客目線にたった提案をすることが大切です。

購入頻度を増やす

二つ目の方法は、購入頻度を増やすということです。購入単価を増やしてもらうためには、顧客側に定期的に商品やサービスを思い出してもらう必要があります。思い出してもらうための仕組みとしては、メルマガの配信や、広告のリターゲティングバナーなどが有効です。また、購入の背中を押すためのキャンペーン施策(特価商品の案内など)も有効になります。

また、何度でも商品を買いたい、サービスを受けたいと思ってもらえるように、自社の商品やサービス自体の魅力を高めていくことも大切です。商品やサービスを利用したときに感じる価値(経験価値)を高め、ファンになってもらうことができれば、自ずと購入頻度も高まるでしょう。この考え方は、経験価値マーケティングとも呼ばれます。

経験価値マーケティングに関しては、別記事「経験価値マーケティングとは?経験価値マーケティングの事例や設計のポイントについてわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。

継続期間を伸ばす

三つ目の方法は、継続期間を伸ばすということです。サブスクリプション型のサービスを提供している企業であれば、契約期間を延ばすという方法もあります。例えば、半年契約→一年契約にする、など。ただし、売り手に都合の良い契約期間の延長を安易に行うことはお勧めしません。顧客側も意図を感じ取るためです。

継続期間を伸ばしてもらうための一番の方法は、顧客と長期的な信頼関係を結ぶことで、リピーターになってもらうことです。リピーターを自社の宝物だと認識して、競合に奪われないように気を配りながら、一人でも多くの顧客と長期的な信頼関係を構築しましょう。

獲得費用を減らす

四つ目の方法は、獲得費用を減らすということです。獲得費用を減らすことができれば、LTVとの差分から生まれる利益を増やすことが出来ます。ただし、獲得費用を減らすことで、顧客の獲得数が減ってしまっては本末転倒です。

そのため、少ない費用で今までと同等か、それ以上の効果が出るようにマーケティング施策の効果をチューニングしていくことが大切です。CAC(顧客獲得単価)を小さくし、顧客の獲得数自体は減らさない、といったことを達成するためには、費用対効果の高いマーケティング施策を検討しなければなりません。

費用対効果の高いマーケティング施策は何か、という問いに対する答えは、商品やサービスの特徴やターゲットによっても異なると思いますが、各マーケティング施策のCAC(顧客獲得単価)を計測し、費用対効果の高いマーケティング施策を見つけていくことが大切です。

維持費用を減らす

五つ目の方法は、維持費用を減らすということです。維持費用を減らすことができれば、獲得費用を抑えるのと同様に、LTVとの差分から生まれる利益を増やすことが出来ます。ただし、維持費用を減らすことで、顧客のクレームや解約数が増えてしまっては仕方がありません。その点は十分に留意するようにしましょう。

もし、必要最低限の維持費用を捻出すると利益が出ない(LTV−顧客獲得コスト−顧客維持コスト=赤字)場合には、その事業自体が採算の合わないものになってしまっている可能性があります。その場合は、事業自体の撤退も含め、検討した方がいいかもしれません。

コツ・留意点

LTVについて考える際のコツ・留意点です。

目先の数値だけに捉われない

一つ目のコツ・留意点は、目先の数値だけに捉われないということです。

例えば、あなたがマーケティングの担当として、会社から商品AのLTVを2倍に向上させろと言われたとします。この際に、商品Aの値段を2倍に上げたとしましょう。この場合、一時的にはLTVが倍になったように見せることができるかもしれません。

しかし、値段を2倍にした事により、長い目で見ると顧客獲得コストは大幅に増える可能性がありますし、既存顧客からも、クレームや解約などが発生し、顧客維持コスト、そして顧客数自体が大幅に減ってしまう可能性があります。また、今まで顧客との間に築き上げてきた信頼関係が毀損してしまう可能性も高いです。

このように、目先の数字だけを改善しようとしてはいません。商品AのLTVを2倍に向上させるのであれば、多少時間がかかったとしても、

  • 顧客数を2倍にする
  • 顧客の継続期間を2倍にする
  • アップセル、クロスセルの仕組みを整え、長期視点で倍購入してもらう

といった内容を達成するための戦略を立てる方が真っ当だと言えるでしょう。

LTVを高めるためにはリピーターを作る

二つ目のコツ・留意点は、LTVを高めるためにはリピーターを作るということです。

LTVを高めるためには、

  • 購入者数
  • 取引継続年数
  • 平均購入回数

といった数値を上げる必要があります。

これらの数値を上げるためには、商品やサービスを提供する際の接客の質を高めるなど、競合他社の商品やサービスと比較した際に+αの選ばれるポイントが必要です。

詰まるところ、自社の商品やサービスのファンを増やし、リピーターを増やしましょう。リピーターが増えれば、購入者数、取引継続年数、平均購入回数の各数値が増え、LTVを高める事につながります。

顧客に自社の商品やサービスのファンになってもらうためには、ブランド戦略(ブランディング)の考え方が参考になります。ブランド戦略の考え方を学び、顧客との長期的な信頼関係を築くための取り組みを検討しましょう。

ブランド戦略(ブランディング)に関しては、別記事「ブランディングとは?ブランド、ブランディング、ブランド戦略構築の手順についてわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。

さいごに

本記事では、LTV(顧客生涯価値)とは何かということや、LTVの計算方法、LTVを最大化するための方法についてご紹介しました。本記事をお読みくださった皆さまであれば、LTVを計算するためには、顧客との接点や取引情報の管理が大切だということがお分かりになったのではないでしょうか?

また、LTVを最大化するためには、顧客との信頼関係を高めるための継続的なアプローチだということもご理解いただけたのではないかと思います。

顧客のLTVを把握し、また、最大化するための取り組みを行うためには、顧客情報をデータベースで管理し、それぞれの顧客に対し、適切なタイミングで適切な情報を届け、購買プロセスの次のステージに進んでもらうように背中を押すことが必要です。

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