新規で事業を立ち上げようとすると様々な壁にぶつかると思います。その中でも「資金調達」という課題は大きな壁となるのではないでしょうか?
資金不足に悩んでいるときに役に立つのが、補助金・助成金です。今回は、新規事業立ち上げ時の利用をおすすめできる補助金・助成金について説明します。
目次
新規事業立ち上げに補助金・助成金を利用するメリット
補助金・助成金を利用することで得られるメリットはいくつかあります。ここでは、「返済の必要がない」「政策・方針に合わせた事業展開ができる」「詳細な計画が立てられる」といった3つのメリットについてご説明していきます。
返済の必要がない
借入金は返済する義務が発生しますが、補助金や助成金は、原則返済を求められることがないお金です。銀行など金融機関からの融資のみだと、事業がうまく進まなかった場合、厳しい返済スケジュールに追われるリスクも想定されます。補助金や助成金を受給することにより、そのようなリスクを抑えることも可能になります。
政策・方針に合わせた事業展開ができる
国の機関・地方自治体は政策目標を実現しやすくするために、政策・方針に則った事業を資金面で支援しようとします。裏を返せば、補助金・助成金の対象となる事業は国の機関・地方自治体が望んでいる取組みだと言えます。
詳細な計画を立てられる
補助金申請時は、経営計画書を提出することが多々あります。経営計画書には、事業を展開するにあたってさまざまな項目を具体的に書く必要があります。そのため、自社の事業計画を見直すことにも繋がります。
新規事業におすすめの補助金・助成金
ここからは、新規事業立ち上げを助ける補助金・助成金おすすめ8選をご紹介します。
IT導入補助金
ITツール導入経費の一部を補助することで、業務効率化と売上増加を支援することがIT導入補助金の目的です。
こちらの補助金の申請枠は、以下の通り3つに分かれています。
・通常枠(A・B型類)
・セキュリティ対策推進枠
・デジタル化基盤導入枠
それぞれの申請枠で申請できる経費についても確認しましょう。
通常枠(A・B型類)で申請できるのはクラウド利用料(1年分)、ソフトウェア費、導入関連費といった費用です。
セキュリティ対策推進枠は、サービス利用料(最大2年分)が申請対象の費用です。ここでいうサービスとは、IPAが公表している事前登録された事業者のサービスを指します。
デジタル化基盤導入枠はクラウド利用費(最大2年分)、ソフトウェア購入費、ハードウェア購入費、導入関連費が申請できる費用となっています。
キャリアアップ助成金
労働者のキャリアアップを促進するべく設けられた制度です。非正規雇用労働者を正社員として雇用、従業員の処遇改善、教育訓練の実施などの取組みをした事業主に対して助成金が支給されます。
経験豊富な人材の採用が難しい創業したての企業や知名度があまり高くない企業にとっては、未経験の人材を育成することも大きな課題となるでしょう。キャリアアップ助成金を活用することで、十分な資金で従業員を育てていくことができるのです。
小規模事業者持続化補助金
働き方改革やインボイス導入などの相次ぐ制度変更に小規模事業者等が対応できるようにするため、販路開拓などの取組みに対して補助金を交付し、小規模事業者等の支援を目的としています。
ちなみに、小規模事業者の定義についてはこちらです。
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く):常時使用する従業員の数が5名以下
宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数が20名以下
製造業その他:常時使用する従業員の数が20名以下
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
中小企業・小規模事業者等の、経営改革のための設備投資を支援する目的で設けられた補助金制度です。新商品の開発や新たな生産方法の導入などを検討している企業にうってつけです。
創業助成金
東京都内での開業促進を目的として、東京都が設けている助成金制度です。都内で創業を予定している者、もしくは創業から5年以内の中小企業者等が対象となっています。
助成対象は広告費、賃借料、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費と多岐にわたります。都内の創業期の企業はチャレンジして損はないでしょう。
地域中小企業応援ファンド
中小企業への助成金制度を設けているのは、東京都だけではありません。
地域中小企業応援ファンドは、地元の農林水産物や伝統技術を用いた商品開発・販路開拓の取組みを支援する取組みです。
地域中小企業応援ファンド一覧を確認すると、現在23道県が助成金制度を設け、地域に貢献する企業を応援しています。
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継や事業再編、事業統合を促進し、経済の活性化を図ることを目的とする補助金です。
事業承継・引継ぎ補助金の申請類型は、次の3種類があります。
・事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)
・事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)
・事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ)
事業承継などを通して新しく事業を始める方は、ぜひ検討してみてください。
事業再構築補助金
新型コロナなどの影響で売り上げが大きく下がってしまった企業も中にはあるでしょう。そのような企業におすすめなのが、事業再構築補助金です。新分野への展開や事業・業種の転換などの、思い切った事業再構築への挑戦を支援することを目的としています。
第7回公募からは新しく「緊急対策枠」を設け、新型コロナの影響を受け、さらに原油価格・物価高騰などにより経営が厳しくなってしまった中小企業を重点的に支援しています。
さいごに
今回は、新規事業立ち上げに役立つ補助金・助成金について解説しました。
中小企業庁が発行している資料によると、国や自治体が交付している補助金・助成金に対する認知率は51.5%にとどまっています。また、申請方法が複雑だという声もあり、実際に補助金・助成金を受給した中小企業は多いとは言えません。
しかし、補助金・助成金には返済不要などのメリットがあります。まとまった資金が必要な新規事業立ち上げの際は、ぜひご活用ください。