営業×マーケの分断をなくす。商談を安定的に生み出す “ 仕組み化 ” の考え方

営業とマーケの分断が、商談の安定化を阻んでいませんか?
営業チームとマーケティングチームが、同じ方向を向いて動けていない。
多くの企業で、この“分断”が商談数の伸び悩みやリードの低品質化を招いています。

営業は「リードの質が悪い」と言い、マーケは「営業がフォローしてくれない」と嘆く。
お互いに努力をしているのに、結果がかみ合わない。──この構図は、多くのBtoB企業が抱える典型的な課題です。

実は、原因は「どちらの努力が足りないか」ではなく、「仕組みがないこと」にあります。
属人的な調整や現場の頑張りに頼る限り、連携は再現されず、商談は一時的な成功に終わります。

本記事では、当社が実際に支援してきた企業の成功プロセスをもとに、営業×マーケの分断をなくし、商談を安定的に生み出す“仕組み化”の考え方を解説します。

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営業×マーケ連携がうまくいかない“3つの壁”

営業とマーケティングが連携しているようで、実際には成果につながっていない──。
それは多くの企業で起きている「構造的な問題」です。

原因は、個人の能力や熱量ではなく、組織設計やKPIの持ち方にあります。
ここでは、当社がこれまで支援してきたBtoB企業でも頻出した、“連携を阻む3つの壁”を整理します。

壁①|KPIのズレが生む「評価軸の断層」

営業は「受注」を追い、マーケは「リード数」を追う。
この構造では、目指すゴールがそもそも異なります。

マーケは「リードが多ければ成果」と考え、営業は「リードの質が低ければ無駄」と感じる。
その結果、数字の報告会は“相互不信の確認作業”になりがちです。

重要なのは、“共通のKPI”を持つこと。
具体的には、「SAL(Sales Accepted Lead)」や「商談率」など、“リードが営業に引き渡された後の指標”を、営業・マーケ双方の評価基準に組み込むことが有効です。
こうすることで、両者が「同じ数字を追う」状態が生まれ、初めて“連携”が成果につながるようになります。

壁②|「リードの質」の認識ギャップ

営業が「熱量の低いリードばかり」と不満を持つ一方で、マーケは「資料DLやセミナー申込は順調」と満足している。

このすれ違いの本質は、“リードの定義が共有されていない”ことにあります。
たとえば、

・マーケにとっては「フォーム入力=MQL」
・営業にとっては「商談意欲あり=SAL」

この差が埋まらないまま施策を回しても、温度感の異なるリードが営業に渡され、結果的にフォロー漏れ・二度手間・リソース浪費が発生します。

解決の第一歩は、「どんな状態のリードを営業に渡すのか」を定義し、MQL → SAL → SQL の“判定基準”を組織で統一することです。
この「共通言語化」こそ、属人対応から脱却するための最初の仕組みです。

壁③|データと会話の断絶

マーケがMA(マーケティングオートメーション)で分析している数値と、営業がSFAで追っている商談データ。
この2つが連動していない企業は少なくありません。

例えば、セミナー参加者が翌月の商談につながったのか、ホワイトペーパーDL後に再接触したのか──。
この“つながり”を誰も把握できていない状態では、施策の改善は属人的な勘と経験に頼るしかなくなります。

ここで必要なのは、「データでつなぐ仕組み」です。
ツールの統合だけでなく、

・データの入力ルール
・リード引き渡し時のコメント欄の使い方
・MA→SFAの連携タイミング

などを明文化することで、情報共有が“仕組みとして”機能しはじめます。

💡 まとめ:この章のポイント 原因 解決の方向性
KPIのズレ 成果指標が異なる 共通KPI(SAL・商談率)の設計
リードの質のギャップ 定義が共有されていない MQL/SALの共通基準化
データと会話の断絶 ツールと運用が分離 MA/SFA連携+運用ルール明文化

この3つの壁を取り除くためには、「個人の調整力」に頼るのではなく、“仕組み”として連携を再設計する発想が不可欠です。
次は、その具体的なアプローチである「属人連携 → 仕組み連携」への転換方法を解説します。

“属人連携”から“仕組み連携”への転換

営業とマーケの連携が続かない最大の理由は、「一部の人が頑張っているうちはうまくいくが、いなくなった途端に止まる」からです。
つまり、成功が“人”に依存している状態です。

この章では、そこから脱却し、再現性のある“仕組み”で連携を回すための3つのステップを解説します。

ステップ①|「定義の共通化」から始める

最初にやるべきは、“用語のすり合わせ”です。
当たり前のように使われている「リード」「MQL」「SAL」も、部門によって意味が違うことがよくあります。

たとえば、
・マーケにとっての「リード」=資料をDLした人
・営業にとっての「リード」=電話で話せる見込み客

この認識のズレがある限り、どれだけ会議を重ねても連携は成立しません。
まずは、組織全体で共通の定義をつくることがスタートラインです。
当社では、以下のような整理を推奨しています。

用語 定義 目的
MQL 興味を示した見込み客(DL、セミナーなど) ナーチャリング対象の特定
SAL 営業がアプローチ可能と判断したリード 商談化率の向上
SQL 実際に商談が成立したリード 成約管理・予測

このように定義を明文化することで、「どこからが営業の責任範囲か」が明確になり、責任の押し付け合いがなくなります。

ステップ②|「プロセスの可視化」で共通の指標を持つ

定義を共有できたら、次は“流れ”を見える化します。
営業・マーケのどちらも、商談までの全体プロセスを一枚のファネルで把握できるようにすることが重要です。

たとえば、以下のようなフローです。

リード獲得 → MQL判定 → SAL引き渡し → 商談 → 受注

このフローに対して、それぞれの転換率(CVR)を定期的にモニタリングします。

フェーズ KPI 目安値(例)
MQL → SAL 承認率 35〜45%
SAL → 商談 商談化率 50〜60%
商談 → 受注 受注率 20〜30%

この“数字の共通言語化”により、「どのフェーズがボトルネックか」を営業・マーケが一緒に議論できるようになります。

数字で語れるようになると、会議の質が変わり、責任の所在が「人」ではなく「プロセス」に移ります。
それが、“仕組み連携”の第一歩です。

ステップ③|「仕組み」で再現性を持たせる

最後のステップは、属人的な成功パターンを仕組みに落とし込むこと。
ここで多くの企業が勘違いしがちなのが、「ツール導入=仕組み化」だと思ってしまうことです。

実際は、ツールは“仕組みを支える部品”にすぎません。

仕組みとは、

・誰が
・いつ
・どんな基準で
・どのように次のアクションを取るか

を明文化した「運用ルール」のことです。

たとえば、

・MAでスコアが60点を超えたらISが架電
・架電後、コメントをSFAに残す
・7日以内に営業が接触しない場合は再架電

といった“判断基準”と“動作条件”が明確であれば、担当者が変わっても同じ成果を再現できます。
こうしたナーチャリング〜商談創出の流れを一気通貫で設計し、「少人数でも再現できる商談創出モデル」を構築することが大切です。

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💡 まとめ:仕組み連携を成功させる3つの条件 意味 成功企業の特徴
共通定義 言葉と指標をそろえる MQL/SAL/SQLを定義書に明記
可視化 全体フローを共有 ファネルを数値で追える
再現性 プロセスを仕組み化 ツール+運用ルールの統合

属人連携から脱却するとは、「誰がやっても同じ成果が出る」状態をつくることです。

商談を安定的に生み出す“仕組み化”の4ステップ

営業・マーケティングの連携がうまくいかない原因の多くは、「リードが生まれてから商談になるまでの“道筋”が設計されていない」ことにあります。
リード獲得施策、ナーチャリング、インサイドセールス──それぞれが個別最適化されており、“全体の流れとして商談を生み出す仕組み”になっていないのです。
当社では、この分断を解消し、コンテンツを中心に「リード創出 → 育成 → 商談化 → 受注」をつなぐ仕組みを次の4ステップで構築しています。

ステップ①|共通KPIを設計する

まず着手すべきは、営業・マーケの目標をつなぐ共通KPI設計です。
「マーケはリード数、営業は受注数」という構図では、連携していても数字のベクトルが噛み合いません。

そのギャップを埋めるのが「SAL(Sales Accepted Lead)」です。
マーケが生み出したリードのうち、営業が“商談候補”と認めた数を共通KPIに設定します。

目的 指標例 補足
商談創出 SAL件数 “営業が有効と判断したリード数”
受注安定化 商談率 “MQL→SAL→商談の転換率”
成果最大化 受注率 “商談→成約までの比率”

この中間KPIを明確にすることで、「マーケのリード施策が営業の成果にどう寄与しているか」を可視化でき、部門間の目線が一気にそろいます。

ステップ②|リードの質を“スコアリング”で定量化する

次に、リードを感覚ではなくデータで判断できる仕組みをつくります。
行動データと属性データを組み合わせた「リードスコアリング」を仕組みとして設計します。

スコア種別 内容例 目的
行動スコア 記事閲覧・ホワイトペーパーDL・セミナー参加 関心度の把握
属性スコア 業種・規模・職種・役職など 商談確度の見極め
エンゲージメント メルマガ開封・クリック率 温度感の確認

スコアが一定値(例:60点)を超えたリードを「SAL候補」としてインサイドセールスに引き渡す。
これにより、“営業が追うべきリード”を自動的に判別でき、リソースを本当に可能性の高い見込み客に集中させられます。

ステップ③|ナーチャリングを“コンテンツ”で仕組み化する

リードがすぐ商談化するケースはわずかです。
多くの見込み客は「検討前期」におり、適切な情報提供がなければ興味を失います。

ここで重要なのが、“コンテンツを使ったナーチャリング”です。
SEO記事・ホワイトペーパー・メールを連動させ、「顧客の温度を上げるストーリー」を仕組みとして設計します。

フェーズ 顧客心理 活用コンテンツ例
認知期 自社の課題を漠然と感じている SEO記事/オウンドメディア記事
検討期 解決策を探している ホワイトペーパー/セミナー
具体期 導入を真剣に考えている 事例記事/導入ガイド/比較資料

このように、コンテンツを“ナーチャリング装置”として配置することで、メールや広告に頼らずとも、自然に顧客の理解度と関心度が高まります。
コンテンツは単なる情報提供ではなく、商談を生み出すための「仕組みの中核」として機能するのです。

ステップ④|PDCAを“組織単位”で回す

仕組みを構築したら、次はそれを継続的に改善する仕組みを作ります。
商談の数値を「マーケ」「IS」「営業」がそれぞれ別で見るのではなく、共通ファネルを基盤に、組織全体で振り返る文化を定着させます。

💡 まとめ:商談を安定的に生み出す仕組み化の4ステップ 内容 Prollectの支援領域
① 共通KPI設計 成果指標をSAL中心に統一 KPI設計ワークショップ支援
② リードスコアリング データで優先度を判断 MA運用/スコア基準設計
③ コンテンツナーチャリング コンテンツで温度を上げる 記事/WP/シナリオ設計
④ PDCA運用 データで改善サイクルを回す レポート設計/ROI分析

特に注目すべきは「コンテンツ別商談率」です。
記事やホワイトペーパーごとにどれだけ商談を生んでいるかを可視化し、次の制作テーマや改善にフィードバックします。
これにより、“マーケ施策がどの程度、営業成果に貢献しているか”を数値で追えるようになります。

当社では、これら4ステップを“コンテンツを中心に”再現可能な形で設計・実装します。
SEO記事で興味を喚起し、ホワイトペーパーで課題を深掘り、メールやISで商談へつなぐ──。
この一連の流れを、「社内で再現できる仕組み」として定着化するのが「コンテンツマーケティング支援サービス」です。

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成功企業に共通する“3つの仕組み”

商談創出を“偶然”ではなく“必然”として再現できる企業には、共通点があります。
それは「文化」「データ」「ナレッジ」の3つが仕組みとして定着していることです。

仕組み①|KPI連動の文化がある

成功企業の第一の特徴は、KPIが組織の共通言語になっていること。
営業・マーケ・ISの各部門が、同じファネルを参照しながら議論を行い「どこで摩擦が起きているか」を数値で把握できています。

この状態では、指摘や報告ではなく“合意された分析”が行われます。
数字を通して課題を共有できる文化があるほど、施策改善のスピードと精度は上がります。

仕組み②|データドリブンな意思決定ができている

もう一つの特徴は、意思決定が感覚ではなくデータに基づいていること。
商談創出の源泉を特定できている企業は、施策単位でROIを可視化しています。

たとえば、

「SEO記事経由のリードが最も商談化率が高い」
「DL後7日以内の架電が最も受注率が高い」

といった“事実”をもとに、リソース配分を合理的に再設計しています。
この「因果関係を見抜く構造化視点」こそが、成果を再現し続けるための核心です。

仕組み③|ナレッジを仕組み化して再現性を保つ

三つ目の特徴は、成功パターンをナレッジとして再利用できていること。
属人的な成功を終わらせる企業は、成果をもたらした行動や判断をテンプレート・ルール・シナリオに落とし込み、組織で共有しています。

・商談化につながったメールの構成
・高反応だった記事テーマやWP構成
・有効だったスコアリング条件

こうした“成功の構造”を共有資産に変えることで、担当者が変わっても成果が維持されます。

💡 まとめ:成功企業に共通する3つの仕組み 意味 成功企業の特徴
共通定義 言葉と指標をそろえる MQL/SAL/SQLを定義書に明記
可視化 全体フローを共有 ファネルを数値で追える
再現性 プロセスを仕組み化 成功パターンをナレッジ化

商談を安定的に生み出す力は、施策の量や速さではなく、構造の質にあります。

KPIという「共通の尺度」を軸に、データで意思決定を行い、成果の構造をナレッジとして残す──。
この3つが連動した組織だけが、再現性のある商談創出を実現できます。

仕組み化を定着させるためのコツと留意点

営業×マーケの「仕組み化」は、一度設計して終わりではありません。
むしろ設計後の運用フェーズで“仕組みが文化化するかどうか”が成果を分けます。

数多くの企業を支援する中で、仕組みを“回る仕組み”に育てる企業ほど、次のような共通点があることを確認しています。

コツ①|仕組みよりも「共通理解」を先につくる

ツールやルールを導入する前に、「なぜこの仕組みが必要なのか」をチーム全体で理解することが重要です。

人は「理解できない仕組み」には従いません。
定義・目的・判断基準を先に共有し、“納得の上に運用が乗る”状態を作ることで、仕組みは定着しやすくなります。

コツ②|仕組みを「最小単位」で試す

仕組み化を成功させる企業は、最初から完璧を目指しません。
小さくテストし、データで効果を見ながらスケールさせていきます。

例:
・まずは1業界だけでリードスコア設計を検証
・1本のSEO記事+1本のWPでナーチャリングシナリオを回してみる

仕組みは“動かしてから整える”ものです。
仮説と改善のリズムを早く回すことで、仕組みが「生きた設計図」になります。

コツ③|数値ではなく「構造」で振り返る

KPIを追うこと自体が目的化してしまうと、数字は動いても仕組みは育ちません。
大切なのは、「なぜその数字になったのか」を構造で捉えること。

・リード数が増えた=SEO流入が伸びたが、質が落ちた
・商談率が下がった=ナーチャリング導線が弱かった

このように、“プロセスのどこに因果があるか”を定点で見ることで、データが「改善の指針」として生きてきます。

コツ④|「運用の定例化」と「ナレッジ化」をセットにする

仕組みを定着させる最後の鍵は、定例運用とナレッジ共有の両立です。
週次・月次で数値を振り返る中で、改善の成功事例を残していく。
PDCAが「数字を報告する場」から「ナレッジを更新する場」に変わると、組織全体の再現性が飛躍的に高まります。

💡 まとめ:仕組み化を定着させる4つのコツ 内容 成果に与える影響
共通理解をつくる 理解と納得の上に仕組みを置く 文化として定着しやすい
小さく試す 検証と改善を繰り返す 現実的な運用に進化
構造で振り返る 数字の背後の因果を見る PDCAの質が向上
ナレッジ化する 成功の構造を共有化 再現性の維持

結論:仕組みは「設計」ではなく「運用の言語化」である

営業とマーケの分断をなくす仕組みとは、固定化されたルールではなく、組織が共通の言葉で動ける構造のことです。

仕組みを“作る”ことよりも、“運用しながら言語化し続ける”ことが本質。
その積み重ねが、やがて文化となり、商談が安定的に生まれる「再現性ある組織」を育てていきます。

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