BtoBマーケティングとは、企業間取引におけるマーケティング業務のことを指します。効率的に商談を生み出す仕組みづくりを担います。
企業間取引では、製品・サービスの購入をロジカルに判断する傾向があります。ほとんどの企業では社内を説得する必要があるためです。そのため、BtoBマーケティングをロジカルに実践すれば、効率的に商談を生み出すことができるようになるでしょう。
本記事では、BtoBマーケティングをこれから始めたい、という企業のマーケティング担当者さま向けにBtoBマーケティングを組織に定着させるための5つの手順についてご紹介していきます。
目次
BtoBマーケティングを組織に定着させるための5つの手順
BtoBマーケティングをはじめてから組織に定着させるためには、いくつかの手順を抑える必要があります。ここからは定着させるための5つの手順についてご紹介します。
売上目標から必要な受注・商談・リード数を把握する
BtoBマーケティングを実践するためには目標を明確にする必要があります。まずは、自社の事業目標の達成のために必要な商談・受注の数がどのくらいか把握することからはじめましょう。
次のようなステップで確認してみましょう。
- 必要な売上(売上目標)を明確にする
- 必要な新規受注数(受注目標数)を逆算する
- 必要な新規商談数(商談目標数)を逆算する
- 必要な新規リード数(リード目標数)を逆算する
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では、仮の売上目標金額をおいて、売上目標から受注・商談・リード数の把握する方法を考えてみましょう。売上目標は1億円、新規売上(獲得顧客売上)は4,000万円、平均受注単価は200万円とします。
上記の図のように、売上目標は1億円、リピート売上は6,000万円、平均受注単価は200万円とします。また商談数に対する受注数は20%、リード数に対する商談数は10%とします。この場合、売上目標1億円を達成するためには新規売上を4,000万円上げる必要があります。
更に逆算していくと、新規売上4,000万円を達成するためには、
4,000万円 ÷ 200万円 = 20件の受注数が必要。
20件 ÷ 20% = 100件の商談数が必要。
100件 ÷ 10% = 1,000件のリード数が必要。
となります。
このように、自社の売上目標から逆算して考え、達成のために必要な受注数、商談数、リード数を明らかにしましょう。
必要だとわかった受注数、商談数、リード数に関しては、それぞれKPIとして設定していただくのが良いと思います。
必要な受注・商談・リード数とのギャップを把握する
必要な受注・商談・リード数を把握することができたら、現状のリード獲得→商談→受注への各数値がどうなっているのか把握しましょう。リード獲得の経路が複数ある場合には、経路別にリード獲得→商談→受注への各数値がどうなっているのか把握できるようにしておきましょう。
数字を一元管理し、あらかじめ定点観測するための仕組みを作っておけば、どの経路(または施策)経由のリードが商談や受注に繋がっているのか、目標達成の見込みがどのくらいなのか、すぐに把握することができるようになります。
プロセスが整備されていない最初のフェーズでは、全体の数字を大まかに把握するところからはじめます。下記の図のような粒度でも、1,000件のリードを追加で獲得できれば、受注が20件増えることがわかります。
このような粒度の数字でも把握できれば、受注数を倍にする必要がある場合、
- リードを倍(+1,000)に増やす
- リード→商談の転換率を倍(20%)にする
- 商談→受注の転換率を倍(40%)にする
などの方法の中から、実現性の高い施策を検討することができます。
また、最初はExcel管理でも構いませんので、リード獲得→商談→受注に至るまでの数値を一元管理し、定点観測するための仕組みを作りましょう。
定点観測をしていくと、どの経路(または施策)経由で獲得したリードが商談や受注に繋がっているのか傾向が掴めるようになります。上記の図でいえば、○○○経由がリード数、商談数、受注数ともに高い数字を出しており他の施策と比べて効果が高いことがわかります。
プロセスを整備する
効率的に商談を生み出すために、大まかに把握した数字をBtoBマーケティングのプロセスに分解し、再整理していきます。また、プロセスから外れたリードデータの取り扱いについても決めます。
また、BtoBマーケティングのプロセスを細かく分解して管理する場合、Excelでは管理が煩雑になりがちです。ITツール(MA・SFA・CRMなど)を活用し管理を効率化しましょう。
プロセス上のボトルネックを改善する
BtoBマーケティングのプロセスの全体像ができ、リード数や流れが管理できるようになったら、ボトルネック(転換率が悪い、リードデータの総量が足らないなど)を把握し、改善していきましょう。
特にプロセスからの漏れ(離脱)については漏れが少ない状態になるように改善していきましょう。漏れが少ない状態であればリード獲得に資金を投下しても回収できるようになります。まずは、投下資金を回収できる仕組みを整備していきましょう。
改善するための施策に関しては、一つの施策だけで数字が改善するとは限らないため効果が見込める可能性がある、かつ試すことができる施策については、できるだけ多く試してみることをおすすめします。
マーケティングと営業で認識合わせをしながら進める
BtoBマーケティングの効果を最大化するためには、マーケティングと営業で認識合わせをしながら進めることが不可欠になります。
BtoBマーケティングのプロセスの細分化は専門性と生産性を高めますが、一方で部門間のコミュニケーションに軋轢が生まれてしまうといった別の問題を引き起こしがちです。
ターゲット顧客がリスト化されて明確に定まっている状態にないと、マーケティングや営業の担当者がそれぞれの主観に基づいてターゲットかそうでないかを判断してしまうことになりかねません。
そのため、上記の図のような状態にならないためにもターゲット顧客は誰か?という点に関しては、ターゲット顧客を選定条件でリスト化し誰が見ても分かるようにしておきましょう。
ターゲット顧客のリストを明確にしておき、共通の認識をつくり出すための手法をアカウント・ベースド・マーケティング(ABM)と呼びます。
BtoBマーケティングを組織に定着させる過程で必要になる手法なので、覚えておくようにしましょう。
アカウント・ベースド・マーケティング(ABM)に関しては、別記事「アカウントベースドマーケティング(ABM)とは?わかりやすく解説します」でもご紹介しております。合わせてご覧ください。
さいごに
本記事では、BtoBマーケティングを組織に定着させるための5つの手順をまとめました。
まずは、売上目標達成のために必要なリード数、商談数、受注数などを把握し、現状のままで達成できるのか、できない場合にはどのような対策をとるべきなのか、数値を元に関係者で議論できるようにしていきましょう。
そこから徐々にBtoBマーケティングのプロセスを細分化していき、専門性と生産性を高めていくようにしましょう。マーケティングや営業のプロセスは、急に大きく変えてしまうと部門間に軋轢が生じてしまうことが多いため、マーケティングや営業の部門間で連携をとりながら進めていきましょう。
さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。マーケティングの基礎知識と実践方法を体系的にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。