マーケティング費用とは?費用の決め方や費用対効果の確認方法について解説します

企業のマーケティング活動は多岐にわたります。そのため、マーケティング活動に関わる費用も多岐にわたります。

マーケティング費用を計上するためには、関係者から「どのような目的で、何にいくらのお金を投資して、どのような利益を見込んでいるのか」という説明を求められることになります。

また、経営資源には限りがあるため、マーケティング費用も湯水の如く使うことができるわけではありません。そのため、「なぜ、他の施策ではなく、その施策を選ぶのか」ということについても、説明を求められることになります。

これらを説明するためには、マーケティング費用の決め方や、費用対効果の確認方法について、理解しておかなければなりません。本記事では、マーケティング費用の決め方や、費用対効果の確認方法について解説いたします。

マーケティングとは

まずは、企業のマーケティング活動についてのおさらいです。マーケティングとは、市場のニーズを調査し、ニーズを満たせる商品やサービスを開発し、効率的に提供して収益を上げるための活動の総称です。市場調査、商品企画、広告宣伝、販売、商品の輸送や保管なども、それぞれがマーケティング活動の一つと言えます。

マーケティング活動は多岐にわたるため、企業によってマーケティング部門に求められる業務の範囲や役割も多岐にわたります。そのため、ある企業では市場調査や分析などの知識が重要視され、ある企業ではweb広告やデジタルマーケティングの知識が重要視される、といったことが発生します。

マーケティングという言葉には様々な意味が込められて利用されるため、実務においては、関係者間において「マーケティング」という言葉が具体的には何を指しているのか、認識合わせをしながら進めることが大切になります。

マーケティング費用とは

マーケティング費用とは、マーケティング活動を実行するために必要な費用になります。一般的なマーケティング費用の科目としては、広告費、販売促進費、販売人件費、販売管理費、輸送・保管費などが該当します。

ただし、前述したとおり、「マーケティング」という言葉が具体的には何を指しているのかは企業によっても異なるため、どの科目をマーケティング費用として計上しているかは、所属する組織の会計上のルールによって異なります。所属する組織の会計担当者に確認した方がいいでしょう。また、マーケティング費用を予算計上するためには、事前に稟議を通さなければならないこともあります。

稟議については、別記事「稟議とは?稟議書の書き方のコツと留意点についてわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。

マーケティング費用の決め方

マーケティング費用を決める方法にはいくつかのパターンがあります。本記事ではパターンを3つご紹介いたしますので、皆さまがマーケティングの予算を組むときのヒントにしていただければと思います。

決め方①:前年度のマーケティング費用をベースに決める

一つ目は、前年度のマーケティング費用をベースに決める方法です。この方法を採用している企業は多いと思います。この方法の良いところは、前年度からのマーケティング活動を継続する場合に予算が組みやすい、予算を振り分けやすい、稟議を通しやすい、経験則から費用対効果が推測しやすい、といった点にあります。

ただし、前年度のマーケティング費用をベースに予算を決めているので、前年度と同様のマーケティング活動に終始してしまう可能性も高くなります。前年度と同様のマーケティング活動に終始したとしても目標が達成できるのであれば別ですが、マーケティング活動自体を見直さなければ目標達成が難しいということもあると思いますので、注意するようにしましょう。

また、創業したばかりのスタートアップや立ち上げたばかりの新規事業のように、そもそも前年度のマーケティング費用が算出できないケースでは活用することができません。

決め方②:前年度の粗利に対して費用の割合を決める

二つ目は、前年度の粗利に対して費用の割合を決める方法です。粗利とは、売上から原価を引いた金額の総額になります。企業経営では、この粗利を原資として、人件費やオフィス経費、マーケティング費用などを捻出していきます。そのため、粗利に対してマーケティング費用に振り分ける割合(上限)を決めておくことで、マーケティング費用も湯水の如く使ってしまうことを防ぐことができます。

この方法の良いところは、マーケティング費用も湯水の如く使ってしまうことを防ぐことや、マーケティング担当者が利益に着目するようになる点が挙げられます。マーケティング費用を前年度よりも増やそうと思ったら、獲得する粗利の総額を増やすしかありません。利益を確保しようという姿勢は、上手く作用すれば、より費用対効果の高いマーケティング活動への投資、費用対効果の薄いマーケティング活動からの撤退、安易な値下げの防止、営業部門との連携強化などに繋がっていきます。

ただし、前年度の粗利に対して費用の割合を決めるため、①の方法と同様に、創業したばかりのスタートアップや立ち上げたばかりの新規事業では活用することができません。また、前年度の実績が悪ければマーケティング費用の総額が少なくなるため、結果、その事業におけるマーケティング活動の縮小に繋がりかねません。

そのため、この前年度の粗利に対して費用の割合を決めるという方法は、事業の継続的な成長(売上や粗利の拡大)が見込めるようになってきてから、有効に機能する方法とも言えます。

決め方③:目標達成から逆算してマーケティング費用を決める

三つ目は、目標達成から逆算してマーケティング費用を決める方法です。この方法は、目的を達成するために必要なマーケティング活動を洗い出し、それに必要な費用を算出するという、非常にスタンダードなマーケティング費用の決め方になります。

この方法の良いところは、目標の達成ありきでマーケティング活動とそれにかかる費用を決めているため、目標達成の可能性が高いということです。また、目標達成から逆算してマーケティング活動や費用を決めているため、稟議を通しやすい、ということもあります。

スタンダードな方法ではありますが、非常にマーケティングの知見や実務経験が求められる方法であるとも言えます。例えば、目標達成から逆算して戦略や戦術を練ってマーケティング施策に落とし込む力や、投資する費用に対する費用対効果をあらかじめ推測して関係者に説明する力が求められます。

費用対効果に対する見通しが甘いと、投資した費用に対して十分な利益を確保できないことがあります。また、あらかじめマーケティング費用の上限を決めておかないと、利益を産まないマーケティング活動に対して多額の費用をかけてしまう可能性も高くなります。これは、経営資源に限りがある中小企業(特に、創業したばかりのスタートアップや立ち上げたばかりの新規事業)にとっては致命傷になりかねないので注意が必要です。

そのため、この方法を採用する場合、マーケティングの知見やノウハウがないとマーケティング費用を組むことが難しくなります。社内にマーケティングの知見やノウハウがない場合には、マーケティングの知見を持った専門家にアドバイスを求めることも大切になります。

マーケティングの費用対効果の確認方法

続いては、マーケティングの費用対効果の確認方法について解説します。「なぜ、他の施策ではなく、その施策を選ぶのか」という問いに答えるためには、選んだ施策の有効性、つまり、費用対効果が説明できなければなりません。では、マーケティングの費用対効果の確認するためには、どのような方法があるのでしょうか?マーケティングの費用対効果を計算で表す方法はいくつか存在するのですが、本記事では、特に抑えておきたい3つの方法をご紹介します。

確認方法①:ROI(Return on Investment)

一つ目は、ROI(Return on Investment)です。ROIとは、投資(投入した費用)に対してどれだけのリターン(利益)があったのかを表す指標です。ROIは、以下の式で計算されることが一般的です。

『利益÷投資額×100=利益回収率(%)』

ROIは、投資に対する利益率をパーセンテージ(%)で表します。ROIを導き出すことは非常に重要です。投資した費用に対してどのくらいの利益が戻ってくるのかわかるため、投資判断がしやすくなります。また、限られた経営資源をROIのより高い施策に投下することができるようになるため、事業の成功率を上げやすくなります。

確認方法②:ROAS(Return on Advertising Spend)

二つ目は、ROAS(Return on Advertising Spend)です。ROASとは、広告費用に対して、広告経由でどれだけのリターン(売上)があったのかを表す指標です。広告の費用対効果を表す際に活用する方法で、マーケティングの現場でも耳にする機会が多い指標です。ROASは、以下の式で計算されます。

『売上÷広告費×100=売上回収率(%)』

売上回収率とは、広告費1円に対して、いくらの売上が上がったのかを表しています。複数の媒体を利用して広告を行う場合、媒体別の効果を比較するのに利用されます。

確認方法③:CPA(Cost Per Acquisition)

三つ目は、CPA(Cost Per Acquisition)です。CPAとは、コンバージョン(CV)を1件獲得するのに対し、いくらの広告費用がかかったのかを示す値です。顧客獲得単価とも呼ばれる指標です。CPAは、以下の式で計算されます。

『広告費÷コンバージョン(CV)数=顧客獲得単価(¥)』

CPAも、ROASと同じで広告の費用対効果を表す際に活用する方法で、マーケティングの現場でも耳にする機会が多い指標です。CPAの数値が低い(顧客獲得単価が低い)方が、少ない広告費でより多くのコンバージョン(CV)を生み出すことができるということになります。

ROASやCPAは便利な指標ですが、実際に活用する際には注意が必要です。ROASは売上をベースにして売上回収率を導き出しているため、売上回収率の数字が高くても、利益ベースで見ると利益が上がっていないこともあります。例えば、売上に対する利益率が低く、利益ベースでは広告費を下回ってしまうような状態です。また、CPAも同様で、顧客獲得単価が低くても、利益ベースで見たときに利益が上がっていないことがあります。例えば、一人あたりの顧客から獲得できる利益がCPAを下回ってしまうような状態です。

このように、広告投資に対してどれだけの成果が上がったとしても、実益が伴わなければ事業投資としては成功とは言えません。そのため、ROASやCPAは単独で活用するのではなく、ROIと併用して活用するようにしましょう。ROASやCPAとROIの双方の数値の高い状態を目指すことが大切です。

マーケティングの費用対効果の高め方

ここまで、マーケティング費用の決め方や費用対効果の確認方法についてご紹介してきました。しかし、マーケティング費用は限りあるものです。マーケティングの費用対効果が悪いと感じたら、どのような対策を検討するべきでしょうか。

費用を抑える

一つ目の対策方法としては、費用を抑えるということです。マーケティング活動の中で、費用対効果の悪いマーケティング活動があれば、その活動を止めることができないか、もしくは費用を削減することができないか考えてみましょう。

また、ITツールを活用することにより、業務を効率化し、マーケティングに関わる人件費や外注費を削減することができる場合もあります。近年では、マーケティングオートメーションをはじめ、マーケティング業務を効率化するのに役立つITツールが数多く登場しているので、それらを有効活用することでマーケティング活動全体にかかる費用を削減できないか、検討してみると良いでしょう。

ただし、注意したいのは、ただ費用を少なくすれば良いという訳ではないということです。効果が変わらないのであれば費用を減らせば費用対効果は上がりますが、費用を減らす以上に効果が下がってしまうのであれば、費用対効果が悪化してしまうことになります。

効果を高める

二つ目の対策方法としては、効果を高めるということです。マーケティング活動の効果を高める方法はいくつか存在しますが、本記事では、「マーケティングの3つのM」というフレームワークを切り口にマーケティング活動の効果を高めることができないか見直してみることをお勧めします。

マーケティングの3つのMとは、

Market(市場、顧客)
Message(伝えたいこと)
Media(手段、媒体)

という、マーケティングを考える上で必要不可欠な3つの要素の頭文字を表しています。

マーケティングの3つのMについては、別記事「マーケティングの3つのMとは?シンプルで使いやすいマーケティングのフレームワーク」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。

Market(市場、顧客)の切り口では、マーケティング活動の費用対効果の高い市場や顧客層を探します。同じマーケティングのアプローチをするにしても、市場や顧客層によって、費用対効果が変わるということはよくあります。市場や顧客の代表的な切り口としては、業種や職種、従業員数や地域などがあります。

Message(伝えたいこと)の切り口でも、マーケティング活動の費用対効果を高めることができる可能性があります。同じ市場や顧客、もしくは同じ手段や媒体を使ったとしても、より魅力的にMessage(伝えたいこと)を伝えることができれば、同じマーケティング費用でも費用対効果を高めることができます。

Media(手段、媒体)の切り口でも、マーケティング活動の費用対効果を高めることができる可能性があります。同じ市場や顧客に対して同じメッセージを伝えるとしても、アプローチするための手段や媒体を見直すだけで効果が高まることがあります。例えば、メールでのアプローチが効果的な市場や顧客の層もあれば、FAXやDMの反応が良い市場や顧客の層もあります。

自社の手がける商品やサービスにとって、費用対効果が最も高まるMarket(市場、顧客)・Message(伝えたいこと)・Media(手段、媒体)の組み合わせを見つけることができれば、マーケティングの費用対効果を最大化することができるでしょう。

「言うは易く行うは難し」ではありますが、経営やマーケティングに求められる役割の一つが、少ない経営資源で大きな結果を出すことだったりします。ぜひ、チャレンジしてみましょう。

さいごに

本記事では、マーケティング費用の決め方や、費用対効果の確認方法について解説いたしました。

自社のマーケティング費用を計上するにあたり「どのような目的で、何にいくらのお金を投資して、どのような利益を見込んでいるのか」そして「なぜ、他の施策ではなく、その施策を選ぶのか」ということについて、説明するために必要な考え方については、ご理解いただけたのではないかと思います。

しかし、実際にこれらの問いに対する回答を明確して、関係者に対する説明責任を果たすためには、自社のマーケティングのプロセスとデータを整備し、投資した費用がどのような結果に結びついたのか、計測し評価できるようにしておかなければなりません。

最後は宣伝になってしまい恐縮ですが、当社では、マーケティングのプロセスを整備し、プロセスの上流からの漏れ(離脱)を最小限にすることで、限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間)で最大の付加価値をあげるためのスキームをご提供しております。

当社では無料相談も承っておりますので、こちらからお気軽にお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました。