OODAループとは?PDCAサイクルとの違いと使い方を解説します

「OODAループ」というビジネスフレームワークはご存知でしょうか?

よく「PDCAサイクル」の対比で語られることが多い用語です。PDCAサイクルは古くて、これからはOODAだ!のように考えている方も多いかもしれませんが、実はOODAとPDCAは利用目的が違うフレームワークで、どちらが良い/悪いという比較ではありません。

変化が激しく未来予測が困難な今の時代にこそ、あらゆるビジネスパーソンが使えるようになっておくべきフレームワークですので、この記事でOODAループについて理解していきましょう。

OODAループとは?

OODAループの基本的な内容から理解していきましょう。
ここではOODAループの利用目的と成り立ちについて解説しています。

OODAループの目的

OODAループの目的は、変化が激しい状況下において短時間で意思決定をすることです。

変化が激しい状況では、意思決定に時間を要していると行動をするときには状況が変わってしまっているというケースが多いです。OODAループでは短時間で行なう意思決定のプロセスを定義しています。

現代は「VUCAの時代」と言われることもあります。ITの発展により、技術進歩や製品開発のスピードが速くなっていたり、消費者の価値観も多様になっており、少し先の将来を正確に推測することが困難になっている状況を「VUCA」と表現します。

そんなVUCAの時代にこそ、OODAループは有効な意思決定のフレームワークと言えます。

OODAループの成り立ち

OODAループは、もともとはアメリカ空軍のジョン・ボイド大佐により提唱された意思決定と行動に関する理論です。

朝鮮戦争の空中戦において、アメリカ軍は相手国よりも性能の劣る戦闘機を使用していました。しかし結果はアメリカ軍の圧勝でした。ボイド氏は主な勝因を操縦士の意思決定速度の差にあると結論づけました。

その後、この意思決定のプロセスを一般化し、OODAループという理論へと昇華させたと言われています。

OODAループとPDCAサイクルの違い

OODAループとPDCAサイクルの違いは何でしょうか。

OODAループは「意思決定を素早く行なうためのフレームワーク」と説明しました。PDCAサイクルは「業務や品質の改善を行なうためのフレームワーク」です。つまり、両者はフレームワークを活用する目的が異なります。

以下で、詳細に解説していきます。

PDCAサイクルとは

OODAループとPDCAサイクルの違いを解説する前に、そもそもPDCAサイクルとは何かを説明します。

PDCAサイクルは、アメリカの統計学者であるウォルター・シューハートが1950年代に日本で統計的品質管理について講演をした際の内容を受けて、日本にも広まった考え方です。PDCAサイクルは、継続的な業務や品質の改善をすることを目的とした手法です。PDCAサイクルを活用することで、業務改善の観点・水準・頻度が明確になります。

PDCAサイクルについては、以下の記事でより詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
【PDCAの基本】失敗しないポイントやメリット・デメリットを徹底解説します

PDCAサイクルが適している状況

PDCAサイクルは「継続的な業務や品質の改善」を目的としています。

PDCAサイクルを活用するのに適している状況は、外部環境の変化が穏やかで、中長期の計画達成や課題設定を志向している状況です。

例えば、自社の既存ビジネスにおける3年スパンの成長目標の達成を目的としたときの販売プロセスを改善を検討するときなどに使えるフレームワークがPDCAサイクルです。

OODAループが適している状況

OODAループは「迅速な意思決定と行動の実現」を目的としています。

OODAループを活用するのに適している状況は、外部環境の変化が激しく、その変化に足しいて臨機応変に対応していくことが求められる状況です。

例えば、一般的には新規事業や最新技術を用いたスタートアップにおける事業運営などはOODAループが適している状況と言えるでしょう。

OODAループはPDCAサイクルに代わる考え方なのか?

OODAループは、迅速な意思決定と行動の実現をするためのフレームワークで、新規事業など激しく変化する外部環境に適応していく必要のある事業環境に適しています。

一方、PDCAサイクルは、継続的な業務や品質の改善を目的としており、中長期の目標達成にむけた課題設定をする必要がある状況に適しています。

以上のように、OODAループとPDCAサイクルは目的や活用シーンが異なっています。つまり、PDCAサイクルが古い考え方でOODAループが現代に即した考え方とは言えません。

自分の置かれた状況によって使い分けるか、組み合わせて使うのが理想的です。

この後ご説明しますが、OODAループは「ループ」という名の通り、1周して終わりではなく何周も回すことを前提としたフレームワークなので、PDCAサイクルの各プロセスにおいてOODAサイクルを回すという組み合わせが理想的な事業運営のあり方ということもできるでしょう。

OODAループ実行の4ステップ


ここからは、OODAループを実行する4つのステップを1つずつ解説していきます
OODAループは以下の単語の頭文字を取った考え方です。

  • Observe|観察
  • Orient|状況判断
  • Decide|意思決定
  • Act|行動
  • Observe|観察

    OODAループの1つ目のOは「Observe|観察」です。

    意思決定者が自身の置かれている、外部環境や内部環境についての状況を観察することからOODAループは始まります。

    重要なポイントは「一次情報」を把握することです。一次情報とは自身や他者の解釈が加わっていない事実のことです。”生のデータ”と言われることもありますが、その名の通り誰にも加工されていない事実を指します。

    意思決定者はまず、未加工の一次情報を把握することが大切です。
    ここで収集する情報が意思決定の起点となるので、収集する情報の量と質が不足していると意思決定の精度が下がります。

    情報の量の不足とは、自分が知りうる情報を100%としたときに不足している状態のことです。情報の質が不足しているとは、集めた情報に誰かの恣意的な解釈が入っていたりして誤った一次情報となっていることを指します。

    OODAループの最初のプロセスであるObserve|観察においては、丁寧な一次情報の収集が最重要なポイントとなります。

    Orient|状況判断

    OODAループの2つ目のOは「Orient|状況判断」です。

    ここで初めて一次情報に対する解釈を加えます。
    解釈を加えられた一次情報を「インフォメーション」へと昇華されます。

    日本語では「情報」という言葉しかありませんが、英語では「データ」「インフォメーション」「インテリジェンス」と明確に言葉が使い分けられています。
    集められただけの一次情報は、それ自体では何も意味を持たない「データ」です。データを一定の基準で加工・抽出を行なうことで「インフォメーション」となります。インフォメーションに対して、解析を加えることで「インテリジェンス」になります。

    OODAループでは、一次情報を加工してインフォメーションとして捉え直すことで、状況に対して評価を加えます。

    例えば、以下の2つの事実があったとします。

  • 競合は新機能を毎月リリースしている。自社は隔月でリリースしている。
  • 自社製品のコンペ敗因の1位が「顧客の要件に機能が合わない」である。
  • 上記の2つの事実はそれだけでは特に意味を持たない情報(データ)ですが、そこに対して製品機能の豊富さが営業成約率・コンペ勝率向上の重要KPIだと判断するのが、データのインフォメーションへの昇華であり、Orient|状況判断です。

    Decide|意思決定

    解釈を加えた情報をもとに、具体的な行動や手段を選択し、指示を発することがDecide|意思決定のプロセスです。

    意思決定においては、
    1.組織の戦略や方針が前提となり、
    2.戦略や方針から考えうる選択肢を列挙し、
    3.過去の経験や実績・通説などから最も妥当性の高い選択肢を決定する
    という、3ステップで意思決定を行ないます。

    Act|行動

    OODAループの最後のプロセスは、Act|行動です。
    Decide|意思決定にて選択した選択肢を実行に移すプロセスです。

    行動した後は、行動した結果生まれた新しい事象をObserve|観察するというように、OODAループの頭に戻り、ループを繰り返します。

    OODAループのメリット

    OODAループのメリットとデメリットを解説していきます。
    まずは、OODAループのメリットからです。

    OODAループのメリットは以下の2点です。
    1.事業環境の変化を迅速に捉えやすくなる
    2.変化に対する適応が早くなる

    それでは1つずつ解説していきます。

    メリット1:事業環境の変化を迅速に捉えやすくなる

    OODAループのメリットの1つ目は、事業環境の変化を捉えやすくなることです。

    OODAループ実行の4ステップでも解説しましたが、OODAループではObserve|観察から始まります。このプロセスでは起きている事象に解釈を加えずに、未加工の一次情報として収集します。

    このプロセスがOODAループでは最重要なプロセスですが、このプロセスがループの初めにあるので事業環境の変化を比較的検知しやすくなります。

    これがOODAループの1つ目のメリットです。

    メリット2:変化に対する適応が早くなる

    OODAループの2つ目のメリットは、変化に対する適応が早くなることです。

    OODAループは観察→状況判断→意思決定→行動のサイクルを小さくスピーディに回すという考え方なので、環境の変化への対応が早くなります。

    競合よりも早く手を打つため、結果的に戦況が良くなっていくと考えられています。

    OODAループのデメリット

    一方、OODAループにはデメリットもあります。

    OODAループのデメリットは以下の2点です。
    1.状況判断をする人に依存してしまう
    2.知見の蓄積がしづらい

    それでは1つずつ解説していきます。

    状況判断をする人に依存してしまう

    OODAループのデメリット1つ目は、意思決定が状況判断(Orient)における仮説の精度に大きく依存してしまうことです。

    Orient|状況判断においては、事実としての一次情報を5つの基準で価値判断を含んだ情報としてのインフォメーションに変換していきます。

    5つの基準とは以下の5つです。
    1.文化的伝統
    2.分析・総合
    3.過去の経験
    4.新しい情報
    5.遺伝的特性
    これらを見て分かるように、上記の基準は人によって異なっていて、意思決定者が異なれば同じ一次情報を受けても、状況判断は変わる可能性があります。

    そして、状況判断を受けたあとの意思決定で大きく方向性が変わることはありえないので、一次情報を見た判断者の判断に結果が大きく依存してしまうという構造になっています。

    これが、OODAループの1つ目のデメリットです。

    知見の蓄積がしづらい

    OODAループの2つ目のデメリットは、知見の蓄積がしづらいということです。

    これもOrient|状況判断の一次情報の加工プロセスでご説明したように「データ」→「インフォメーション」→「インテリジェンス」という情報の加工プロセスがありますが、インフォメーションとインテリジェンスの間には分析や解析といった加工プロセスが挟まります。

    ただし、OODAループはデータをインフォメーションに変換した時点で意思決定をするので、インテリジェンスはその場の意思決定にしか存在しません。

    つまり、後世に残していくという構造にはなっていません。これがOODAループの2つ目のデメリットです。

    さいごに

    OODAループについての解説は以上です。
    戦時中に生み出された意思決定のフレームワークですが、現代のようなVUCAの時代にも活用できるフレームワークです。ぜひ、自社のビジネスにご活用ください。

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