マーケティングミックスとは?4Pと4Cの違いについてわかりやすく解説します

マーケティングミックスは、企業がマーケティング戦略を実行するための最適な施策を考えるために利用する、マーケティングの有名なフレームワークです。

この記事では、マーケティングミックスの使い方や、マーケティングミックスを構成する4つの要素(企業視点の4P、顧客視点の4C)について、わかりやすく解説していきます。

マーケティングミックスとは?

マーケティングミックスとは、ターゲットに働きかけるために必要な4つの要素の組み合わせのことをいいます。

マーケティングミックスの4つの要素は、企業からの視点では、製品(product)、価格(price)、流通(place)、販促(promotion)と整理することができ、それぞれの頭文字から、4Pと呼ばれています。4Pは1960年代に確立した考え方で、マーケティングミックスといえば、ほとんどの場合この4Pを表す言葉として用いられます。

また、4Pの登場から30年以上経った1990年代には、マーケティングミックスの4Pの考え方をベースに、顧客からの視点として4Cという考え方も登場しています。4Cは、4Pの4つの要素をそれぞれ顧客の視点から、顧客価値(Customer Value)、経費(Cost)、顧客利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)と置き換えて表現した内容になっています。

マーケティング戦略を実行するためには、4つの要素についてバラバラに考えるのではなく、マーケティング戦略を実行するために最適な施策の組み合わせかどうかを総合的に判断する必要があります。この際に、それぞれの施策を組み合わせて考え、総合的に判断するためのフレームワークとして利用されるのが、マーケティングミックスになります。

4P(企業からの視点)

それでは、マーケティングミックスを構成する4つ要素(企業視点の4P、顧客視点の4C)について、それぞれ解説していきます。まずは、企業視点の4P製品(product)、価格(price)、流通(place)、販促(promotion)について、順番に説明していきます。

製品(product)

まずは、製品(product)から見ていきましょう。製品は、マーケティング戦略を実行するための最適な施策を、製品を起点として考えることを指します。製品を起点として施策を立てるときには、製品を通じて、顧客に提供する価値をどのように増やしていくかを考えていきます。

具体的には、製品の品質やデザイン、性能や機能などを向上させ、顧客のニーズを製品で満たすといった考え方で、機能別に製品のラインナップを拡充していく、または、パッケージやデザインのパターンを増やしていく、といった施策の切り口をさしています。

価格(price)

次に、価格(price)です。マーケティング戦略を実行するための最適な施策を、価格を起点として考えることを指します。価格を起点として施策を立てるときには、まず、企業からの視点で、製品を提供するのにかかる製造コストについて考えていきます。一般的に、製造コスト以下の価格を維持して製品を販売し続けることはできないからです。

価格について考える際には、競合製品の価格にも注意する必要があります。製品が差別化されておらず、代替品が数多く存在する場合、競争は激しくなります。そのため、自社と競合との力関係も考慮した上で、適切な利益が獲得できる価格を設定する必要があります。

流通(place)

三つ目が、流通(place)です。流通とは、製品を顧客に届けるための流通経路のことを指します。まず、考慮すべきポイントは販売方法です。スーパーやデパートなどで店頭販売を行うのか、ECサイトを活用して販売するのか、それとも、営業担当者による提案活動が必要なのか、など、製品の特性に合わせて、適切な流通経路を考える必要があります。

また、誰が販売するのか、という点に関しても、直接販売するのか、外部業者に販売を委託するのかなど、製品特性に合わせて適切な方法を考える必要があります。いくら良い製品を作っても、顧客に届かなければ、売上は上がりません。そのため、売上と利益を最大化できるような方法を考えましょう。

販促(promotion)

四つ目が、販促(promotion)です。販促とは、販促施策のことを指します。製品を買ってもらうためには、まず、製品を知ってもらうことが必要です。そのために、広告、セールスプロモーション、人的販売、パブリシティ、口コミのバランスを考える必要があります。これは、商材の特徴などによっても変わってきます。

重要なのは、顧客にどのようなメッセージを伝えるか、どのような行動をとってほしいのか、ということです。何を顧客に伝えるべきか、顧客に抱いてもらいたい自社のイメージを踏まえてメッセージを決める必要があります。顧客との戦略的なコミュニケーションで、自社製品を認知してもらい、購入してもらえるようにしましょう。

4C(顧客からの視点)

続いて、4Cについて説明します。4Pが提唱された1960年代は、良いものを作れば売れる、という時代でした。しかし、製品やサービスが溢れた時代では、いくら良いものでも顧客から見て魅力的に映らなければ競合に負けてしまう、もしくは、選択肢自体に入らないということがあり得ます。そのため、4Pの各項目が顧客視点で再定義され、4Cが提唱されるようになりました。

4Cについて、顧客価値(Customer Value)、経費(Cost)、顧客利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の順番に説明していきます。

顧客価値(Customer Value)

まずは、顧客価値(Customer Value)です。顧客価値は、4Pの製品(Product)と同じ要素のことを指しています。ですが、企業の視点から考えるのではなく、顧客からの視点で、製品・サービスにメリットを感じるか、ベネフィットを感じるのかを捉え、顧客が感じるメリット、ベネフィットを最大化するためにはどうしたらいいのかと考えるための切り口となります。

経費(Cost)

続いては、経費(Cost) です。4Pの価格(Price)と同じ要素のことを指しています。企業が価格を設定するという価格戦略から、顧客の視点で、その製品はいくらで購入できるのか?購入するためにはどのくらい手間がかかるのか、または、どれくらいの費用、手間であれば購入するのが妥当だと感じるのか?という考え方です。

顧客がどのような状況なら、その製品・サービスに価値を感じるか、利用しやすいか、といったことを軸に売れやすい戦略を考えていきます。例えば、山に登った際、山の頂上で飲み物が割高な価格で売っていたとしても、価値を感じるのはその一例です。

顧客利便性(Convenience)

次は、顧客利便性(Convenience)です。4Pの流通(Place)と同じ要素のことを指しています。企業からの視点で施策を立てる際には、製品・サービスをどのような経路で流通させ、売上と利益を最大化するかという視点で考えます。

しかし、顧客からの視点で施策を立てる際には、顧客からみて入手しやすい方法を戦略として考えていきます。利便性には、製品・サービスの受け取り方法や受け取り場所以外にも、受け取るタイミング、サポート、アフターサービス、ユーザーコミュニティなどの様々な顧客体験が含まれます。

コミュニケーション(Communication)

最後は、コミュニケーション(Communication)です。4Pの販促(Promotion)では、企業側からの視点で顧客に伝えたいメッセージと接触方法を考えるというニュアンスが強く、一方的な接触になってしまいがちです。

顧客からの視点で考えるコミュニケーション(Communication)では、顧客がどのようなメッセージを求めているか、また、どのようなタイミング、頻度であれば、接触を心地良いと感じてくれるのか、という視点で考えていきます。

このようなコミュニケーションの考え方は、One to Oneマーケティングとも呼ばれています。一方的かつマスマーケティングのような数で勝負するのではなく、必要なユーザーに丁寧なコミュニケーション活動を行うことで、自社の製品・サービスに良い印象を感じていただき、販売しやすくする仕組み作りを構築することができます。

まとめ

マーケティングミックスについてまとめてみましょう。まずは、企業視点の4Pです。製品(product)は、顧客のニーズを満たす、良い製品・サービスを作ることが重要です。次に、価格(price)は、コスト、顧客、競合を考慮し、適切な価格を設定しましょう。三つ目に、流通(place)は、製品の入手しやすさを高めて、顧客の購入数と利益の最大値を目指します。四つ目は、販促(Promotion)は、製品を知って、買いたい、と思ってもらうために、適切な伝えるメッセージと、媒体を選んでいきます。

また、4Pを整理できたら、それぞれの要素を顧客視点の4Cに置き換えて、再度確認していきます。顧客価値(Customer Value)は、顧客視点で本当にその製品・サービスに価値を感じるのか、利用するのかを確認します。次に経費(Cost)では、企業が設定した価格が顧客視点で受け入れられるものか(高過ぎないか、満足度を下げないか)を確認します。顧客利便性(Convenience)では、顧客からみて十分に満足のいく体験価値を受けられる内容になっているかを確認します。コミュニケーション(Communication)は、顧客からみて丁寧なコミュニケーション活動になっているか、製品・サービスに良い印象を感じることができるかを確認します。

マーケティングミックスを利用する際には、4Pを行ったあとに、4Cでそれぞれの要素を確認していく流れをオススメします。マーケティング戦略を実行するためのそれぞれの施策が互いに整合が取れていること、企業側が顧客に抱いてもらいたいイメージと、顧客側が感じるイメージが一致していることが重要です。抜け漏れがないか、イメージとずれていないか、常に確認しましょう。

コツ・留意点

マーケティングミックスを利用する際のコツや留意点についても、2つご紹介しておきます。

一つ目に、4つのP(4つのC)の中で、昨今のICTの発展の影響を受けているのが、プロモーション(≒コミュニケーション)です。プロモーションの手法にも、SEOマーケティングやリターゲティングマーケティング、コンテンツマーケティングなど、新しい手法が次から次へと生まれています。全てを理解する必要はありませんが、トレンドは押さえておきたいところです。

二つ目は、ブランドの重要度の高まりです。ブランド価値を高める、つまり、顧客に製品やサービスに対して、忠誠心や執着心を持ってもらうことで、価格競争を強いられることなく、安定した経営を行うことができます。ブランドの価値を高めるためには、様々な方法がありますが、一番重要なことは、製品に対する高い満足度を、極めて高いレベルに引き上げることです。マーケティングミックスは、プロモーションのトレンドとブランドを意識して、取り組みましょう。

さいごに

いかがでしたでしょうか?本記事では、マーケティングミックスとは何かということや、4P(企業からの視点)と4C(顧客からの視点)の違いについて解説しました。

企業がマーケティング戦略を実行するための最適な施策を考えるためには、4Pや4Cのフレームワークで考えるとまとまりやすく、具体的な内容に落とし込みやすくなります。実際にマーケティングミックスを利用する際には、ぜひ、ご参考いただければと思います。

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