展示会で獲得した名刺がなかなか商談に繋がらない、商談に繋がらなかった名刺は保管したまま放置されてしまっている、そんな悩みを抱えたことのある人は多いのではないでしょうか。
展示会は名刺を獲得して終わりではありません。獲得した名刺がすぐに商談に繋がらなかったとしても、継続的にフォローアップを行うことで、後々の商談に繋がることもたくさんあります。
そこで、本記事では、展示会で獲得した名刺が商談に繋がらない理由や、商談に繋げるためのフォローアップのポイントについてご紹介したいと思います。
目次
展示会で獲得した名刺が商談に繋がらない理由
展示会に出展する企業は、多くの見込客リスト(名刺)とそこからの商談・成約(売上)の獲得を目的にしています。しかし、実際のところ、展示会で獲得した名刺からすぐに商談に繋がる確率は高くありません。せいぜい、数%程度なのではないでしょうか。
展示会で獲得した名刺は、なぜすぐに商談に繋がらないのでしょうか?理由は大きく3つあります。
来場目的はほとんどが情報収集
一つ目の理由は、展示会来場者は、業務に関係のある製品やサービスの情報を仕入れるなど、情報収集が目的の来場者がほとんどだということです。ある調査によると、購入検討が目的の来場者は全体の10%程度とのことです。そのため、すぐに商談になるような方との出会いは少なく、また、決裁権を持たない担当者の方が来場していることも多いのが現状です。
こうした来場者は、展示会後にレポートを上司に提出するなどして報告を行います。来場時にそのまま商談となることはほとんどありませんが、将来的に商談に繋がる可能性があるため、展示会後にフォローが必要となります。
相手はあなたをほとんど覚えていない
二つ目の理由は、展示会来場者は、名刺交換した相手の氏名や会社名を正確に覚えていることはほとんどない、ということです。これは、商品やサービスのデモンストレーションを行なった場合などでも同じです。
そのため、たとえ購入検討が目的の来場者だったとしても、来場者側から連絡してくるということはほとんどないでしょう。来場者はあなたの会社のブースだけでなく、競合のブースにも立ち寄っている可能性があります。展示会後、あなたよりも先に競合から連絡が来たのなら、競合との商談の予定を先に入れてしまうでしょう。
そのため、購入検討が目的の来場者は、展示会後にできるだけ早くフォローする必要があります。
獲得した名刺のフォローに手が回らない
三つ目の理由は、展示会で獲得した名刺のフォローに手が回らない、ということです。前述したとおり、展示会来場者は情報収集目的であれ購入検討目的であれ、フォローを適切に行うことで商談に繋がる可能性が高まります。ですが、実際には展示会後のフォローにまでなかなか手が回らない、といった声を多く耳にします。それには、以下のような理由があります。
- 理由1:いますぐ(今期)の売上が必要
- 理由2:売ろうとするほど提案活動に時間が割かれる
- 理由3:結果、見込み度の低い名刺のフォローに割く時間がない
このような理由から、あらかじめフォローのための仕組みを整えておかずに個人任せにしてしまうと、フォローが後回しになり、結局フォローされずに、各担当者の引き出しに名刺が眠ったまま、といった状態になりかねません。
ステップメールを活用するなど、あらかじめ、できるだけ人手をかけずに、継続的にフォローアップできる仕組みを整えておくことが必要になります。
商談化するためのフォローアップ4つのポイント
ここからは、「では、具体的にはどのようにフォローしたらいいの?」「商談化させるためには、どんなフォローを行えばいいのだろう」という疑問にお答えしていきます。
展示会で獲得した名刺を商談化するためのフォローアップのポイントは、大きく4つあります。
獲得した名刺を見込み度別に仕分けておく
一つ目のポイントは、獲得した名刺を見込み度別に仕分けておくことです。獲得した名刺を見込み度別に仕分けるためには、ヒアリングやアンケートを通じてBANT条件を確認する必要があります。
BANTとは、Budget(予算)、Authority(決裁フロー)、Needs(ニーズ)、Timeframe(導入予定時期)のそれぞれの頭文字をつなげたものです。BANTを明らかにすることで、ニーズがあるのか、また、購入を検討しているタイミングなのか、などの見込み度を見極めることができます。
BANTを確認し、見込み客度別にリストを仕分ける方法の参考例としては、下記のような分け方があります。
- 「いますぐ」(今が提案のタイミングの見込み客)
- 「そのうち」(タイミングがあえば提案できる見込み客)
- 「いつかは」(すぐには動かない見込み客)
- 「フォロー不要」(フォローの対象外)
「いますぐ」の見込み客は提案可否を確認のうえ、出来るだけ早く商談に繋げるためのアプローチを行うこと、「そのうち」「いつかは」の見込み客については、すぐには商談に繋がらなかったとしても継続的にフォローすることが大切です。
展示会終了後、すぐに御礼メールを送る
二つ目のポイントは、展示会終了後、すぐに御礼メールを送ることです。前述したとおり、展示会来場者は、名刺交換した相手の氏名や会社名を正確に覚えていることはほとんどありません。そのため、展示会後はすぐに御礼メールを送り、思い出していただけるようにしましょう。
御礼メールには、以下の要素を含めておくことをおすすめします。
- 展示会に出展した商品の情報
- 説明した内容の要約(導入メリットや、競合との違いなど)
- 行動喚起を促す
見込み度の高いリストは電話でフォローする
三つ目のポイントは、見込み度の高いリストは電話でフォローすることです。見込み度の高いリストとは、商談や受注に繋がる可能性が高い見込み客なので、メールだけでなく電話でフォローし、早めにアポイントを取得するようにしましょう。
電話でフォローする際には、以下のようなポイントについて確認するようにしましょう。
- 展示会でどのような情報を探していたのか(来場目的の確認)
- なぜ、その情報が必要なのか(課題の確認)
- 課題が解決できるなら、提案を検討してもらえるか(提案の合意)
- 今までにも検討したことはなかったのか?そのときは、どうだったのか?(選定基準)
- そのときは、誰が検討したのか?今回も同じメンバーで検討するのか?(決裁フロー)
- ○○という解決策だったらどうか(テストクロージング)
- では、○○について詳しくご提案させていただければと思います(アポイント目的の合意)
展示会場でヒアリング、もしくはアンケートなどであらかじめ情報を取得できている場合でも、電話した際にはあらためてヒアリングし、認識に齟齬がないか確認するようにしましょう。また、提案の合意、選定基準や決裁フローの確認、テストクロージングなど、電話のタイミングでもできることはやってしまいましょう。当日の提案の質が上がり、商談に繋がりやすくなると思います。
見込み度の低いリストはステップメールで継続フォローする
四つ目のポイントは、見込み度の低いリストはステップメールでフォローすることです。「いますぐ」の見込み客へのアプローチに集中するためにも、「そのうち」「いつかは」の見込み客へのフォローは、マーケティングが作成したステップメールで後方支援することをおすすめします。営業活動の負担軽減に繋がります。
展示会参加者へのリードナーチャリングを目的としたステップメールを設計し、ステップメールに反応があった方を個別相談会(アポイント)に誘導していきましょう。シンプルですがおすすめの方法です。また、MA(マーケティングオートメーション)を活用すれば、一連のメール配信業務を自動化することも可能です。
コツ・留意点
展示会で獲得した名刺を商談化するためのフォローアップのコツ・留意点です。
BANT情報取得の仕組みを整えておく
あらかじめ、BANT情報取得の仕組みを整えておきましょう。BANT情報を取得するための方法としては、展示会場でのヒアリング、紙のアンケート、アンケートフォームなどがあります。
BANT情報を取得するためのタイミングとしては、展示会場での打合せの事前申込みフォームで取得する、展示会場で商品デモや説明をした際にヒアリングや紙のアンケートを活用して取得する、などが考えられます。予算に余裕があれば、アンケートに答えていただいた方用のノベルティを用意するなど、答えていただくための工夫をしてみましょう。
行動情報取得の仕組みを整えておく
続いて、行動情報取得の仕組みを整えておくことも大切です。行動情報とは、Webサイトへのアクセス履歴(特定ベージへのアクセス有無)や、問い合わせや資料ダウンロードの有無、メールの開封の有無などの情報を指しています。
今が提案のタイミングの「いますぐ」の見込み客へのアプローチについては、直接お話ができるまで架電してみればいいと思いますが、提案のタイミングが不明な「そのうち」「いつかは」の見込み客については、後日フォローアップの連絡を行おうにも、どの見込み客の購買意欲が高まっているのかよく分かりません。しかし、MA(マーケティングオートメーション)ツールなどを活用すれば、行動情報取得を行うことができ、アプローチの優先順位を決めることができます。
実際に、MA(マーケティングオートメーション)のスコアリングを活用して、近日に行動があったお客さまに優先してアプローチを実施すると効果的であることがわかっています。
さいごに
今回は、展示会で獲得した名刺を商談化するためのフォローアップのポイントについてご紹介いたしました。展示会で獲得した名刺からなかなか商談が生まれないという方は、フォローアップの方法を見直してみてもいいかもしれません。
展示会で獲得した名刺の多くはすぐに案件獲得につながる見込み客ではありません。そのため、案件に繋がりそうな見込み客は抜け漏れなく早期にフォローすることが大切です。また、それ以外の見込み客についてもステップメールを活用してアフターフォローを中長期的に行い、自社に対する興味・関心を高めていき営業案件につなげる必要があります。
展示会は、当日の運用だけでなく、フォローアップについてもあらかじめ設計しておき、効率的に受注に繋げられるように仕組みを整えておきましょう。
さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。マーケティングの基礎知識と実践方法を体系的にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。