マーケティング用語を解説します|「ま行」の用語編

マーケティング用語の多くはカタカナ用語であり、種類が多く、類似している用語も多いです。新しい用語も頻繁に登場するため、意味がよくわからないまま使っている用語も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、マーケティングや営業の現場で耳にすることが多い基本的なマーケティング用語を中心に、その意味を解説していきます。

「ま行」のマーケティング用語

今回は、マーケティングに関する基本的な用語を中心に、「ま行(ま〜も)」のマーケティング用語についてまとめました。ぜひ、参考にしてみてください。

マーケティング

マーケティングは、商品やサービスが売れる仕組みを構築する際に使用される戦略や手法のことを指します。見込み客を引きつけ、効率的に商品やサービスが売れるように行う取り組みの総称と言えます。

マーケティングとは、商品やサービスが売れる仕組みを作ることです。 具体的には、市場調査/商品開発/広告宣伝/販売促進/営業/販売などすべての工程を含んでいます。 つまり、効率的に商品が売れるようにするための一連の取り組みを全てまとめてマーケティングと呼びます。

マーケティングは、企業や組織が生き残るために必要不可欠な活動です。

マーケティングプロセス(R–STP–MM-I-C)

マーケティングプロセスは、フィリップ・コトラーが提唱したマーケティングの戦略プロセス、戦術プロセスの一連の流れを表したフレームワークです。マーケティングプロセスは、5つの基本手順の頭文字をから「R–STP–MM-I-C」と呼ばれることもあります。

以下の5つのステップで構成されています。

◎リサーチ(R)
最初のステップは、市場や顧客のニーズ、競合他社、トレンドなどに関する情報を収集することです。この情報は、市場分析や顧客調査などの手法を使用して得られます。

◎セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)
セグメンテーション・ターゲティングは、情報を収集した後、企業はどの市場セグメントに焦点を当てるかを選択することです。基準には、顧客層の特徴、需要の大きさ、競合状況などが含まれます。

ポジショニングは、ターゲットにどのような商品の利点を明示し、それを認識してもらうのか、顧客にどのように認知されたいのかを決めることです。ターゲット市場を選択した後、企業はマーケティング戦略を策定します。

◎マーケティング・ミックス(MM)
マーケティング・ミックス(MM)は、製品またはサービスの位置付け、価格設定、プロモーション活動、流通チャネルの選択などの組み合わせのことです。

マーケティング戦略を実行するために、企業は製品やサービスの設計、価格設定、広告や販促活動の実施、販売チャネルの運営などを行います。これにより、顧客のニーズに合った価値を提供し、競争力を確保します。

◎実行(I)
いかに精度の高い戦略・戦術を練り上げても、精度の高い実行が無ければ高い成果は望めません。実行を確実なものにするためには、実行するための施策のスケジュールの設定が大切です。実行によって達成したい目標(数値目標)を設定し、関係者で認識を合わせるようにしましょう。

◎評価(C)
最後のステップは、マーケティング活動の効果を評価し、改善策を見つけることです。企業は、売上高、顧客の満足度、ブランド認知度、KPIなどの指標を使用して、マーケティング戦略の成果を測定します。

以上が、マーケティングプロセスのステップです。

マーケティングプロセスについては、別記事「マーケティングプロセスとは?マーケティングの一連の流れ(5つの基本手順)について」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

マスマーケティング

マスマーケティングは、大量の顧客に向けて一斉にメッセージを送り、大量の製品やサービスを販売するマーケティング戦略です。

マスマーケティングの特徴は、以下の通りです。

◎大量の顧客をターゲットにする
マスマーケティングでは、広範な市場セグメント全体を対象にします。顧客の属性やニーズに基づく特定のセグメントに焦点を当てるのではなく、より広範な顧客層にアプローチします。

◎大量のメッセージ配信
マスマーケティングでは、一つのメッセージや広告を大量の顧客に向けて一斉に配信することが一般的です。このため、広告媒体としては、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ポスターなどのマスメディアが利用されます。

◎大量生産と低コスト
マスマーケティングでは、大量生産と低コストが重要な要素です。効率的な生産と大量販売により、経済的なメリットを得ることができます。

◎露出度とブランド知名度
広く多くの顧客に向けてメッセージを送り、多くの人が製品やサービスに関心を持つようにすることで、ブランド知名度を高めることができます。広告やプロモーション活動を通じて、顧客の関心や認知度を喚起することが重要です。

ただし、マスマーケティングにはいくつかの制約も存在します。市場の多様性や顧客の個別の要求への対応が難しくなる、他の競合他社と差別化することが難しいなどが挙げられます。

最近では、デジタルマーケティングの進化により、より個別の顧客ニーズに対応するターゲットマーケティングが主流となっていますが、マスマーケティングはいまだに広告やプロモーションの一部として有効に活用されています。

マスメディア

マスメディアは、大衆に向けて情報やメッセージを伝えるための一般的なコミュニケーション手段です。マスメディアは、主にテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットなどのメディアチャンネルを指します。

マスメディアは、広告や宣伝、報道、エンターテイメントなどの目的で使用されます。以下に、主要なマスメディアの特徴について説明します。

◎テレビ
視聴者の広い範囲に向けて情報やエンターテイメントを提供する効果的なメディアです。視覚的な要素と音声を組み合わせることで、感情やメッセージを強く伝えることができます。

◎ラジオ
聴取者の広い範囲に向けて音声コンテンツを提供します。音声だけで情報を伝えるため、聴取者は日常の活動を続けながら情報を受け取ることができます。

◎新聞
日刊紙や週刊誌などは、広告や記事を通じて情報を提供し、読者に影響を与える力があります。地域のニュースやインタビュー記事なども掲載され、読者は幅広いトピックにアクセスできます。

◎雑誌
専門的な情報や特定のトピックに焦点を当てた記事を提供するメディアです。読者は個々の関心事や好みに合わせた雑誌を選ぶことができます。

◎インターネット
デジタル時代において、インターネットは最も重要なマスメディアとなりました。ウェブサイト、ソーシャルメディア、オンラインニュースサイトなど、さまざまなプラットフォームを通じて情報やコンテンツが提供されます。

マスメディアは、広告主や宣伝主が大衆に製品やサービスを広めるために利用されるだけでなく、報道機関やジャーナリストによっても情報やニュースが発信されます。ただし、マスメディアは社会的な影響力が大きいため、情報の正確性や公正さが重要な課題となっています。

マーケットイン

マーケットインは、企業またはブランドが市場のニーズや要求を考慮して製品やサービスを開発し、市場に適切に応えるというマーケティングのアプローチです。

マーケットインの戦略では、最初に市場調査や顧客の意見を収集し、市場のトレンドや顧客のニーズや欲望を把握します。これにより、最も重要な要素や消費者の優先事項を特定することができます。

次に、企業はその情報を基に、製品やサービスを開発し改善します。このプロセスは、顧客の要望や需要に合わせた製品やサービスを提供することを目指しています。具体的には、市場で実際に求められている機能や特性を考慮した製品の設計や、価格、プロモーション、流通戦略の決定などが含まれます。

マーケットインのアプローチは、市場のニーズに合わせて事業戦略を立案することから、顧客の満足度や競争力を向上させることができます。また、競争が激化する中で、顧客のニーズを正確に把握し、それに対応する製品やサービスを提供することがより重要になっています。

マーケティングオートメーション(MA)

マーケティングオートメーション(MA)は、マーケティングプロセスを自動化するためのソフトウェア、もしくはデジタルマーケティングの手法を指す用語です。

マーケティングオートメーションを活用すれば、顧客との関係構築や顧客の行動追跡を効率化し、マーケティング効果を最大化することが可能になります。具体的には、下記のような機能があります。

◎メールマーケティング自動化
メールキャンペーンを作成・管理し、予め設定した条件に基づいて自動的に送信することができます。また、メールの開封率やクリック率などのデータを収集し、成果を分析することも可能です。

◎リード管理
ウェブサイトやランディングページからのリードのキャプチャや分類を自動化します。リードの行動や興味に基づいて、ターゲティングされたメッセージを送信することができます。

◎スコアリング
リードの興味度や購買意向を数値化することで、優先度の高いリードを特定することができます。スコアに基づいて、セールスチームに優先的にアプローチすることも可能です。

◎キャンペーン管理
ソーシャルメディアやウェブ広告などのデジタル広告キャンペーンを管理し、成果を追跡することができます。リターゲティングや分析によって、効果的なキャンペーンを展開することができます。

◎レポートと分析
マーケティングオートメーションツールは、データを収集・分析し、重要な指標や傾向を可視化する機能を備えています。これにより、マーケティング活動の成果やROIを把握し、改善策を立てることができます。

マーケティングオートメーションの利点は、効率性と個別化の向上です。自動化により、タスクの繰り返し作業や手動のセグメンテーションを減らすことができ、マーケティングチームの生産性を向上させることができます。また、リードや顧客に対してよりパーソナライズされたメッセージを送ることができ、関係構築や売上の向上に寄与します。

ただし、マーケティングオートメーションはツールやソフトウェアを導入する必要があり、それ自体の運用や最適化にも時間とリソースが必要です。効果的なマーケティングプランと組み合わせることで、マーケティングの成果を最大化することができます。

マーケティングオートメーション(MA)については、別記事「マーケティングオートメーションとは?導入するメリットと使い方をわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

マーケティングマイオピア(近視眼的マーケティング)

マーケティングマイオピア(近視眼的マーケティング)とは、企業が自社の製品やサービスに過度に焦点を当て、顧客のニーズや市場の変化を見落とすことを指します。

企業は自社の製品やサービスによって利益を追求する傾向がありますが、マーケティングマイオピアでは、その利益追求に一部分に過ぎず、その結果、市場や顧客の変化を見逃し、競争力を失う可能性があります。

例えば、映画会社が「映画製品」に焦点を当てている場合、顧客のニーズや市場のトレンドに気付かずに、デジタルコンテンツやストリーミングサービスの台頭などの変化を見逃すことがあります。マーケティングマイオピアでは、業界や製品に固執し、新しい機会を見逃す可能性が高まります。

マーケティングマイオピアを克服するためには、顧客を中心に据え、顧客のニーズと要求に基づいてビジネスを展開することが重要です。マーケットリサーチを通じて市場のトレンドや顧客の意見を把握し、顧客とのコミュニケーションを強化することで、顧客中心のマーケティング戦略を構築することができます。

マーケティングミックス(MM)

マーケティングミックス(MM)は、マーケティング活動において利用される概念的なフレームワークです。マーケティングミックスは、4つの要素で構成されており、それぞれ「4P」と呼ばれます。

◎商品(Product)
企業が提供する製品やサービスに焦点を当てます。この要素では、製品の設計、品質、機能、パッケージ、ブランドなどを考慮します。また、顧客のニーズや要求に適合するように製品の開発や改善を行います。

◎価格(Price)
商品やサービスの価格設定を決定します。価格は、企業の収益性、競合価格、顧客の価値感、市場需要などに基づいて決められます。価格戦略は、製品の位置付けや競争力に直接影響を与えます。

◎販売促進(Promotion)
顧客に対して商品やサービスを広く宣伝し、認知度を高めるための活動です。広告、セールスプロモーション、パブリシティ、パーソナルセールス、デジタルマーケティングなど、さまざまな手法を使って顧客を引きつける取り組みが含まれます。

◎場所(Place)
商品やサービスを顧客に提供するための販売チャネルや物流などを考慮します。この要素では、流通戦略や販売ネットワークの構築、ストアデザイン、在庫管理などが取り扱われます。

これらの要素は、相互に関連し合い、統合的なマーケティング戦略の一部として考慮されます。マーケティングミックスを適切に管理することで、顧客に魅力的な価値を提供し、競争力を維持しながら、企業の目標を達成することができます。

マーケティングミックス(MM)については、別記事「マーケティングミックスとは?4Pと4Cの違いについてわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

マーチャンダイジング

マーチャンダイジングとは、製品やサービスを販売する際に、販売促進のために商品を効果的に展示し、顧客の需要を喚起するための一連の活動です。マーチャンダイジングは小売業において非常に重要な要素であり、売上や顧客満足度の向上に直結することが多いです。

マーチャンダイジングの主な目的は、以下の通りです。

◎売上の最大化
適切な商品の配置や陳列方法により、購買意欲を引き出すことができます。

◎顧客の満足度の向上
商品の見やすさやアクセスのしやすさを考慮して、顧客が欲しい商品を短時間で見つけることができる環境を提供します。

◎ブランドイメージの向上
商品のディスプレイや陳列方法は、ブランドのイメージを醸成することができます。美しいデザインや質の高い商品の陳列により、ブランド価値を高めることができます。

マーチャンダイジングの手法には、以下のようなものがあります。

◎陳列方法
商品を見やすい位置や高さに配置し、顧客が自然と手に取りやすくすることが重要です。また、関連商品を一緒に陳列することで、顧客に追加の商品を提案することができます。

◎ポイントオブセール(POS)ディスプレイ
レジ周辺や店内の戦略的な場所に商品やセールアイテムをディスプレイし、購買意欲を喚起します。

◎サインや表示物
特価セール、新商品、イベントなどを顧客に伝えるために、サインやポスターなどを使います。鮮やかで目を引くデザインやメッセージが効果的です。

◎ショーウィンドウ
店舗の窓に商品やテーマに沿ったディスプレイを行い、通行人や顧客の興味を引くことができます。

また、マーチャンダイジングはデータや分析に基づいて行われることが重要です。売上データ、在庫データ、顧客の購買傾向などを分析し、最適な商品配置やセール戦略を構築することが求められます。

マーチャンダイジングは流行やトレンドの動向を把握する力や顧客への理解が求められるため、常に市場の変化に対応する柔軟さが重要です。

ミーシー(MECE)

ミーシー(MECE)は、McKinsey & Companyのコンサルティング手法であり、問題解決や分析のフレームワークとして使用されます。「相互に排他的で完全に包括的である」という意味であり、分析や意思決定のプロセスを明確にし、効果的な結果を生み出すために使用されます。

具体的には、問題を分解して独立した要素に分類し、それらを包括的かつ排他的なカテゴリに配置することで、情報を整理して整合性を持たせることができます。ミーシーの基本的な考え方は、重複や抜け漏れを排除することで、分析や意思決定において一貫性とトータルな視点を確保することです。

ミーシーを使用することで、インタビューやデータ収集、問題の定義、解決策の提案など、さまざまなビジネス課題に取り組む際に論理的なフレームワークを構築することができます。ミーシーは、情報の整理と分析において優れたツールであり、ビジネス上の決定をより効果的かつ結果重視に導くことができます。

ムーアの法則

ムーアの法則(Moore’s Law)は、コンピュータの性能が約2年ごとに2倍になるという法則です。この法則は、インテルの共同創業者であるゴードン・ムーアによって1965年に提唱されました。

ムーアの法則は、集積回路(IC)の発展を基礎としています。ICとは、複数のトランジスタや回路を半導体チップ上に集積したもので、コンピュータや電子機器の機能を実現する際に欠かせないものです。ムーアの法則は、IC内のトランジスタの数が約2年ごとに2倍になり、性能が向上することを指摘しています。この性能向上は、処理能力の向上やデータの保存容量の増加など、さまざまな形で現れます。

ムーアの法則の背後には、半導体技術の発展や製造工程の改善による進歩があります。半導体技術は、トランジスタの微細化やエネルギー効率の向上など、さまざまな革新を経てきました。また、製造工程の改善により、トランジスタの密度を高めることが可能になりました。

ムーアの法則の効果は、コンピュータ産業や情報技術産業全体に大きな影響を与えています。性能の向上により、デジタルデバイスの機能が進化し、新たな技術やサービスが生まれました。一方で、トランジスタの微細化が限界に近づくなどの課題もあり、ムーアの法則の将来性については議論があります。しかし、現在でもムーアの法則の指針に基づいた技術開発が進められており、コンピュータの性能向上は続いています。

メールマーケティング

メールマーケティングは、電子メールを使用して顧客や見込み客に対してマーケティングメッセージを配信することです。以下に具体的なポイントを説明します。

◎メールリストの構築
メールマーケティングの基本は、自社の顧客や見込み客のメールアドレスを収集し、メールリストを作成することです。これには、ウェブサイトやランディングページでのサブスクリプションフォームの設置、イベント参加者からの情報収集などが含まれます。

◎メッセージのパーソナライズ
一斉送信ではなく、個々の受信者に合わせたパーソナライズされたメッセージを作成することが重要です。受信者の名前や購買履歴などのデータを活用し、より関心を引くメッセージを提供します。

◎セグメンテーション
メールリストを特定のセグメントに分けることで、よりターゲットに合ったメッセージを送ることができます。セグメントは、購買履歴、地理的な位置、購読状況などの要素に基づいて作成することができます。

◎自動化
メールマーケティングプラットフォームを使用して、予め設定したトリガーや条件に基づいて自動的にメールを送信することができます。例えば、購入後のフォローアップメールや誕生日プレゼントなどが考えられます。

◎デザイン
メールのデザインは読みやすさと視覚的魅力を重視する必要があります。カラースキームやレイアウト、画像やテキストのバランスなど、視覚的な要素に注意を払いましょう。また、レスポンシブデザインを採用し、異なるデバイス上でも見やすいメールを作成することも重要です。

◎分析と改善
メールマーケティングキャンペーンの成果を測定し改善するために、開封率、クリック率、コンバージョン率などの指標を分析しましょう。A/Bテストを実施して要素やメッセージの効果を比較検証することも有効です。

メールマーケティングは、顧客との関係構築や売上向上に効果的な手法ですが、スパム行為やプライバシー問題に留意しなければなりません。また、法的規制に準拠し、顧客からのアンサブスクリプションリクエストには即座に対応することも大切です。

さいごに

以上、今回はマーケティングや営業の現場でよく使われるマーケティング用語について「ほ」から始まる用語編と題し、お届けしました。次回は「ま」から始まるマーケティング用語についても解説したいと思います

さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。マーケティングの基礎知識と実践方法を体系的にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。

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