中小企業でマーケティングオートメーション(MA)を活用する2つのメリット

中小企業(または、スタートアップや新規事業)がシェアを拡大し、売上や利益を上げるためには、競合との争いに勝ち、顧客を獲得しなければなりません。

しかし、ほとんどの場合、中小企業の持っている経営資源(ヒト・モノ・カネ)は、大企業には及びません。投下した経営資源がものを言う戦い方では、勝つことが難しいと言えます。

本記事では、あまり広く知られていない、経営資源の小さな組織が市場でどのように戦うべきか、マーケティングや営業活動の側面に絞ってご紹介したいと思います。

経営資源の乏しい中小企業の戦い方

経営資源の乏しい中小企業は、どのように戦い、どのように競合との争いに勝てば良いのでしょうか。

基本的な考え方としては、ランチェスター戦略の弱者の戦略を採用するべきです。弱者の戦略とは、戦うべき市場を絞り、武器効率(独自性、優位性、生産性)を高め、兵力数(経営資源)を重点的に配分し、局所的ナンバーワン(またはオンリーワン)を目指す戦略のことを指します。

ランチェスター戦略については、以下の記事で詳しく解説しています。

ランチェスター戦略について

ランチェスター戦略は、ランチェスターの法則という戦争理論をビジネスに応用することで誕生した経営戦略理論です。詳しくは「ランチェスター戦略とは?ランチェスターの法則を応用した経営戦略理論について解説します」にまとまっております。ご参考になれば幸いです。

本記事では、マーケティングや営業活動の武器効率の側面から、戦い方をご紹介していきたいと思います。

顧客の獲得までの3つの活動

顧客を獲得するためには、集客(リードジェネレーション)を行い、それに対して育成(リードナーチャリング)を行い、最終的には営業活動を通じて成約に結びつけるという流れが一般的です。

集客は、できるだけ多くの見込み客情報(リード)を集めるために行います。代表的な施策としては、広告、展示会、ウェビナー、SEO対策などが挙げられます。

集客は顧客の獲得のために欠かせない活動ですが、問題点としては、まだ自社の顧客ではない潜在顧客層に対してアプローチする必要があるため、広告への出稿や展示会への出展など、コストがかかることが挙げられます。また、潜在顧客層でないターゲット層の情報を集めてしまった場合、最終的な顧客獲得に結びつかない、といった点にも注意が必要です。

育成は、集客によって集めた見込み客情報に対して定期的なアプローチを実施しながら、商談につながる良質な見込み客を見つけるために行います。代表的な施策としては、メルマガやインサイドセールスが挙げられます。

育成のための定期的なアプローチを拒否(オプトアウト)されないためには、各セグメントに合わせた有益な情報提供を心掛け、信頼感を築いていくことが大切です。育成も見込み客情報を営業活動に繋げるためには欠かせいない活動ですが、問題点としては、メルマガの執筆やインサイドセールスによるアプローチなど、良質な見込み客を見つけるための活動に人的な労力がかかる、といった点が挙げられます。

営業は、商談を通じて成約に結びつけるための活動を指します。代表的な活動としては、見込み客へのヒアリング提案活動クロージングなどがあります。

営業活動に関しても、人的な労力がかかる点は問題点として挙げられます。一ヶ月の間に訪問できるお客さま数には限度があり、カスタマイズが必要、もしくは競合との比べられることの多い商品・サービスを取り扱っている場合には、提案活動やクロージングまでに大きな人的な労力がかかる、といった傾向があります。

経営資源の差による影響が出やすいポイント

顧客の獲得までの3つの活動の中で、経営資源の差による影響が出やすいポイントをまとめると次のようになります。

集客に関しては、コストが多くかかる傾向があるため、経営資源のカネの差による影響が出やすいポイントになります。中小企業の視点で考えると、資金力のある大企業と資金の投下合戦をしても勝つことが難しいと言えます。

また、育成や営業に関しては、人的労力が多くかかる傾向があるため、経営資源のヒトの差による影響が出やすいポイントになります。中小企業の視点で考えると、こちらもやはり、人的資源を多く保有する大企業と人海戦術で戦っても勝つことが難しいと言えます。

では、経営資源の乏しい中小企業は、どのようなマーケティングや営業活動を行い、競合と戦っていくべきなのでしょうか。

中小企業が勝つためのポイント

中小企業が、マーケティングや営業活動で大企業に勝つためには、生産性を向上させるしかありません。つまり、限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)を活用して、最大の付加価値をあげるための仕組みを構築しなければなりません。

ポイントは、大きく二つあります。

一つ目のポイントは、顧客の獲得までの3つの活動の流れに着目し、ファネルの漏れを整備することです。

ファネルの漏れが整備されていれば、集客への資金投下に対して、売上、利益を回収できるようになります。そのため、中小企業の場合、まずはファネルを整備し、プロセスからの漏れ(離脱)が少ない状態を目指しましょう。マーケティングの効果の見える化にも繋がり、ROIの改善も期待出来ます。

二つ目のポイントは、資源不足(ヒト)をITツールで補い、マーケティングや営業活動の効果を最大化することです。

集客から育成、営業に至る一連の流れを効率化するためには、中小企業でもマーケティングオートメーション(MA)を導入・活用することがおすすめです。

マーケティングオートメーション(MA)を活用する2つのメリット

マーケティングオートメーション(MA)を活用することで、中小企業でも、良質な見込み客に効率的にアプローチでき、営業活動中のお客さまを適切なタイミングで迅速にクロージングできるようなります。具体的には、大きく2つのメリットがあります。

「今」行動が活発な見込客を探すことができる

マーケティングオートメーション(MA)を活用する一番のメリットは、見込み客の行動履歴(webアクセス履歴や過去の接点など)をトラッキングすることができる点にあります。

例えば、webアクセスやメール開封などの行動履歴から興味のある情報やコンテンツを確認し、ニーズを推測できるため、適切なアプローチを行うことに繋がります。また、過去3日以内に自社のHPを訪れていた見込み客のみを抽出し、現時点で自社の商品やサービスに興味を持ってくれている可能性の高い順番にアプローチをする、ということも可能です。

このように、「今」行動が活発な見込客を探すことができるため、適切なタイミングで、適切なアプローチが可能になり、少ない工数で効率的に良質な見込み客を見つけることができるようになります。

アプローチを自動化できる

マーケティングオートメーション(MA)のもう一つのメリットは、特定の条件を満たした見込み客へのアプローチを自動化できることです。例えば、「特定の事例を見ていた見込み客にウェビナーの案内メールを自動で送る」や、「問い合わせページにアクセスしたにも関わらず問い合わせをしていない人に、個別相談会の案内メールを自動で送る」など、事前に設定した様々な条件でアプローチを自動化することができます。

マーケティングオートメーション(MA)を活用してアプローチを自動化することによって、適切なタイミングでアプローチできる、作業の抜け漏れをなくす、作業に使っていた時間を空けることができ、他の施策を検討することに時間を使うことができる、など、様々なメリットを享受することができます。

マーケティングオートメーション(MA)の活用方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。

マーケティングオートメーション(MA)の活用方法について

マーケティングオートメーション(MA)は、主にマーケティング業務を効率化・自動化するために活用されるソフトウェアのことを指します。詳しくは「マーケティングオートメーションとは?導入するメリットと使い方をわかりやすく解説します」にまとまっております。ご参考になれば幸いです。

スコアリングについて

スコアリングとは、主にマーケティングオートメーションで活用される、多数の見込み客の中から優先して接触すべき見込み客を抽出するための機能です。詳しくは「スコアリングとは?活用するメリットと使い方をわかりやすく解説します」にまとまっております。ご参考になれば幸いです。

さいごに

本記事では、経営資源の小さな中小企業がどのように大企業と戦うべきか、マーケティングや営業活動の側面に絞ってご紹介してきました。まずは、集客・育成・営業のプロセスからの漏れ(離脱)が防げるようにプロセスを整備し、集客への資金投下に対して、育成・営業から売上、利益を回収できる状態を目指しましょう。

次に、資源不足(ヒト)をITツール、特にマーケティングオートメーション(MA)で補い、マーケティングや営業活動の効果を最大化していきましょう。限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)でも、最大の付加価値をあげることができれば、経営資源の乏しい中小企業でも、大手企業との争いに勝ち、顧客を獲得することができる強い会社になります。

さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。マーケティングの基礎知識と実践方法を体系的にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。

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