SWOT分析は、新規事業の戦略を考える、もしくは、既存事業の戦略を練り直すなどの際に、その前提となる外部要因と内部要因を整理するために活用されるマーケティングのフレームワークです。また、戦略を決め、計画に落とし込むプロセスでも活用されています。
SWOT分析は、3C分析やPEST分析、ファイブフォース分析などと同様に、非常に有名なマーケティングのフレームワークですが、実際に活用して良い戦略策定につなげるためには、いくつかのポイントと手順を押さえておく必要があります。
この記事では、SWOT分析のやり方と手順について、わかりやすく解説していきます。
目次
SWOT分析とは?
SWOT分析は、経営者や、マーケティング担当者が戦略を立てるときに、その前提となる外部要因と内部要因を整理し、戦略を決め、計画に落とし込むプロセスで活用されるマーケティングのフレームワークです。
S、W、O、Tは、それぞれ、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(opportunities)、脅威(Threats)の英語の頭文字を表しています。
SWOT分析では、ヒト・モノ・カネや、バリューチェーンなどといった内部要因、マクロ環境や業界環境、市場、顧客、競合などといった外部要因を、それぞれを、好ましい傾向、ポジティブ、と、好ましくない傾向、ネガティブで整理することができます。
SWOT分析の目的
SWOT分析を行う目的は、大きく二つあります。
一つ目の目的は、自社のビジネス環境を整理するためです。SWOT分析の各要素を洗い出すことで、自社のビジネス環境を整理し、事業の成功要因や、事業機会を導き出すことができます。
二つ目の目的は、SWOT分析で集めた事実を解釈して、マーケティング戦略を決め、計画に落とし込むためです。自社のSWOTを把握し、戦略立案に役立てましょう。
SWOT分析の4つの要素
SWOT分析の、S、W、O、Tは、それぞれ、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(opportunities)、脅威(Threats)を表しています。
内部要因か外部要因かを区別する際には、「内部要因:自社がコントロールできるもの」「外部要因:コントロールできないもの」と区別し、整理していきましょう。
SWOT分析のやり方と手順
SWOT分析のやり方と手順は、4つのステップに分解することができます。4つのステップを順に見ていきましょう。
外部要因を把握する(機会と脅威)
SWOT分析を行う際には、外部要因で分析した結果によって、内部要因の解釈の仕方に影響が出てしまいます。そのため、まずは、外部要因の機会(opportunities)と脅威(Threats)にから確認していきます。
まずは、外部要因を機会(opportunities)と脅威(Threats)を分類するためにも、外部環境がどのようになっているのか、事実ベースで情報を洗い出さなければなりません。
ここで、事実ベースで情報を洗い出すために利用できるのが、PEST分析、3C分析、ファイブフォース分析といったマーケティングのフレームワークです。
PEST分析では、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の側面から、自社のビジネスに与える要素を取り出していきます。例えば、規制緩和が競争を激化させる、景気の影響を受けやすい、人口減少して、マーケットが縮小する、技術革新により、ビジネスモデルが今後変わる可能性がある、というようなポイントを確認していきます。
3C分析では、市場・顧客分析で市場規模(潜在顧客の数、地域構成など)や市場の成長性、顧客ニーズ、購買決定プロセス、購買決定者といったポイントを確認していきます。加えて、競合分析で競争相手の企業について把握していきます。
ファイブフォース分析では、業界の構造をつかむために活用します。この時、何が事業の成功要因なのかといったポイントを確認していきます。
こういったフレームワークを活用した分析から、まずは事実ベースで情報を洗い出します。そのうえで、自社のビジネス機会にとって、ポジティブ、あるいはネガティブの要因となるのか、それにより、どんな脅威が生まれるのかを把握していきます。
内部要因を把握する(強みと弱み)
続いて、内部要因の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)について確認していきます。
内部要因、簡単に言えば社内で保有している資産を強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)に分類するためには、事実ベースで情報を洗い出した上で、競合の保有している資産と比較してみるのが良いでしょう。
ここで、内部要因を洗い出すために利用できるマーケティングのフレームワークには、VRIO分析やバリューチェーン分析があります。
VRIO分析では、内部要因の経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)、組織(Organization)の4つの要素を確認していきます。これらの要素は、下に行くほど競争優位性を構築することに寄与する資源だと考えられています。
バリューチェーン分析では、VRIO分析の組織(Organization)の部分を明らかにしていきます。製品やサービスが顧客の元に届くまでには、研究開発、物流、販売、アフターサービスなど、様々な事業活動があります。それぞれの事業活動を分けて、どこでコストや手間をかけて、独自性を作っているかを分析することで、組織の優位性の源泉を探ることができます。
こういったフレームワークを活用した分析から、まずは事実ベースで情報を洗い出します。そのうえで、自社の強みと弱みに分解し、自社の中核となる強みについて見極めます。そして、先程把握した、市場における、機会と脅威に対して、これらの強みを生かして、弱みを克服するには、どうすれば良いかを考えます。
クロスSWOT分析を行う
ここまでは、SWOT分析の各要素を洗い出すことで、事業の成功要因や、事業機会を導き出し、自社のビジネス環境を整理するためのプロセスについて説明しました。ここからは、SWOT分析で集めた事実を解釈して、マーケティング戦略を決め、計画に落とし込むためのプロセスに移っていきます。
そのために活用するのが、クロスSWOT分析です。クロスSWOT分析では、ここまで収集してきた情報を元に、それぞれの要因を組み合わせて解釈していきます。それにより、考えられる戦略を多面的に捉えていきます。
戦略と実行計画を決める
外部要因、内部要因を把握し、クロスSWOT分析まで行うことができれば、おそらく、今後とるべき戦略の方向性がいくつかに絞り込まれていることでしょう。あとは、これからとるべき戦略を決め、実行計画に落とし込みましょう。
例えば、強み×機会のクロスSWOT分析から、強みを活かして機会を勝ち取るための戦略を優先する、という意思決定をする、または、弱み×脅威のクロスSWOT分析から、最悪のシナリオを避けるための対策を優先する、と行った意思決定などが考えられます。
戦略を決める際には「決める」という意識がとても重要です。戦略と実行計画が明確にならなければ、SWOT分析を行ってもその目的を果たしきれているとは言えません。実務においては、とるべき戦略と実行計画を明確に示し、計画の達成に向けて組織をリードしていく必要があるためです。
コツ・留意点
さいごに、SWOT分析のコツや留意点をご紹介します。SWOT分析の4つの要素は、同じ事実でも解釈次第では強みにも弱みにもなり得るといったケースがあります。あるいは脅威と思っていたものが、機会に変わるといったケースもあるでしょう。例えば、規制緩和は、既存のプレイヤーにとっては脅威と映りますが、それにより市場の成長が加速して機会に転じるかもしれません。その中で、新しい差別化を打ち出すことで、弱みが強みに、脅威が機会になる可能性もありえます。
また、分析するときに、企業を取り巻く経営環境のうち、全ての要素を洗い出すことは難しいため、特に重要なものを選り分けて解釈するセンスも求められます。ホワイトボードや付箋を用いて、SWOTの各項目を埋めていき、影響度の高そうなものを残す、といったことも行ってみると良いでしょう。
ます。
さいごに
本記事では、SWOT分析のやり方と手順について解説しました。実際にSWOT分析を手がける際には、ぜひ、ご参考いただければと思います。
さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。ビジネスリーダーが知っておきたいフレームワークを中心にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。