リードナーチャリングは、過去に展示会やセミナーなどで集めた見込み客や、営業が集めた名刺リストの中から新しい商談のタネを育成・発掘するためのプロセスです。
本記事では、リードナーチャリングに使えるコンテンツを製作する前のチェックポイントや、コンテンツのネタの探し方について解説いたします。
目次
リードナーチャリングに最適なコンテンツとは
リードナーチャリングとは、簡単に言えば、過去に集めた見込み客の情報に対して、商品を買ってもらう、もしくは、購買プロセスを推し進めるために実施する一連のコミュニケーションのことです。
多くの場合、メルマガやオウンドメディア(ブログ)等で有益な情報を継続的に発信し、コミュニケーションを図ることによって関係性を深めていきます。適切なコミュニケーションを適切なタイミングで行うことができれば、リードナーチャリングの効果も飛躍的に高まるでしょう。
立場や状況によって最適なコンテンツは異なる
リードナーチャリングに最適なコンテンツとは一体何でしょうか?
結論から言うと、リード(見込み客)の立場や状況によって最適なコンテンツは異なります。何だよ、と思った方もいらっしゃると思います。しかし、どのような見込み客にどのような情報を提供し、どのような反応を引き出したいのかによって、最適なコンテンツかどうかは変わってくるものです。
コンテンツを提供するための手法について
コンテンツを提供するための手法も、何が最適かと言われたら、リード(見込み客)の立場や状況によって最適な手法は異なります。とはいえ、リードナーチャリングでコンテンツを提供するための手法として代表的なものを、いくつかご紹介させていただきたいと思います。
◎メルマガ
少ない費用と工数で、多くの見込み客とコミュニケーションをとれるメールは、非常に有効なリードナーチャリングの手段です。定期的な接点をつくることが可能です。
◎セミナー(ウェビナー)
見込み客が抱える課題や興味・関心があると思われるテーマのうち、自社の商材と関連する内容でセミナーを開くことで、自社が保有するノウハウなどを提供できます。
◎ホワイトペーパー(ノウハウ、調査データなど)
見込み客の役に立つ情報を提供することができると、見込み客は良いイメージを抱きます。役立つノウハウや調査データをとりまとめ、ホワイトペーパー化してwebサイト上でダウンロードできるようにしておくのがおすすめです。ホワイトペーパーをダウンロードしたリードを長期にわたってフォローする仕組みを整えておけば、ブランドのイメージアップを行いながら、信頼関係を築くことができます。
◎インサイドセールス
インサイドセールスの担当者、もしくは営業担当者が見込み客に架電を行い、情報を提供する手法です。見込み客と直接会話ができるため、情報を提供するだけでなく、見込み客の状況をヒアリングすることができます。
例えば、メルマガやwebブログ、SNSなど、日頃の情報収集をオンラインで行っている層がターゲットであれば、オンラインの手法を中心にコンテンツの提供手法を考えた方がいいでしょう。逆に、雑誌やチラシなど、オフラインを中心に日頃の情報収集を行っている層がターゲットであれば、オフラインの手法を中心にコンテンツの提供手法を考えた方がいいでしょう。
コンテンツ制作前のチェックポイント
続いて、コンテンツ制作前のチェックポイントについてご紹介いたします。
ターゲットのペルソナはあるか
一つ目のチェックポイントは、ペルソナはあるか(ターゲットは決まっているか)ということです。ペルソナとは、お客さま像のことです。リードナーチャリングの目的を達成するために、どのようなお客さま(企業/担当者)とコミュニケーションすべきか明確にしましょう。これがリードナーチャリングのコンテンツ製作の第一歩になります。
ペルソナを作成すると、関係者間でターゲット像の共通認識を持つことができることや、ターゲット視点でコンテンツの内容を検討できることなどのメリットも得られます。
ペルソナに関しては、別記事「ペルソナ設定とは?BtoBマーケティングにおけるペルソナ設定と活用のコツ」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください
ターゲットのカスタマージャーニーはあるか
二つ目のチェックポイントは、カスタマージャーニーはあるか(情報ニーズを整理できているか)ということです。リードナーチャリングを行うには、どのような状態のお客さまに対して、どのような情報を提供し、どのような反応を引き出したいのかを整理しておく必要があります。
カスタマージャーニーが作成されていない場合、シンプルで構わないので作成するようにしましょう。また、購買プロセスの各段階においてどのような情報ニーズが発生するのか整理しておきましょう。
購買するまでの一連のプロセスの中でどのような行動をとる可能性があるか、まずはひたすら洗い出す、そしてグルーピングする、という流れで進めていくとスムーズに作成できます。
整理した情報ニーズを元に、購買プロセスを推し進めるためには、どのようなコンテンツ(情報、メッセージ、オファー)を伝えるべきなのか、検討しましょう。
カスタマージャーニーやカスタマージャーニーマップの作成方法については、別記事「カスタマージャーニーとは?概要とカスタマージャーニーマップの作り方について解説します」にまとめております。合わせてご覧ください。
ターゲットは商品・サービスの利用メリットを理解しているか
三つ目のチェックポイントは、ターゲットは自社の商品・サービスの利用メリットを理解しているか、ということです。あなたの会社の商品・サービスの利用メリットを理解していない場合、購買意欲が高まったとしても、あなたの会社の商品・サービスではなく、競合他社に流れてしまうかもしれません。
そのため、ターゲットがあなたの商品・サービスの利用メリットを理解していないのであれば、利用メリットの理解度を高めてもらうための情報を提供しましょう。
利用メリットの理解度を高めるためのコンテンツ例としては、導入事例や活用ノウハウなど、相手が利用メリットを具体的にイメージできるものが良いでしょう。
ターゲットは課題解決の必要性を感じているか
四つ目のチェックポイントは、ターゲットは課題解決の必要性を感じているか、ということです。課題解決の必要性を感じていない場合、あなたの会社の商品やサービスの利用メリットを理解したとしても、すぐには購買しないかもしれません。
そのため、ターゲットが課題解決の必要性を感じていないのであれば、課題解決の必要性を感じてもらえるような情報を提供する必要があります。
課題解決の必要性を感じるためのコンテンツ例としては、競合他社の事例や、課題解決を先延ばしにしたことによって発生したインシデント事例など、課題解決の必要性を具体的にイメージできるものが良いでしょう。
利用メリットの理解度(高)×課題解決の必要性(高)へ促そう
ここまで見てきたように、コンテンツ制作前には、
- ペルソナはあるか(ターゲットは決まっているか)
- カスタマージャーニーはあるか(ターゲットの情報ニーズを整理できているか)
- ターゲットは商品・サービスの利用メリットを理解しているか
- ターゲットは課題解決の必要性を感じているか
というポイントをチェックしておきましょう。
そして、商品を買ってもらうため(もしくは、購買プロセスを推し進めるため)には、どのような情報を提供する必要があるか、ターゲットに次の行動を促すためには、どのようなメッセージとオファーが効果的か、ということを考えていきましょう。
リードナーチャリングによるコミュニケーションを通じて、利用メリットの理解度(高)×課題解決の必要性(高)の方向に促していくことで、商談につながるリードに育てていきましょう。
コンテンツのネタの探し方
前述のチェックポイントに沿ってターゲットとなる見込み客の状況を整理してみましょう。そうすれば、リードナーチャリングに必要なコンテンツの輪郭くらいは見えてきたのではないでしょうか?
法人ではほとんどの場合、商品やサービスを購入するにあたり「どのような目的で、何にいくらのお金を投資して、どのような利益を見込んでいるのか」ということや、「なぜ、他の商品やサービスではなく、それを選ぶのか」ということについて、関係者に対する説明責任が発生します。
そのため、ターゲットの購買プロセスが初期の段階(興味・関心を持っているレベル)であれば、「どのような目的で、何にいくらのお金を投資して、どのような利益を見込んでいるのか」という問いに答えられるような情報のニーズが高かったりします。例えば、製品資料や活用ノウハウ、料金目安などの情報を提供することで、ターゲットの情報ニーズを満たすことができるかもしれません。
また、ターゲットの購買プロセスが具体的な検討の段階(購入の決断を考えているレベル)であれば、「なぜ、他の商品やサービスではなく、それを選ぶのか」という問いに答えられるような情報のニーズが高かったりします。例えば、競合製品との比較表や、自社の抱えている課題と同様の課題を解決した事例、導入効果のシミュレーションやサポート体制の有無などの情報を提供することで、ターゲットの情報ニーズを満たすことができるかもしれません。
前置きが長くなってしまいましたが、コンテンツのネタの探し方としては、まずはリードナーチャリングの目的を達成するための情報を持っていそうな部門に確認してみることからはじめましょう。
まずは、営業部門やカスタマーサクセス部門から情報を集めてみることをお勧めします。課題別に用意された提案資料の雛形や競合他社との比較表などが、既に存在しているかもしれません。実際にお客さま向けに使っていて効果があるコンテンツがあれば、それらを活用した方が手間も省けますし効果も見込めるでしょう。
また、営業部門やカスタマーサクセス部門の担当者と話してみると「そういえば、○○業界の会社では共通して△△みたいな課題を持っているみたいで、うちの商品の××機能がすごく便利だって言っていたよ」というような、実際のお客さまの声を聞けることがあります。このような情報も、リードナーチャリングのコンテンツを作成する上では非常に良い情報源になると思います。
顧客に直接ヒアリングして情報を集めるという方法もあります。関係の良い顧客がいれば「当社の商品を導入していただいた際の決め手ってどこだったんですか?」や「事前にこういう情報があればもっと早く導入できていた、決断できていた、みたいなことってありますか?」など、素直に聞いてみましょう。
実際のお客さまの声と、自社で持っていた認識が異なった、というケースもよくある話です。思ってもみなかった情報を得ることができるかもしれません。
さいごに
本記事では、リードナーチャリングに使えるコンテンツを製作する前のチェックポイントや、コンテンツのネタの探し方についてご紹介しました。ご紹介した内容も考慮いただいた上で、リードナーチャリングに使えるコンテンツの制作に取り組んでいただければと思います。
また、リードナーチャリングによるコミュニケーションの効果を最適化していくためには、見込み客がどんなコンテンツに興味を持ち、どんな反応を示してくれたのかを把握し、効果検証、改善を行っていく必要があります。そのためには、見込み客の行動履歴を把握するためのツール(MAツールなど)を活用することもおすすめします。
把握した情報からコンテンツの改良や追加も徐々に行なっていき、商談につながるリードナーチャリングの仕組みを整えていきましょう。
さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。マーケティングの基礎知識と実践方法を体系的にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。