DM(ダイレクトメール)とは?BtoBにおけるデータから読み取るDMの効果と重要性

見込み客を獲得するための施策の一つに、DM(ダイレクトメール)があります。

DM(ダイレクトメール)には、郵送はがきやチラシ、FAXなどいくつかの方法がありますが、個人向け・法人向け問わず活用されており、リードジェネレーションリードナーチャリングを行うための代表的な手法です。

本記事は、DM(ダイレクトメール)の効果にイマイチ懐疑的な方、そしてこれからDM(ダイレクトメール)を検討しているという方向けに、調査データをもとにDMの効果と重要性やDMを活用した見込客獲得・育成の例、DM施策のはじめ方についてもわかりやすく解説していきます。

DM(ダイレクトメール)とは?

DM(ダイレクトメール)とは、個人向け・法人向けの商品・サービスを問わず、販促対象となるターゲットに向けてダイレクトにメッセージを届けるため宣伝方法、あるいは手段のことを指します。

DM(ダイレクトメール)は、郵送はがき・チラシ・FAXなど、さまざまな方法で送られています。皆さまも、仕事、プライベートを問わず、複数のDM(ダイレクトメール)を実際に受け取ることがあるのではないでしょうか。それらを総称して、DM(ダイレクトメール)と呼びます。

DM(ダイレクトメッセージ)との違い

DM(ダイレクトメール)と混同しやすい用語として、DM(ダイレクトメッセージ)があります。DM(ダイレクトメッセージ)は、Twitterにおいて個人間で直接メッセージのやりとりを行うことを意味する用語として、よくDMと訳されて活用されていることがあります。本記事においては、DMはダイレクトメールの意味で利用しています。

BtoBとBtoCにおけるDMの違い

BtoBとBtoCにおけるDMの違いはあるのでしょうか?

個人向け・法人向け問わず、DMの受取主は最終的には個人(法人向けであれば担当者)となります。その点から推測しても、受取数や開封数、閲読数、行動喚起率(ネットで調べる、など)は、BtoBもBtoCもほとんど変わらないと考えられます。

そのため、DMはBtoBにおいても効果的な施策だと言えます。

ただし、BtoC向けのDMは個人が持つ欲求や問題を解消する商品やサービスの情報を本人にダイレクトに届けることができるのに対し、BtoBのDMは企業の抱えている欲求や問題を解消するための商品やサービスの情報を部署の担当者などに向けて届けることになるため、受取主が購入の意思決定者(決裁者)であるとは限りません。

そのため、受取主が購入の意思決定者(決裁者)に商品・サービスのメリットを伝えやすいように、わかりやすさを意識することも大切です。

また、BtoB・BtoCを問わず、DMの効果を最大化するためには自社にとって意味のあるターゲットに向けて自社のメッセージや優位性を正しく伝えることが求められます。

データから読み取るDMの効果と重要性

一般社団法人日本ダイレクトメール協会が公開している調査レポート「DMメディア実態調査2020」の中に、【DMを受取った後どんな行動をとったか】というアンケート結果が公開されています。


(出典:DMメディア実態調査2020

このアンケート結果のデータから、DMの効果と重要性を読み取ることができます。

開封率・閲読率が高い

読み取ることができる一つ目のポイントは、開封率・閲読率の高さです。DM受取1,937通に対し、開封・閲読が1,222通と、開封率・閲読率が63.1%となっています。

これは、メルマガの開封率がほとんどの業界において15%~20%の間に収まっていることを考えると、かなり良い数字が出ていると言えます。(ITトレンド記事参照

行動喚起率が高い

読み取ることができる二つ目のポイントは、行動喚起率の高さです。開封・閲読1,222通に対し、行動したが292通と、行動喚起率が15.1%となっています。

こちらも、メルマガのクリック率がほとんどの業界において5%~10%の間に収まっていることを考えると、開封率と同様にかなり良い数字が出ていると言えます。(ITトレンド記事参照

クロスメディア効果が期待できる

読み取ることができる三つ目のポイントは、クロスメディア効果が期待できるということです。DMから派生する行動の種類も、webサイトアクセス、家族・友人等との話題(クチコミ)、来店など、様々な経路を経ていて、クロスメディア効果が期待できることがわかります。

「ネットで調べた」が6.7%、「ネット上の掲示板等に書き込んだ」が0.4%なども含め、webサイトアクセスへの誘導に対する効果も十分に期待できることがわかります。

回覧性が高い

読み取ることができる四つ目のポイントは、回覧性の高さです。電子メールの場合、転送することはあまりありませんが、紙媒体なら家庭や職場で回覧される可能性が高くなります。

行動内容の「家族・友人等との話題にした」が3.9%と比較的高い数字であることからも、回覧性が高いことが伺えます。

保存性が高い

五つ目のポイントは、保存性の高さです。これはデータから読み取れるというわけではありませんが、郵送はがきやチラシ、FAXなどで送られるDM(ダイレクトメール)は、インターネット上の広告のように画面を消してしまったら再度閲覧することがほとんどないものと違い、保存性が高いことが特徴です。

そのため、何度も見返してもらうことを期待したい場合、紙媒体によるDM(ダイレクトメール)は効果的な手法となります。

BtoBにおけるDMを活用した見込客獲得・育成の代表例

ここからは、BtoBにおけるDMを活用した見込客獲得・育成の代表例についてご紹介します。

資料請求の獲得

一つ目の活用例は、自社の商品・サービスへの資料請求の獲得を目的としたDMです。

自社の商品・サービスの特徴やメリットをわかりやすく記載し、受取主が興味を持った場合の資料請求の方法もあわせて記載します。

資料請求してくれた見込客は購入を検討してくれている可能性が高いため、DMの反応から具体的な商談につなげやすいのが特徴です。DMの最も基本的な活用の仕方だと言えます。

担当者との面識はない、しかし、あの会社の担当者であればペルソナに近い課題意識を持っているに違いない、自社の商品・サービスの特徴やメリットを伝えれば興味を持つに違いない、という仮説が立つ場合には、シンプルにDMを送ってみることからはじめてみることをおすすめします。

セミナー申込みの獲得

二つ目の活用例は、セミナー申込みの獲得を目的としたDMです。

自社の商品・サービスのターゲットに対して興味を持ちそうなテーマのセミナーやイベントの案内を行い、受取主が興味を持った場合のセミナーへの参加方法もあわせて記載します。

案内するセミナーのテーマにもよりますが、資料請求と比べると比較的低いハードルで見込客が申込を行なってくれる可能性が高いため、DMの反応からリード獲得につなげやすいのが特徴です。また、セミナーのテーマや構成次第では、セミナー内で自社の商品・サービスの特徴やメリットを訴求できる可能性があります。

資料請求の獲得を目的としたDMに反応しなかった見込客であっても、セミナー(もしくはウェビナー)のような切り口でアプローチを行うと、申込みを行なってくれる可能性が十分にあります。

展示会への来場予約の獲得

三つ目の活用例は、展示会への来場予約の獲得を目的としたDMです。

出展する展示会によっては、主催者側から見込客への招待状送付用のDMが提供されることもあります。展示会には様々な企業が出展するため、必ずしも自社に興味がなくても来場を検討している、という見込客はいらっしゃいます。

そのような見込客に対して自社からも招待状を送付することで、自社のブースにも立ち寄っていただける可能性が高まります。また、展示会の会期中に自社ブースでの商談を行うため予約を受け付けておくことも効果的です。

展示会に出展することが前提となる活用方法ですが、上手く活用することができればリードジェネレーションから商談までの期間を一気に短縮することができます。

無料サンプル請求の獲得

四つ目の活用例は、無料サンプル請求の獲得を目的としたDMです。

無料サンプル請求の獲得を目的としたDMは、製造業や建設業でよく実施されています。Webサイトで確認しただけでは実際の商品がよくわからないもの、例えば、素材系(紙、壁紙、タイル、断熱材、塗料、接着剤)の企業は、無料サンプル請求の獲得などを通じて自社の技術に触れてもらうことを目的に、無料サンプル請求の獲得を目的としたDMを活用することがあります。

自社の技術についてなかなか口頭での説明が難しい場合、実際に無料サンプルに触れてもらうことで商品に対する理解を深めていただくことができ、その後の商談をスムーズに行うことができるという効果があります。

利用マニュアルの送付

五つ目の活用例は、利用マニュアルの送付を目的としたDMです。

利用マニュアルの送付を目的としたDMは、リードジェネレーションやリードナーチャリングを目的とするというよりは、購入いただいたお客さまの利用をサポートするためのカスタマーサクセスの取組みの一環として行われます。

紙の冊子で送られる利用マニュアルは、回覧性や保存性に優れているため、カスタマーサクセスの施策として活用するのに効果的です。

BtoBにおけるDMのはじめ方

これからDM(ダイレクトメール)をはじめてみたいが、実際にはどのような手順ではじめていけば良いかがわからない、という方向けに、BtoBにおけるDMのはじめ方をご紹介します。

目的と期待値を明確にする

一つ目の手順は、DM(ダイレクトメール)を配信する目的と期待値を明確にすることです。

例えば、新規見込み客を獲得することが目的であれば、何件くらいの新規見込客が獲得できれば目的を達成することが出来たといえるかなど、目的と期待値を明確にすることが大切です。

目的は、下記のSMARTの要素をおさえて立てるようにしましょう。

  • S:Specific(具体的に)
  • M:Measurable(測定可能な)
  • A:Achievable(達成可能な)
  • R:Related(経営目標に関連した)
  • Time-bound(時間制約がある)

目的と期待値を明確にすることで、DM(ダイレクトメール)の企画立案を行う際に、どのようなターゲットに送るべきか、どのようなオファーを用意するべきか、などの認識合わせが関係者間でしやすくなります。

DM(ダイレクトメール)は、郵送物の内容によって多少のコストがかかります。あらかじめDM(ダイレクトメール)の目的と期待値を明確にすることで、会社の上層部や他部署の理解が得やすくなります。

ターゲットを明確にする

二つ目の手順は、ターゲットを明確にすることです。

DM(ダイレクトメール)の目的や期待値を達成するためには、どのような市場のどのようなターゲットにアプローチをするのが効果的かを明らかにしていきます。

ターゲットを明確にする際には、STPの考え方を取り入れて分析してみることをおすすめします。

STP分析については、別記事「STP分析とは?分析のやり方についてわかりやすく解説します」にて詳しくまとめております。あわせてご覧ください

ターゲットのニーズを推測する

三つ目の手順は、ターゲットのニーズを推測することです。

前の手順でターゲットが明確になったら、そのターゲットのペルソナを設定します。ペルソナはBtoBの場合、企業ペルソナと担当者ペルソナの2つを設定しましょう。企業の置かれている状況によって担当者のニーズや関心事が大きく変わってくるからです。

ペルソナについては、別記事「ペルソナ設定とは?BtoBマーケティングにおけるペルソナ設定と活用のコツ」にて詳しくまとめております。あわせてご覧ください

ペルソナの設定が完了したら、ペルソナに基づきカスタマージャーニーマップの作成も行います。カスタマージャーニーとは、購買行動のプロセスを時系列で洗い出したものです。自社商品との接触ポイントや次の行動に促されるきっかけを理解するために作成します。

カスタマージャーニーについては、別記事「カスタマージャーニーとは?概要とカスタマージャーニーマップの作り方について解説します」にて詳しくまとめております。あわせてご覧ください

ペルソナやカスタマージャーニーから得られる情報をもとに、DM(ダイレクトメール)のターゲットがどのようなニーズを抱えている可能性が高いか、また、どのような情報を提供すれば購買プロセスが先に進む可能性があるのかを推測しましょう。

オファーを決める

四つ目の手順は、受取主に対するオファーを決めることです。

オファー(offer)とは、日本語で「提示する」を意味する言葉ですが、マーケティング用語としては「相手に次の行動を促す」ことを指します。

例えば、商品案内のDMに資料請求用の返信用封筒を付けて相手の返信(資料請求申込)を促したり、DMに記載したQRコードにて無料サンプル品の請求フォームへの入力を促す、などがオファーに当たります。

オファーの内容が受取主にとって魅力的なものでなくては、受取主の行動を喚起することはできません。しかし、送り主側の視点からすれば、DM送付の目的と期待値を達成するためのオファーと受取主側から見て魅力的なオファーに大きなズレがあってはいけません。

様々な特典を付けることでレスポンス率や開封率の改善を期待することも可能かもしれません。しかし、組織的な購入判断が行われるBtoBにおいては、特典をつけることが購入につながるとは限りません。

ここまで、目的と期待値を明確にする→ターゲットを明確にする→ターゲットのニーズを推測する、と三つの手順を説明してきました。オファーを決める際には、そのオファーによって本当にターゲットのニーズを満たし、目的と期待値に沿う反応を得ることができるのか、整合性があるかを考慮しつつ、オファーの内容を決めましょう。

レスポンスの受け取り方を決める

五つ目の手順は、レスポンスの受け取り方を決めることです。

レスポンスの受け取り方というのは、受取主がDMに反応した際にどのようにレスポンスすべきか、また、どのようにレスポンスを受け取るのかを決めるということです。

例えば、資料請求の獲得を目的としてDMを配信する場合、受取主から資料請求したいとの申し出があったとき、電話で受け付けるのか、FAXで受け付けるのか、メール、あるいはwebサイト上のフォームで受け付けるのか、あらかじめ明確にしておく必要があります。

受け取り方は、必ずしも一つの方法に絞る必要はありません。電話、FAX、メール、フォーム入力など、複数の方法に対応することも受取主側の利便性につながる可能性があります。

ただし、受け取り方を一つに絞るにせよ複数にするにせよ、あらかじめレスポンスの受け取り方を明確にしておき、お客さま、そして社内の関係者にも合意をとっておき、オペレーションが回るようにしておかなければなりません。

最もしてはいけない失敗例としては、受取主から反応があったにも関わらず、レスポンスの受け取り方やその後の対応方法や対応責任者が明確になっておらず、しばらくの間その反応を放置してしまった、というケースです。

このような失敗を防ぐためにも、あらかじめレスポンスの受け取り方は決めておくようにしましょう。

実績のあるDM発送代行会社を見つける

六つ目の手順は、実績のあるDM発送代行会社を見つけることです。

一つ目〜五つ目までの手順、

  • 目的と期待値
  • ターゲット
  • ターゲットのニーズ
  • ターゲットへのオファー
  • ターゲットからのレスポンスの受け取り方

が固まれば、DMの企画の格子は決まったようなものです。

しかし、実際にDMを制作して発送するまでには、

  • 構成
  • デザイン
  • ライティング
  • 入稿
  • 印刷
  • 発送

など、他にも様々な業務が発生します。

これらの業務を内製化することができるのであれば自社でDMの制作から発送まで手がけてもいいとは思いますが、全ての作業を自社で担うのはなかなか大変な作業です。

そのため、一つ目〜五つ目までの手順は自社で行い、DMの企画の格子が固まってからは、DM発送代行業者に委託することをお勧めします。

はじめてDMを実施する際には特に、ターゲットに向けたDM配信実績のあるDM発送代行会社を見つけ、企画立案の段階から入ってもらうことをおすすめします。

プロならでは視点、かつ実績に基づいた提案をもらえる可能性が高く、自社で一から企画し、DMの発送の結果を見てPDCAを回して効果を改善していこうと考えるよりも、結果的に効率が良くなります。

DMの発送を行う際には、DM発送代行業者に委託する企業がほとんどです。あなたが実施したいDMに近い制作実績のあるDM発送代行業者を探し、相談してみることをおすすめします。

さいごに

本記事は、調査データをもとにDMの効果と重要性を解説するとともに、BtoBにおけるDMを活用した見込客獲得・育成の例や、DM施策のはじめ方についてもご紹介しました。

もちろん、DMはあくまでマーケティングの手段でしかありませんので、DMよりもデジタルでコミュニケーションをとった方が効果的なケースもあるでしょう。しかし、デジタルマーケティング全盛の時代にも関わらず、さまざまな企業がDMを活用しているというのは、一定の効果が見込めるからに他なりません。

コミュニケーションの手段が変われば、それまでなかなか届かなかったあなたのメッセージが相手まで届くようになるかもしれませんので、ぜひDMも活用してみてください。

さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。マーケティングの基礎知識と実践方法を体系的にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。

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