マーケティング用語の多くはカタカナ用語であり、種類が多く、類似している用語も多いです。新しい用語も頻繁に登場するため、意味がよくわからないまま使っている用語も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、マーケティングや営業の現場で耳にすることが多い基本的なマーケティング用語を中心に、その意味を解説していきます。
目次
「あ」から始まるマーケティング用語
今回は、マーケティングに関する基本的な用語を中心に「あ」から始まるマーケティング用語についてまとめました。ぜひ、参考にしてみてください。
AARRRモデル(アーモデル)
AARRRモデルは、起業やWebサービスなどマーケティング戦略におけるフレームワークの一つで、アクイジション、アクティベーション、リテンション、レファーラル、リベニューの5つのフェーズから成り立っています。
1. アクイジション(Acquisition):Webサイトやアプリにアクセスしてくる新規ユーザーを獲得するための施策を実施すること
2. アクティベーション(Activation):新規ユーザーに価値を届け、Webサイトやアプリを活用してもらえる状態に導くこと
3. リテンション(Retention):Webサイトやアプリを再利用してもらえる状態を維持・改善すること
4. レファーラル(Referral):既存ユーザーからの口コミなどを通じて新規ユーザーを獲得する施策を行うこと
5. リベニュー(Revenue):ユーザーから収益を得ることを目的とし、広告収入、課金モデル、アフィリエイトなどの施策を実施すること
このように、AARRRモデルはマーケティングのプロセスを5つのフェーズに分け、それぞれのフェーズにマッチする施策を実施することで、Webサービスやアプリを成長させる手法です。
AISAS(アイサス)
AISAS(アイサス)は、顧客の購買行動を5つの要素で表したもので、以下のようになります。
1. Attention(注意):顧客の注意を引くこと。
2. Interest(興味):顧客の興味を引くこと。
3. Desire(欲求):顧客の欲求を刺激すること。
4. Action(行動):顧客に商品やサービスを購入する行動を促すこと。
5. Satisfaction(満足):商品やサービスが顧客の期待に応え、満足感を得られるようにすること。
この法則に基づいて、マーケティング戦略を立てることで、商品やサービスの販売効果を高めることができます。
AIDMA(アイドマ)
AIDMA(アイドマ)の法則は、販売促進の手法を5つの段階に分類し、顧客の購買行動に影響を与えることを目的としたものです。AIDMAの各段階は以下のようになります。
1. Attention(アテンション):顧客の注意を引くための刺激を与える。
2. Interest(インタレスト):興味を持たせるための情報を提供する。
3. Desire(デザイア):欲求を喚起し、商品やサービスに興味を持たせる。
4. Memory(メモリー):商品やサービスの印象を強め、記憶に残るようにする。
5. Action(アクション):購買するための行動を促す。
アウトソーシング
アウトソーシングとは、企業が自社で行っていた業務を外部の専門業者に委託することを意味します。
主に人事・経理・情報システムなどのバックオフィス業務の委託に使われることが多いですが、最近ではプログラミングやウェブ制作などのIT業務、さらには生産・組立業務などのフロントオフィス業務でも行われるようになっています。
アウトソーシングによって、コスト削減や人材確保、ベストプラクティスの導入などのメリットが生じる一方、委託先とのコミュニケーションや品質管理の問題、情報漏洩の危険性などの課題も存在します。
アウトバウンドマーケティング
アウトバウンドマーケティングとは、商品やサービスの提供者が自ら顧客にアプローチして販売を促進するマーケティング手法のことを指します。
主にテレマーケティングや直接訪問販売、DM、チラシなどのプロモーション活動によって顧客にアプローチし、商品やサービスを提供する手法です。
類似する概念として「インバウンドマーケティング」という、顧客が主導で自社にアクセスしてくるマーケティング手法もあります。
ABM(アカウントベースドマーケティング)
ABM(アカウントベースドマーケティング)は、企業が重要な顧客対象に対して、個別にカスタマイズされたマーケティング戦略を実施する手法のことです。従来の広告宣伝手法に対して、よりターゲットに特化した手法であるといえます。
特にBtoB市場において、大口顧客向けの販売促進手法として採用されることが多く、ニーズの高い複数人からなるターゲットを設定し、緻密な分析と戦略の実施が求められます。
ABM(アカウントベースドマーケティング)については、別記事「アカウントベースドマーケティング(ABM)とは?わかりやすく解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。
アクイジション
アクイジションとは、新規顧客を獲得するために発生する費用のことです。その費用は、マーケティングや広告費、営業費、プロモーション費などが含まれます。また、販促活動やキャンペーン、イベントの費用も含まれる場合があります。
企業は、アクイジションにどれだけの費用を投資するかを決定する際に、購入後の顧客のLTV(顧客生涯価値)と比較することが重要です。顧客を獲得するために多額の費用をかけても、その顧客から得られる利益が獲得費用を上回らなければ、その投資は効果的でないと言えます。
アクセスログ
アクセスログは、ウェブサイトやアプリケーションにアクセスしたユーザーの情報を記録するファイルです。このログファイルには、アクセスした日時、IPアドレス、ユーザーエージェント、アクセスしたページなどの情報が含まれています。
これらの情報は、サイトやアプリのトラフィック解析やセキュリティの監視に役立てられます。また、サイトやアプリの改善やマーケティングのための情報収集にも使用されます。一般的に、アクセスログはウェブサーバーなどのサーバー側で自動的に生成されます。
アップセル
アップセルとは、商品を購入した顧客に対して、より高額で高品質な商品やサービスを提供することで、追加の売上を生み出す販売戦略のことです。
例えば、飲食店でドリンクを注文した場合に、追加でサイドメニューやデザートを勧められるといったものがアップセルの一例です。アップセルは、顧客のニーズに合わせた提案であることが重要であり、購入を促す言葉遣いや、特典や割引の提供なども効果的な施策となります。
アトリビューション分析
アトリビューション分析とは、マーケティングや広告施策において、どのチャネル、どのプロモーションが顧客の行動に最も影響を与えたのかを分析することです。
具体的には、コンバージョン(購入や申し込みなど)までのユーザーの行動の軌跡を追跡し、その最終的なコンバージョンに至るまでのユーザーの接触点や触点ごとの影響を評価します。これにより、どの施策がどの程度貢献しているかを把握することができ、将来の施策に活用できます。
アトリビューション分析については、別記事「アトリビューション分析とは?実践の手順と注意点を解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。
アドネットワーク広告
アドネットワーク広告とは、多数のウェブサイトに広告を配置して、アドネットワークを通じて配信する広告です。これにより、広告主は多数のウェブサイトに広告を掲載することができ、一方、ウェブサイト運営者は自社のサイトに広告を掲載することで収益を得ることができます。また、アドネットワーク広告は、多様なターゲティングオプションを提供するため、ターゲット層にリーチすることができます。
しかし、ブランドイメージを損なう可能性があるため、注意が必要です。
アドエクスチェンジ
アドエクスチェンジは、広告主と出版社を結びつけるオンライン広告取引プラットフォームのことです。これにより、広告主は出版社に向けて精度の高いターゲティング広告を提供し、出版社はその広告を自社のウェブサイトやアプリ内に掲載することができます。
アドエクスチェンジは、競り合い型のオークション形式を採用しており、広告主は最適な入札価格を設定して、特定のターゲットユーザーに向けた広告を表示することができます。
アドフラウド
アドフラウドとは、広告主が支払っている広告費が、実際には広告表示がされていない、または正当なユーザーのクリックや表示ではなく、人工的な手法で生成された虚偽または不適切なクリックや表示によって無駄になる現象のことを指します。つまり、広告を見せかけるだけの偽のウェブサイトなどで表示・クリックを生成し、広告主を騙す行為のことです。
アドフラウドは広告主や配信会社にとって大きな被害をもたらす問題となっています。
アドボカシーマーケティング
アドボカシーマーケティングとは、企業や商品などに対する支持者であるアドボケイト(推薦者)を活用し、商品やブランドの認知度を高めたり、新規顧客の獲得・既存顧客のロイヤルティ向上を図るマーケティング手法のことです。
具体的には、アドボケイトがソーシャルメディア上で商品やサービスについてのポジティブな声を発信することによって、製品やブランドの価値を高め、口コミによる効果を引き出します。
アドボカシーマーケティングは、広告費を削減しながら、高い信頼性と効果的なプロモーションを実現することができます。
AdWords(アドワーズ)
AdWords(アドワーズ)は、Googleが提供する広告配信サービスです。検索エンジンの検索結果や、情報サイトの広告欄など、広告枠を提供しています。
広告主は、自社や商品などの検索キーワードに合わせて広告を出稿し、そのリンクをクリックしたユーザーのみが料金を支払う、クリック課金型の広告配信を行うことができます。
広告のターゲティングも多様で、地域やデバイス、言語、興味関心など、広告主自身が細かく設定することが可能です。
アナリティクス
アナリティクスは、ウェブサイトやアプリの利用状況を分析するためのツールです。具体的には、サイト訪問者の数や行動、コンバージョン率などのユーザ行動データを収集し、可視化することができます。アナリティクスを利用することで、サイト改善のための分析や施策の検討が可能となります。
Google AnalyticsやAdobe Analyticsといった有名なアナリティクスツールがあります。
ARR(アニュアルリカーリングレベニュー)
ARR(アニュアルリカーリングレベニュー)とは、企業がクラウドサービスや定期購読サービスなどの収益モデルにおいて、一定期間(通常は1年)の契約上の収益予測額を表す指標です。
例えば、企業が月額100ドルで10人の顧客を獲得した場合、ARRは1,200ドルになります。
ARRは、企業が将来的にどの程度の収益を見込めるかを示す指標で、SaaS企業や定期購読型ビジネスにおいては重要な経営指標の1つとなっています。
アフィリエイト
アフィリエイトとは、企業が自社商品やサービスを宣伝し、販売を促進するために、ブログやSNSなどのWebメディアを活用して、その媒体を通じて商品を紹介し、購入された場合に報酬を支払うビジネスモデルです。
アフィリエイト参加者は、販売促進に貢献したことに対し、商品やサービスに関する情報提供、バナー広告掲載、紹介URLの配布などを行い、参加企業から報酬を得ることができます。
このビジネスモデルは、企業がコストを下げながら販売促進を行えるメリットがあり、参加者は、Webメディアを活用することで報酬を得られるメリットがあります。
アプリケーション
アプリケーション(Application)は、コンピュータ上で動作するプログラムの一種で、ユーザーが目的に合わせて利用するためのソフトウェアのことです。有名なアプリケーションの例としては、WordやExcel、Webブラウザなどがあります。
近年では、スマートフォンやタブレット端末などモバイルデバイス用のアプリケーションも増えています。アプリケーションの種類は多岐にわたり、特定の業務や作業を効率化するツール、コンピュータゲーム、SNSやメッセンジャーアプリなどのコミュニケーションツールなどがあります。
ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)
ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)とは、インターネットを介してアプリケーションソフトウェアやデータベースなどの情報システムを提供するサービスを提供する企業のことです。
顧客は、ASPが提供するサービスを利用することで、自社内でのサーバー運用やソフトウェアの保守・更新・アップグレードなどの作業を省くことができます。ASPの代表的なサービスとしては、クラウドサービスやWeb会議システム、CRMシステム、メールマーケティングツールなどがあります。
API(アプリケーションプログラムインターフェース)
API(アプリケーションプログラムインターフェース)とは、ソフトウェア開発において、アプリケーションに必要な機能を提供するライブラリやフレームワークのことを指します。APIを通じて、アプリケーション開発者は、OSや他のアプリケーションの機能を使用することができます。
APIは、Web APIやクラウドAPIなど多様な形態があります。
AWS(アマゾンウェブサービス)
AWS(アマゾンウェブサービス)は、企業や個人が必要に応じて、必要な数の仮想サーバーやストレージなどのITリソースを、インターネットを通じてクラウド上から利用することができるサービスです。
AWSは、EC2(Elastic Compute Cloud)、S3(Simple Storage Service)、RDS(Relational Database Service)、Lambda(サーバーレスコンピューティング)、DynamoDBなどのサービスを提供しています。
AWSは高い信頼性とセキュリティ性、スケーラビリティ、柔軟性、コスト効率などの特徴を持ち、多くの企業やスタートアップが利用しています。
アラインメント
アラインメントとは、「整列」「調整」「合わせ」などの意味があります。一般的には、複数の物を正しい位置関係に調整することを指します。具体的には、車両のホイールアライメント調整、歯の噛み合わせのアライメント調整、ビジネスストラテジーのアライメントなどがあります。
ビジネスにおいては、組織や部門、個人のゴールと方向性を整合させ、全員が同じ方向を向いて仕事に取り組むことを目指して、統合的なアプローチをすることをいいます。BtoBマーケティングでは、マーケティング活動と営業活動の連携や整合性を意味します。
アンゾフマトリックス
アンゾフマトリックスとは、経営学における戦略のフレームワークの1つで、4つの戦略オプションをマトリックス状に整理し、企業の現状と将来の戦略選択の指針とするためのツールです。
アンゾフマトリックスは、市場と製品の2つの軸を持ち、縦軸には既存の市場か新しい市場か、横軸には既存の製品か新しい製品かをプロットして、4つの戦略オプションである、市場浸透(既存市場×既存製品)、新製品開発(既存市場×新規製品)、新市場開拓(新規市場×既存製品)、多角化(新規市場×新規製品)に分類します。
市場浸透(既存市場×既存製品)は、既存の製品で既存の市場に攻勢をかけること、新製品開発(既存市場×新規製品)は、既存の市場で新しい製品を開発すること、新市場開拓(新規市場×既存製品)は、新しい市場を開拓すること、多角化(新規市場×新規製品)は、新しい製品と新しい市場を同時に開拓することを目指します。
このように、アンゾフマトリックスは、企業のポートフォリオ戦略と将来の戦略展開の指針として活用されます。
アンゾフマトリックスについては、別記事「アンゾフの成長マトリクスとは?概要や活用のコツついて解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。
アーリーアダプター
アーリーアダプターとは、新製品や新しい技術を早く試すことに興味を持ち、積極的に取り入れる人々を指します。製品の革新性や先進性に惹かれ、新製品が出たらすぐに手に入れる、先駆者的な存在です。
アーリーアダプターは、その新製品を使って感じた利便性や、他人と異なることができる満足感などを求める傾向にあります。
このアーリーアダプターによる新製品の評価結果によって、その後の普及に影響を与えることもあるため、一部の企業にとっては非常に重要なマーケットとなっています。
アーリーマジョリティ
アーリーマジョリティとは、ある製品やサービスが市場に定着し始める前に、それを先駆的に導入するイノベーターやアーリーアダプターに続いて、その製品やサービスを採用する人々を指します。
市場の中では比較的大きなグループであり、大衆的な製品・サービスに対して早めに採用する人々とも言われます。
アーリーマジョリティが製品・サービスに興味を持つようになると、市場が本格的に成立し始めるとされています。
RSS(アールエスエス)
RSS(アールエスエス)とは、Webサイトで発信された情報を配信するためのXMLベースのフォーマットのことです。RSSフィードと呼ばれる形で配信され、Webサイトやブログの更新情報や記事のタイトル、サマリーなどが配信されます。
利用者はRSSリーダーと呼ばれるツールを使い、複数のWebサイトを一括して取材し更新情報を受け取ることができます。
アーンドメディア
アーンドメディアとは、自社や商品・サービスに対するユーザーやメディアからの口コミやシェア、報道など、自社の広報活動によって直接コントロールできない、有償広告以外のメディア露出のことを指します。
ユーザーからの口コミや評判は、信頼性が高く、新規顧客の獲得やリピート率の向上につながるため、企業にとっては重要なマーケティング手法の一つです。
アーンドメディアについては、別記事「トリプルメディアとは?トリプルメディアの長所短所、進化系のPESOモデルについて」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。
アルゴリズム
アルゴリズムとは、問題を解決したり、処理を行うための手順や計算の手法を指します。
コンピューターやプログラムにおいては、アルゴリズムは、問題を解決するための計算の手順をプログラムで表現したものです。
例えば、GoogleやYahooなどの検索エンジンが、ユーザーが入力したキーワードに対して、関連の高いWebサイトを検索して表示するためには、膨大な情報を処理するアルゴリズムが必要となります。
さいごに
以上、今回はマーケティングや営業の現場でよく使われるマーケティング用語について「あ」から始まる用語編と題し、お届けしました。次回は「い」から始まるマーケティング用語についても解説したいと思います。
さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。マーケティングの基礎知識と実践方法を体系的にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。