メールを活用した休眠顧客の掘り起こしで成果を上げるポイント

休眠顧客とは「過去に商品やサービスを購入してくれたのに、その後一定以上の期間、購入がない顧客」のことです。

休眠してしまった背景には「購入する必要がなくなった」「過去に商品やサービスを購入した際の印象が良くなかった」「競合他社から購入するようになった」「最後の取引から連絡を取らないまま時間がたった」など、いくつかの理由が考えられます。

場合によっては、相手からネガティブな印象を持たれてしまっている可能性もあります。そのため、休眠顧客へのアプローチを行うことに対し二の足を踏んでしまう、またはアプローチの優先順位を下げてしまっている、という方も多いのではないでしょうか?しかし、休眠顧客は「自社に一度は興味を持ってくれた相手」と言い換えることもできるため、無視してしまうのはもったいない存在です。

今回は、容易に取り入れられるアプローチである「休眠顧客掘り起こしのためのメール営業」について解説します。

休眠顧客については、別記事「休眠顧客とは?掘り起こしの重要性とアプローチ方法についてわかりやすく解説します」でも解説しています。合わせてご覧ください。

休眠顧客の掘り起こしにメールを利用するメリット

休眠顧客の掘り起こしに有効な手段の一つとしてメールがよく挙げられます。ここでは、メールを利用する3つのメリット「コストを抑えられる」「一斉送信ができる」「効果測定が比較的容易である」について解説します。

コストを抑えられる

テレアポやDM発送は、メールに比べると費用も時間も工数もかかります。例えば、テレアポの場合は代行会社に依頼しようとすると、1コールあたりの平均費用相場は100円~120円になると言われています。

また、DM発送を行う場合にも、外部会社に依頼しようとすると、DMの企画・制作・発送を含め1通あたりの平均費用相場は300円〜1000円以上になると言われています。発送するためには、企画から発送に至るまでに数ヶ月の時間と工数がかかります。

一方メールは、メールソフトやメール配信ツールがあれば、思い立ったその日から始めることができます。また、メール配信にかかる費用は、1通あたり1円もかからないケースがほとんどです。メールツールがあれば今すぐにでも導入できるのがメール営業です。そのため、費用・時間・工数といったコストをほとんどかけずに休眠顧客の掘り起こしを始めることができます。

一斉送信ができる

休眠顧客のリストがたとえ1000件を超えたとしても、メール配信ツールを活用すれば送信ボタンをクリックするだけで一斉にアプローチが可能です。また、テンプレート化すれば、時間をかけずにメール作成ができるようになります。

また、MAツールを使えば、メールの一斉配信はもちろんの事、メールへの反応に合わせて次のメールを配信するステップメール(シナリオ)を活用することができます。ステップメール(シナリオ)を活用すれば、休眠顧客の掘り起こしアプローチを半自動化することもできます。

ステップメール(シナリオ)については、別記事「ステップメール(シナリオ)とは?活用するメリットと使い方をわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。

効果測定が比較的容易である

メールは、送信後の反応や効果を測定しやすいというメリットもあります。メール配信システムを利用すれば、配信数だけでなく、到達数(到達率)、開封数(開封率)、クリック数(クリック率)などのデータも得られるため、さらに効果測定や分析が詳細にできるようになります。

メールの効果測定指標については、別記事「KPI指標の意味・設定例を解説します|メルマガ・メールマーケティング編」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。

休眠顧客にメールを送る前の注意点

休眠顧客をリストアップしメールを一斉に送ったとしても、相手に刺さる内容でなければ、反応は薄くなるため、あまり成果は出ないでしょう。そのため、休眠顧客にメールを送る前にはある程度ターゲットを絞り、ターゲットに適した訴求ポイントやオファーを検討する必要があります。

ここでは、メールを送る前の注意点について解説します。

休眠状態になった理由ごとに顧客を分類する

まずは、休眠顧客を分類します。休眠状態になった原因ごとに顧客をグループにわけることで、それぞれの顧客に刺さる内容でアプローチができ、成果も上がりやすくなります。休眠理由には「購入する必要がなくなった」「過去に商品やサービスを購入した際の印象が良くなかった」「競合他社から購入するようになった」「最後の取引から連絡を取らないまま時間がたった」などがあります。

訴求するポイントに沿って内容を決める

休眠理由ごとに顧客の分類ができたら、休眠理由をカバーできるメールの内容を考えましょう。例えば、過去サービスに不足点があり継続利用に至らなかった相手に対しては、現在はその不足点を払拭できているなどアピールポイントを本文に盛り込めば、また商談の機会を得られることもあるでしょう。

休眠状態になった理由ごとに顧客を分類し、訴求するポイントに沿って内容を決めるというのは、リードナーチャリングを設計する際の手順と同様になります。

リードナーチャリングを設計する手順については、別記事「リードナーチャリングとは?実施するメリットと設計する手順をわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。

メール作成時のポイント

多くの会社は毎日大量のメールが届きます。代り映えのないメールを送っていれば、他のメールに埋もれてしまうでしょう。見てもらえるメールを書くために次のことに着目しましょう。

件名・差出人名はシンプルにする

メールの開封率は件名に大きく左右されます。複雑なものや長すぎる件名は避けられがちですので、シンプルで親しみやすい件名を設定しましょう。また、差出人名に関してもシンプルに、できれば一度は相手と面識のある個人名(営業担当者名など)を設定するのが良いでしょう。

私信風メールにする

休眠顧客に対しては、私信風メールを送るようにしましょう。私信風メールとは、企業から発信されているメルマガのような体裁ではなく、営業担当者からのメールであると認識してもらえるものを指します。私信風メールにすることで、他のメールに埋もれてしまうことや、既読スルー(相手が読んでいるにもかかわらず返信が来ないこと)を防ぐ効果が期待できます。

メール配信ツールやMAツールに備わっている名前の差し込み機能を活用すれば、私信風メールを一斉配信することも簡単にできます。また、一斉配信せずに個別でアプローチする場合には、過去のメールに返信する形で「Re:○○」という件名のメールを送ってみるのも効果的です。

本文は端的にまとめる

冒頭部分では自分のことを思い出してもらえる文章を書きましょう。ただし、久しぶりのメールで長々とあいさつを入れたくなるかもしれませんが、相手が本題を読む前に離脱してしまうリスクがあるので、あいさつ文は手短に済ませましょう。また、本題においても端的にわかりやすくまとめ、要点のみ伝えるように注意しましょう。

わかりやすく情報を伝えるための文章構成のフレームワークを参考にするのも良いでしょう。文章構成のフレームワークには、PREP法・SDS法・DESC法などがあります。

PREP法・SDS法・DESC法については、別記事「PREP法・SDS法・DESC法とは?わかりやすく伝えるための文章構成の3つのフレームワーク」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください

休眠顧客を次のアクションへ誘導する

要点を伝えたあとは、すぐに次のアクションへと誘導しましょう。例えば、セミナーに参加してほしいのであれば、メール内に申し込みフォームのURLを設置しておき、実際の申し込み手続きに誘導することが大切です。

また、休眠顧客を次のアクションへ誘導するためには、掘り起こしのターゲットに対し、どのような情報を提供し、どのような次のアクションに促したいのかをあらかじめ整理しておく必要があります。情報を整理する際には、バイヤージャーニーを作成してみるのもおすすめです。

バイヤージャーニーについては、別記事「バイヤージャーニーとは?作り方やマーケティングや営業に活用する方法について解説します」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください

さいごに

休眠顧客の掘り起こしメールでは、顧客が休眠状態となった理由に寄り添って内容を工夫することが重要です。また、配信後の分析によって、本文をより引き付けるものに改善したり、効果があったものはテンプレート化したりするなど、PDCAサイクルを回していくことも効率的なメールマーケティングには必要不可欠です。

場合に応じてメルマガの配信やMAツールの利用も検討してみると良いでしょう。メールを活用し、一度離れてしまった休眠顧客をアクティブ顧客へと効率的に変化させましょう。

さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。マーケティングの基礎知識と実践方法を体系的にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。

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