マーケティングは、対象範囲がとても広い言葉です。
企業の販促活動や営業活動において、マーケティングという言葉はよく使われます。しかし、リサーチ、商品企画、プロモーションなど、対象範囲が広すぎるので、人によってどこまでの範囲のことを言いたくて使っているのか、曖昧になりがちな言葉でもあります。
そのため、マーケティングを一から勉強しようと考えたとき、どこから手をつけるべきかわからない、という方も多いのではないでしょうか?
本記事では、マーケティングの主な実務(販促活動や営業活動)を行う上で役に立つ、シンプルで使いやすいマーケティングのフレームワーク「3つのM」についてご紹介します。
目次
マーケティングの3つのMとは?
マーケティングとは、商品やサービスを買ってもらう仕組み(売れる仕組み)をつくるための一連の活動を指す言葉です。マーケティングという言葉の対象範囲が広いのはそのためでもあります。
マーケティングの3つのMとは、
- Market(市場、顧客)
- Message(伝えたいこと)
- Media(手段、媒体)
という、マーケティングを考える上で必要不可欠な3つの要素の頭文字を表しています。3つのMのそれぞれの要素について、順に見ていきましょう。
Market(市場、顧客)
一つ目の要素は、Market(市場、顧客)です。
Market(市場、顧客)について考えるからMarketing(マーケティング)とも呼ばれるように、マーケティングの戦略や戦術について検討するとき、常にMarket(市場、顧客)を起点に考えはじめることになります。
なぜなら、対象とする市場や顧客によって、伝えるべきメッセージや、メッセージを効果的に伝える手段も異なってくるからです。そのため、市場や顧客が見えなければ、マーケティングの戦略や戦術は考えようがありません。
本来的には、Market(市場、顧客)を正しく理解するためには、マーケティングリサーチを行い、定量的にも定性的にも情報を把握した方がいいと思います。ただし、マーケティングの主な実務(販促活動や営業活動)で活用する際に、毎回マーケティングリサーチを行うのも大変です。
そのため、販促活動や営業活動で活用する際には、シンプルに、
Market(市場、顧客)→「誰に」伝えるのか
が、関係者に説明できるのであれば、良しとしておきましょう。
マーケティングリサーチに関しては、別記事「マーケティングリサーチとは?実施するメリット、手法、手順について解説します」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。
Message(伝えたいこと)
二つ目の要素は、Message(伝えたいこと)です。
Market(市場、顧客)を決めることが「誰に」伝えるのか決めることであるならば、Message(伝えたいこと)を決めることは「何を」伝えるのかを決めることになります。
相手に「何を」伝えるのか、伝えることで、相手にどのような行動をしてほしいと考えているのか、そのような観点を持つことが大切です。効果的なMessage(伝えたいこと)を考える際には、相手がどのような人間か、相手がどのような状態にあるのかを想像しなくてはいません。
特定の顧客を対象としたアプローチであれば、その顧客について詳しく調べた上でメッセージを決めるのがいいと思います。
顧客理解に関しては、別記事「顧客に会う前にやっておきたい、顧客理解のための10の具体的方法」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。
また、複数の顧客(特定の市場)を対象としたアプローチであれば、代表的な顧客像(ペルソナ)や購買プロセス(カスタマージャーニー)を明らかにしておき、関係者で認識合わせを行いながら目セージを決めるのがいいと思います。
ただ、マーケティングの実務で活用することを考えれば、シンプルに、
Message(伝えたいこと)→「何を」伝えるのか
が、関係者に説明できるのであれば、良しとしておきましょう。
ただし、メッセージを伝えることによって、相手にどのような態度変容を促そうとしているのかについても、合わせて説明できなくては意味がありません。
ペルソナに関しては、別記事「ペルソナ設定とは?BtoBマーケティングにおけるペルソナ設定と活用のコツ」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。
カスタマージャーニーに関しては、別記事「カスタマージャーニーとは?概要とカスタマージャーニーマップの作り方について解説します」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。
Media(手段、媒体)
三つ目の要素は、Media(手段、媒体)です。
Market(市場、顧客)を決めることで「誰に」伝えるのかが決まり、Message(伝えたいこと)を決めることで「何を」伝えるのかが決まったら、次は「どのように」伝えるかを決めます。
相手に「どのように」伝えるのか、メッセージを伝えるための手段はさまざまな方法が考えられます。相手にメッセージを確認してもらいやすいか、そして、伝わりやすいかについても加味して手段や媒体を決めましょう。
Media(手段、媒体)には、TVや新聞、雑誌、広告(オフライン、オンライン問わず)、メルマガ、DM(ダイレクトメール)、FAX DM、動画、テレアポ、訪問して対面での打合せ、など、さまざまな方法があります。
Media(手段、媒体)を選ぶ際には、ターゲット顧客が普段どのような媒体から情報収集しているか、多くのターゲット顧客に届けることができるか、ターゲット顧客に伝えたい情報量を伝えることができるか、などを加味することをおすすめします。
マーケティングの実務で活用することを考えれば、シンプルに、
- Media(手段、媒体)→「どのように」伝えるのか
が、関係者に説明できるのであれば、良しとしておきましょう。
ただし、数あるMedia(手段、媒体)の中で、あなたがなぜそのMedia(手段、媒体)を選んだのかについても、合わせて説明できるようにしておきましょう。
活用のコツ・留意点
3つのMの活用のコツ・留意点です。
3つのMの整合性はとれているか
一つ目は、3つのMの整合性はとれているかということです。
Market(市場、顧客)、Message(伝えたいこと)、Media(手段、媒体)、つまり、「誰に」「何を」「どのように」伝えることで、マーケティングの目的を達成できるのか、また、その内容に整合性がとれているかを確認するようにしましょう。
「誰に」「何を」の段階で、相手にそのメッセージを伝えることが出来れば目的を達成することができそうか検討する必要があります。そこが上手くいきそうであれば、「どのように」伝えれば、そのメッセージは相手に届き、十分に理解してもらえそうのかを検討していきます。
「誰に」「何を」「どのように」に整合性がとれない、マーケティング目的の達成が難しいと感じるようであれば、3つのMを見直すようにしましょう。
また、Market(市場、顧客)、Message(伝えたいこと)、Media(手段、媒体)には、イメージの一貫性も求められます。例えば、富裕層に向けて特別なキャンペーンのご連絡を送付するのに、高級な便箋を使わずにFAXやチラシでご案内を送るようなことはやめましょう。
効果検証のための仕組みがあるか
二つ目は、効果検証のための仕組みがあるかということです。
前述したとおり、マーケティングとは、商品やサービスを買ってもらう仕組み(売れる仕組み)をつくるための一連の活動を指す言葉であり、マーケティングの3つのMは、その仕組みをつくるために必要な3つの要素になります。
ただ、Market(市場、顧客)、Message(伝えたいこと)、Media(媒体、手段)の各要素については、効果的な組み合わせが何か、マーケティング活動を開始するタイミングからわかっているわけではないことがほとんどです。
そのため、3つのMについてはマーケティング活動の初期のタイミングでは仮説を立てて選定し、その後、効果検証を行いながら効果的な組み合わせを探していくことになります。そこで必要になるのが、効果検証のための仕組みです。
効果検証のためには、マーケティング活動を通じて「誰に」「何を」「どのように」伝えたのか、その結果はどうだったのか、という情報を記録し、分析できるようにしておく必要があります。
ここで役に立つのが、顧客管理システムです。顧客管理システムにはさまざまな種類が存在し、顧客管理システムによって、マーケティング・セールスのプロセスのどこが得意かが異なります。
代表的な顧客管理システムの種類で言えば、
- 見込み客情報の獲得〜案件化まで(MAの得意領域)
- 案件化〜受注まで(SFAの得意領域)
- 受注〜取引状況の把握(CRMの得意領域)
となります。
必要に応じて、顧客管理システムを活用することをおすすめします。
MAに関しましては、別記事「マーケティングオートメーションとは?導入するメリットと使い方をわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。
SFAに関しましては、別記事「SFAとは?導入するメリットとMA・CRMとの違いをわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。
顧客管理システム全般に関しましては、別記事「顧客管理とは?顧客管理システムの種類やシステム導入時の注意点について」に詳しくまとめております。合わせてご覧ください。
さいごに
本記事では、マーケティングの3つのMという、シンプルで使いやすいフレームワークをご紹介しました。
マーケティングの主な実務(販促活動や営業活動)を行う上では、マーケティング施策の目的を明確にする、その上で、3つのMを決め、それぞれに整合性がとれているか、確認するようにしましょう。そうすれば、かなりの割合で的を得た販促活動や営業活動を行うことができ、また、実施した施策に対する効果検証もしやすくなります。
さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。ビジネスリーダーが知っておきたいフレームワークを中心にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。