調査レポートとは?調査レポートを制作するメリットや制作手順、活用例まとめ

BtoBマーケティングを実践する上で重要な施策の一つに、リード獲得(リードジェネレーション)があります。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により対面の商談機会が減少し、企業の情報発信におけるデジタルシフトが一気に加速しました。同時にビジネスパーソンの意思決定につながる情報収集においてもインターネットの活用が一般的になりつつあります。

そのような背景もあり、あらためてWebからのリード獲得施策に注目が集まっています。

本記事では、Webからのリード獲得に効果が高いと言われている調査レポートについて、制作するメリットや制作手順、活用例をまとめてご紹介します。

調査レポートとは

調査レポートとは、自社の商品・サービスに関連するテーマでアンケート調査を実施し、その結果を読み物に仕立てたもののことです。

紙に印刷されて営業活動あるいは展示会DMなどオフラインのマーケティングに利用されることもありますが、Webからのリード獲得施策に活用する場合にはPDF化されてフォームからダウンロードできるようにしてあるケースがほとんどです。

調査レポートは、下記のように

  • 表紙 1枚
  • はじめに(調査の目的など) 1枚
  • 調査概要 1枚
  • 調査結果の発表 数枚
  • 解決策の提示 1枚
  • 裏表紙 1枚

という構成になっているものが一般的です。

調査項目の数によりますが、調査レポートの全体のページ数は5ページ程度のものから数10ページに及ぶものまであります。

参考:ホワイトペーパーとは

BtoBマーケティングでは、調査レポート・ノウハウ集・事例集・用語集・製品資料・マニュアルなどがリード獲得(リードジェネレーション)リード育成(リードナーチャリング)、あるいはカスタマーサクセスのためのコンテンツとして活用されています。

これらのコンテンツの総称をホワイトペーパーと呼びます。

ホワイトペーパーに関しては、別記事「ホワイトペーパーとは?作成する4つのメリットと6つの種類についてわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

調査レポートを制作するメリット

調査レポートを制作するメリットには、Webからのリード獲得に効果が高いことや、費用対効果が高いことが挙げられます。メリットの根拠は、以下の3つです。

認知段階の層にもアプローチできる

一つ目の根拠は、調査レポートは認知段階の層にもアプローチできるコンテンツであるということです。

商品やサービスの情報を得るための製品資料やマニュアルなどは、一般的には購買プロセスがかなり進み、具体的に導入を検討している人しか興味を示しづらいものです。

それに対して調査レポートは、商品・サービスそのものではなく関連するテーマに関するアンケート調査をもとに制作されるため、商品やサービスそのものにはまだ興味がない(あるいはまだ認知していない)が、調査レポートのテーマには興味がある、という方にもダウンロードしていただける可能性が高くなります。

拡散効果を期待できる

二つ目の根拠は、調査レポートは拡散効果を期待できるコンテンツであるということです。

調査レポートはアンケート調査で取得した客観的データをもとに制作されるため、プレスリリースを配信した場合に製品資料などに比べてメディアに取り上げられやすいという特徴があります。様々な情報サイトに取り上げられやすくなれば、その分情報が拡散される可能性があります。

広告ではない方法で多数の情報サイトに露出することができれば、そこからリードの流入が見込めることはもちろんのこと、被リンク(外部サイトから自サイトへ向けられたリンクのこと)の獲得につながり、自社サイトに対する検索エンジンからの評価も向上します。

この点も、調査レポートの制作・活用がリード獲得に効果的だと言われる理由のひとつです。

他コンテンツにも流用できる

三つ目の根拠は、調査レポートの制作で得たデータは、他コンテンツにも流用できるということです。

調査レポートは自社の商品・サービスに関連するテーマでアンケート調査を実施し、その結果をまとめたものでもあるため、調査レポートの制作で得たデータ(根拠)を基に自社の商品やサービス(解決策)をPRする際にも有効活用できます。

そのため、調査レポートの制作で得たデータ(根拠)は、製品資料やノウハウ資料など他のホワイトペーパー制作にも流用できるだけでなく、営業用のパンフレットや提案資料にも活用することができます。

このように、調査レポートの制作で得たデータはマーケティングや営業で活用するさまざまなコンテンツに流用できるため活用の幅が広く、制作費に対する費用対効果が高いことが挙げられます。

調査レポートの制作手順

続いて、調査レポートの制作手順についてご説明します。調査レポートの制作手順はいくつかのステップに分かれています。

調査の対象・目的・テーマを決める

制作手順の一つ目は、調査の対象・目的・テーマを決めることです。まずは、調査レポートの企画全体の概要を決めてから細かい点をつめていくと良いでしょう。

企画全体の概要を決める際には、

  • 誰のための(対象)
  • 何のための(目的)
  • 何を伝えるための(テーマ)
  • 何を促すための(行動喚起)

という4つの問いに対する答えが固まればOKです。

例えば、

  • 誰のための(対象)⇒調査レポートを活用している、またはこれから活用しようとしている企業
  • 何のための(目的)⇒調査レポートの制作を支援しているプロレクト株式会社という会社があることを知っていただく、かつリード情報を登録していただく
  • 何を伝えるための(テーマ)⇒調査レポートを活用したマーケティング施策を成功させるためには、リード獲得後のフォローアップ対応についてもあらかじめ配慮する必要がある
  • 何を促すための(行動喚起)⇒調査レポートの制作・活用についてプロレクトに話を聞いてみる

といった具合です。

概要が決まったら、対象者については、もう少し詳しく決めておきましょう。

例えば、下記の異なる対象者の条件

  • 従業員規模10〜50名の会社でマーケティング部門に属する方300名にアンケートを行いたい
  • 従業員規模500名以上の会社でマーケティング部門に属するマネージャー職以上のポジションの方500名にアンケートを行いたい

では、効果的なアンケート調査の方法も調査にかかる費用も変わってきます。

調査会社の料金体系にもよりますが、一般的には、条件が細かくなればなるほど条件に合致する人を広く探さなければならず、アンケートの費用は高くなる傾向にあります。また、調査対象人数が多くなればなるほど、アンケートの費用は高くなる傾向があります。

調査結果とCTAの仮説を立てる

制作手順の二つ目は、調査結果とCTAの仮説を立てることです。CTAはCall To Action(コール トゥ アクション)の略で、日本語では次の行動を喚起することを指します。

仮説を立てるとは、あらかじめ調査結果の予想を立てて、その予想を基に調査レポートの構成やCTAの内容を決めてしまうことです。調査レポートを制作するにあたり、あらかじめ調査結果とCTAに対する仮説を立てておき、逆算から調査の項目や方法を決めていくことは大切になります。

例えば、先ほどの例の場合、

  • 誰のための(対象)⇒調査レポートを活用している、またはこれから活用しようとしている企業
  • 何のための(目的)⇒調査レポートの制作を支援しているプロレクト株式会社という会社があることを知っていただく、かつリード情報を登録していただく
  • 何を伝えるための(テーマ)⇒調査レポートを活用したマーケティング施策を成功させるためには、リード獲得後のフォローアップ対応についてもあらかじめ配慮する必要がある
  • 何を促すための(行動喚起)⇒調査レポートの制作・活用についてプロレクトに話を聞いてみる

上記を達成するためにはどのような調査レポートが必要かを先に決めてしまい、構成の素案を検討していきます。下記のようなイメージです。

  • 表紙
  • はじめに
  • 調査概要
  • 調査結果①(調査レポートをweb上でダウンロードしている人は多い)
  • 調査結果②(調査レポートを制作した会社のことはよく知らなかった)
  • まとめ(リード獲得施策として調査レポートは有効、ただし、調査レポートを制作した会社のことは知らないケースが多く、フォローアップ対応が必要)
  • グロージング(調査レポートの制作、フォローアップの仕組みづくりはプロレクトにお任せください)
  • 裏表紙 1枚

このように仮説を立てることで、アンケート調査の際にどのような設問項目を用意しなければならないかが明らかになっていきます。

調査方法と調査項目を決める

制作手順の三つ目は、調査方法と調査項目を決めることです。まずは、どのような方法でアンケートを実施するか検討しましょう。

アンケートを実施する際には、

  • 自社が保有しているリストに対してアンケートを実施する
  • リサーチ会社が保有しているリストに対してアンケートを実施する

の2つのパターンがあります。

また、調査の手段としても、

  • Webアンケートを実施する
  • リアル(電話・はがき・対面など)アンケートを実施する

の2つのパターンがあります。

自社が保有しているリストに対してアンケートを実施する場合でも必要な対象から必要な回答数が得られることもありますが、多くの場合には、リサーチ会社が保有しているリストに対してアンケートを実施するケースが多いでしょう。

また、リアル(電話・はがき・対面など)でアンケート調査を実施する場合、費用が高価になるケースが多いですが、Webアンケートでアンケート調査を実施する場合には比較的安価な費用で行うことができます。

Webリサーチの会社には、

FASTASK(ファストアスク)
楽天インサイト
Googleサーベイ

などがあります。

保有リストの特性・費用・アンケートの調査方法の特徴などを比較検討して、どの会社でアンケートを実施するか決定しましょう。

また、調査項目を決める際には、先程立てた調査結果とCTAの仮説を基に具体的な設問を決めていきます。

上記の例であれば、

【設問1】直近の一年で調査レポートをダウンロードしましたか?
【設問2】(「はい」と回答した方のみ)ダウンロードした調査レポートを発行している企業のことは以前から知っていましたか?

といった設問を設計していきます。

アンケートの設問がなかなか決められない、決めてはみたものの不安だという場合には、アンケート調査の実績が豊富な人にアドバイスを求めるのが良いと思います。必要に応じ外部のプロに依頼することも検討しましょう。

調査実施と仮説検証(必要に応じて修正)

制作手順の四つ目は、調査実施と仮説検証(必要に応じて修正)です。いよいよ、アンケート調査を実施します。

アンケート調査を自社のみで実施する場合、アンケート調査の対象者に対してアンケートの受付期間を明確にしておきましょう。アンケート調査会社を利用する場合にも、アンケート結果の回収期間について事前に確認しておいた方がいいでしょう。

アンケート結果が回収できたら、結果を分析しましょう。特に確認すべきポイントは、あらかじめ立てておいた仮説どおりの結果が得られたかどうかです。

仮説どおりの結果が出ていれば、仮説で作ったページ構成やCTAをそのまま活用することができますが、仮説どおりの結果が出なかった場合にはページ構成やCTA自体を見直す必要があります。

レポートにまとめる

制作手順の五つ目は、レポートにまとめることです。アンケート調査で得たデータとデータから得られる考察をページ構成の案に沿ってレポートにまとめていきます。

必要に応じてアンケート調査で得たデータを整理したりグラフ化したりしましょう。調査結果をどのように加工できるのか(クロス集計が簡単にできるのかなど)についても、調査方法を選定する際にあらかじめ確認しておきましょう。

レイアウト・デザインを整える

制作手順の六つ目は、レイアウト・デザインを整えることです。グラフをきれいに整えたり、イラストや図を制作したり、重要な点が読み手側にも伝わるようにメリハリをつけて重要な点がわかるデザインにしたりします。

レイアウトやデザインには、基本と呼ばれる4つの法則があります。下記の4点を押さえておくだけでデザインがグッと良くなると言われています。

  • 近接(Proximity)
  • 整列(Alignment)
  • 反復(Repetition)
  • コントラスト(Contrast)

デザインに関しては、別記事「Webデザインとは?デザインの基本4原則と業務を円滑に進めるためのコツ・留意点」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

完成品をチェックする

制作手順の七つ目は、完成品のチェックです。誤字や脱字がないか、調査データに間違いはないか、グラフは見やすいかなど、完成品をチェックすることを忘れないようにしましょう。

調査レポートを自分で作る場合には問題ないのですが、外部に制作を依頼した場合、調査レポートの完成品はPDFファイルなどで納品されることが多いです。

納品され、検収したあとに完成品の修正を依頼すると追加費用を求められるケースもありますので注意するようにしましょう。

ダウンロード用フォームを用意する

制作手順の八つ目は、ダウンロード用フォームを用意することです。調査レポートが完成して終わりではありません。

調査レポートの閲覧希望者がダウンロードできるようなフォームを用意し、フォームに登録された情報を記録しておくための仕組みや、自動返信メールなどでフォローできるように仕組みを整えておく必要があります。

フォームの作成、フォームに登録した方の情報の管理、フォローアップの仕組みをつくるためには、MA(マーケティングオートメーション)を活用するのが便利です。

MAはもともとマーケティング活動に必要なツールを一つのデータベース上で動くようにしたものですので、フォーム作成やリード管理、フォローアップの機能を兼ね備えたMAツールがほとんどです。

MAについては、別記事「マーケティングオートメーションとは?導入するメリットと使い方をわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

BtoBマーケティングにおける調査レポートの活用例

BtoBマーケティングにおける調査レポートの活用例について、実際の事例を確認してみましょう。

インボイス社の活用例

一つ目の事例は、法人向け一括請求サービスや集合住宅向けインターネットサービスを手掛けているインボイス社です。同社では請求業務に関わるお悩みをお持ちの経理担当者様向けにオウンドメディア「請求ABC」を運営されていらっしゃいます。

同オウンドメディアでは、読者向けにさまざまな調査レポートが用意されており、特定のテーマに興味を持った読者が調査レポートをダウンロードできる仕組みを整えていらっしゃいます。

例えば、

テレワーク導入を進める為のポイントとは?【テレワークに関する実態調査】
働く人「500人へのアンケート」でわかった!進む「請求書の電子化」それに伴って「請求書にまつわるサービス」への需要も高まる

など、自社の商品やサービスに関連するテーマを切り口とした調査レポートを複数用意しており、そのテーマに興味・関心のある方のリード情報の獲得につなげていらっしゃると推測できます。

SATORI社の活用例

二つ目の事例は、MAツールの企画・開発を手掛けているSATORI社です。SATORI社でも、HPやブログの閲覧者向けにさまざまなダウンロード資料を用意しており、特定のテーマに興味を持った読者が調査レポートをダウンロードできる仕組みを整えていらっしゃいます。

例えば、

Digital Trends 2021 ~ マーケターが知っておきたい海外注目の施策3選 ~
国内BtoB企業におけるマーケティング活動実態調査レポート2021

など、自社の商品やサービスに関連するテーマを切り口とした調査レポートを複数用意しており、そのテーマに興味・関心のある方のリード情報の獲得につなげていらっしゃると推測できます。

アマゾン・ジャパン社の活用例

三つ目の事例は、アマゾン・ジャパン社のアマゾン・ビジネス(法人向けサービス)における調査レポートの活用事例です。

BtoCの領域で圧倒的な知名度と利用者がいらっしゃるアマゾン社でも、BtoBの領域においてはリード獲得のためにさまざまなダウンロード資料を用意していらっしゃいます。

中でも、同社が特にターゲットとしてリードを獲得されたいのであろうと想定されるCFOクラスの財務幹部の方向けには、その方々が興味・関心を持ちそうなテーマでの調査レポートを用意していらっしゃいます。

日本CFO協会による調査レポート「間接材コストのマネジメントに関する実態調査とロングテールスペンド管理への示唆」

アマゾン・ジャパン社の活用例のように、業界団体の会員様向けにアンケート調査を実施し、調査レポートを作成するという方法も付加価値の高い調査レポートを作成する上では効果的だと考えられます。

有効活用のためのコツ・留意点

ここまで、調査レポートを制作するメリットや制作手順、活用例について解説しました。ここからは、制作した調査レポートを有効活用のためのコツ・留意点について解説します。

プレスリリースを配信する

有効活用のためのコツ・留意点の一つ目は、プレスリリースを配信することです。

前述したとおり、調査レポートはアンケート調査で取得した客観的データをもとに制作されるため、製品資料などに比べてメディアに取り上げられやすいという特徴があります。そのため、プレスリリースを配信すれば、その分情報が拡散される可能性があります。

情報が拡散されればされるほど、リード獲得効果や被リンクの獲得によるSEO効果が期待できるでしょう。

フォローアップ計画を立てておく

有効活用のためのコツ・留意点の二つ目は、プレスリリースを配信することです。

調査レポートは、商品・サービスそのものではなく関連するテーマに関するアンケート調査をもとに制作されるため、商品やサービスそのものにはまだ興味がない(あるいはまだ認知していない)方にもダウンロードしていただける可能性が高いというリード獲得効果が高い反面、フォローアップしなければ商談に繋がらない方からのダウンロードが多くなってしまうのも事実です。

そのため、あらかじめ調査レポートをダウンロードした方々をどのようにフォローアップしていくか計画を立てておき、フォローの抜け漏れがないようにするのが望ましいでしょう。

フォローアップの手段としては、ステップメールの配信や、人的リソースに余裕があればインサイドセールスのフォローアップ対象に含めてしまうことをオススメします。

見込み客のフォローアップの全体像に関しては、別記事「リードナーチャリングとは?実施するメリットと設計する手順をわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

自社商品やサービスとの整合性をとる

有効活用のためのコツ・留意点の三つ目は、調査レポートの内容と自社商品やサービスの内容との整合性をとることです。

調査レポートをダウンロードした人が調査結果から感じる課題意識に対して、自社商品やサービスでその課題を解決できるということが大切です。

ゴールイメージを固めずになんとなくアンケートを取ってしまったり、調査レポートにまとめてしまうのは悪手です。調査結果から感じる課題意識に対して解決策が提示されていなければ、読み手は「それで?」と感じてしまいます。

また、調査レポートの内容と自社商品やサービスの内容との整合性を取れていなければ、リードを獲得してからフォローアップしたとしても、最終的な成果(売上)に繋がることはないでしょう。

調査レポートを読んだ方が、アンケート結果とCTA(行動喚起)を見たら違和感なく次の行動に進もうと思えるような調査レポートができれば、それはとてもいい調査レポートであると言えるでしょう。

さいごに

本記事では、調査レポートを制作するメリットや制作手順、活用例について解説しました。

調査レポートや調査によって得られたデータはリード獲得のためのコンテンツとして効果的に機能し他コンテンツにも流用できるため、必要に応じて制作を検討してみることをおすすめします。

さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。マーケティングの基礎知識と実践方法を体系的にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。

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