リードナーチャリングを設計する際に抑えるべき7つのポイント

リードナーチャリング(見込み顧客育成)とは、まだまだ十分に買う気になっていない見込み客に対して良い関係を築くためのコミュニケーションを取りながら、自社製品やサービスへの購買意欲を高めるためのプロセスです。

本記事では、リードナーチャリングを設計する際に抑えるべき7つのポイントについてご紹介します。

リードナーチャリングが大切な理由

リードナーチャリングが大切な理由は、商品やサービスを購入するまでの検討期間が長いお客さまに対して、実際に購買活動を行うまでの時期まで忘れられないようにするためです。ナーチャリング(育成)といっても、接点を保つための顧客関係構築の側面が強いかもしれません。

特に、BtoBマーケティングの場合、BtoCと比べ、商品やサービスを購入するまでの検討期間が長くなることが多くなります。そのため、すぐに購入に繋がらないお客さまのフォローについても、あらかじめ計画して取り組む必要があります。

「営業担当者が連絡すればいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。ですが、まだまだ十分に買う気になっていない見込み客のフォローにまでなかなか手が回らないといった声を多く耳にします。それには以下のような理由があります。

    理由1:いますぐ(今期)の売上が必要
    理由2:売ろうとするほど提案活動に時間が割かれる
    理由3:結果、見込み度の低い見込み客のフォローに割く時間がない

このような理由から、あらかじめフォローのための仕組みを整えておかずに営業担当任せにしてしまうと見込み客のフォローが後回しになり、結局フォローされずに、各担当者の引き出しに名刺が眠ったまま、といった状態になりかねません。

そのため、過去に失注した見込み客や展示会やHPの資料請求から獲得した名刺情報を継続的にフォローできる仕組み(リードナーチャリングの仕組み)を整えておくことが大切です。

リードナーチャリングを設計する際に抑えるべき7つのポイント

リードナーチャリングを設計するためには、いくつか抑えるべきポイントがあります。ここからは、リードナーチャリングを設計する際に抑えるべき7つのポイントについてご紹介します。

リードの一元管理

一つ目のポイントは、リードの一元管理です。リードの一元管理とは、リード情報を施策や分析に活用できるように一つのデータベースにとりまとめて管理することを指します。リードの一元管理を行うことは、見込み客のフォロー漏れを減らすことにつながります。また、見込み客の状況に合わせたアプローチ(One to Oneマーケティング)を実施するためにも重要になります。

リードの一元管理に取り組む際に、Excelによるリードの一元管理で十分対応できると思うかもしれません。しかし、情報の入力性、拡張性、通知性などの問題から、営業部門やマーケティング部門といった組織体でリードの一元管理に取り組む上では、Excelでは限界が生じてしまいます。できれば、初期のタイミングから顧客管理システム(MA、SFA、CRMなど)の利用について検討しておいた方が良いでしょう。

セグメンテーションの設定

二つ目のポイントは、セグメンテーションの設定です。セグメンテーションとは、属性情報(業種、部署、役職、住所、売上高、従業員数など)や行動情報(Webサイトへのアクセス履歴、インターネット使用時間、商品・サービスの購買履歴など)などの切り口を活用し、一元管理したリード情報を分類分けすることを指します。リードナーチャリングを実施するためには、各セグメントに対してそれぞれ適切なコミュニケーションを設計していく必要があります。

セグメンテーションを設定する際には、「製品やサービスを購入してくれる可能性があるのか、そうではないのかを判断するためには、どんな情報があれば判断できるか」を考えてください。製品やサービスを購入してくれる可能性が高いのか低いのか、セグメンテーションから判断できるのが望ましいです。

また、設定したセグメンテーションの切り口の中に、どのくらいの見込み客がいるか、コミュニケーション対象の母集団についても確認しておくようにしましょう。十分な見込み客の数がいない場合には、セグメンテーションの切り口を変更(もしくは緩和)することも検討してみましょう。

ステージの設定

三つ目のポイントは、ステージの設定です。ステージの設定とは、リードナーチャリングのコミュニケーションから良い結果(商談や受注につなげる、など)を生むまでの階段を設計する、ということです。

設定したセグメンテーションの基準を満たしている見込み客であっても、あなたの会社の製品やサービスを理解して好意を抱いている方もいれば、抱いていない方もいると思います。

見込み客の状態を判断するためのステージを用意しましょう。カスタマージャーニーマップを作成し、カスタマージャーニーマップで示した購買プロセスに連動したステージを用意する(例:認知→興味・関心→比較・検討→購入)という方法がオススメです。

各ステージに移る条件の設定

四つ目のポイントは、各ステージに移る条件の設定です。リードナーチャリングの成果は、ステージと各ステージに移る条件の設定をしておけば判断できるようになります。

例えば、上記のカスタマージャーニーの図を例に取れば、個別相談会への参加や、導入事例の閲覧などの条件を満たしている見込み客は「比較・検討」のステージにいる、といった具合です。

また、各ステージに移る条件を設定する際には、その条件に移行した見込み客が検知できるような仕組みを整えておきましょう。上記の例であれば、個別相談会への参加申込みがあった場合に通知で確認できるようにしておく、導入事例を閲覧した場合にも通知で確認できるようにしておくということです。

見込み客の行動を検知するためには、MAやMAのスコアリング機能を活用するのも便利です。また、個別相談会への申込みや資料ダウンロードの際のフォームの設問項目でBANT条件を入力してもらい、その内容で判断する、といった方法もオススメです。いずれにしろ各ステージに移る条件をあらかじめ明確にしておくことが大切です。

提供する情報の設定

五つ目のポイントは、提供する情報の設定です。各セグメンテーション、各ステージにいる見込み客に対して、どのような情報を提供し、次のステージに態度変容させていくのかを決めます。

各セグメンテーション、各ステージによって、適切な情報とは何かの判断が難しいところですが、考え方としては、自社製品やサービスへの購買意欲を高めていくために、利用メリットの理解度(高)×課題解決の緊急度(高)の状態へ促していくことが大切です。

利用メリットの理解度を高めるためのコンテンツ例としては、導入事例や活用ノウハウなどがあげられます。また、課題解決の緊急度を高めるためのコンテンツ例としては、競合他社の事例やインシデント情報、キャンペーン情報などがあげられます。

接点を持つ頻度の設定

六つ目のポイントは、接点を持つ頻度の設定です。接点を持つ頻度やタイミングに関しては、正直相手次第かなと思っています。極端な話、必要な情報であれば毎日欲しいし必要なければ月に一回の連絡でも必要ないということになりかねません。そのため、大前提として相手にとって必要な情報(少なくとも、嫌がられない情報)を提供することを心掛けましょう。

ただ、頻度の目安としては、まずは二週間に一度くらいを目安にはじめてみることをオススメしています。相手に忘れられないようにするためにも、まずは二週間に一度のペースでメルマガ配信などを行い、顧客との接点を保ちましょう。その上で反応をみながら接点の頻度を変えていきましょう。

KPIの設定

七つ目のポイントは、KPIの設定です。KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、目標の達成度合いを計測するための定量的な指標のことを指します。

ここまでのポイントを踏まえれば、リードナーチャリングを通じてどのくらいの商談を生み出すか、中間目標として各ステージにどのくらいの見込み客を転換させていくかといった目標を立てることができると思います。

リードナーチャリングを設計する際には、リードナーチャリングから生み出す目標(商談数や受注数など)を定め、その目標を達成するために必要なKPI(各ステージ間の転換率の改善や、ナーチャリング対象数の増加、など)を定め、計画的にリードナーチャリングに取り組めるようにしましょう。

さいごに

本記事では、リードナーチャリングを設計する際に抑えるべき7つのポイントについてご紹介しました。

リードナーチャリングの取り組みは、新規の見込み客のフォローを目的、既存顧客のフォローを目的、どちらの場合であっても目的に合わせて相手と適切なコミュニケーションが取れるように設計していきましょう。また、リードナーチャリングの取組みは一度設計したら終わりではなく、効果測定と改善を繰り返しながら継続的に相手とのコミュニケーションの質を高めていくことを念頭においておきましょう。

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