新規開拓営業を効率的に実施するための準備と成果をあげるための7つの手順

「新規開拓営業をするにも、何から始めたらいいかわからない」
「テレアポや飛び込みを行ったけれども、担当者と話すことすらできなかった」
「既存顧客を回るのに比べ、新規開拓営業は効率が悪いと感じる」

新規開拓営業に対してこのような思いを持つ方も多いのではないでしょうか?

新規開拓営業は、人によって認識に差があるのが現状です。しかし、企業が安定的に売上を増やし成長していくためには、新規顧客との取引を増やしていくことが必要です。

本記事では、新規開拓営業を効率的に実施するための準備と成果をあげるための7つの手順について、わかりやすく解説します。

新規開拓営業とは

新規開拓営業とは、新規の取引顧客を開拓するための一連の営業活動のことです。

新規取引の可能性のある見込み客に対して、まずは自社の商品やサービスを知ってもらい、興味を持ってくれた相手と商談を行い、受注へとつなげる、その一連の営業活動が新規開拓営業と呼ばれます。

既存営業との違い

既存営業とは、既に自社と取引がある顧客に対して行う営業活動のことです。ルート営業と呼ばれることもあります。既存営業は新規開拓営業とは違い、既存顧客に対して信頼関係を維持することや、新製品や別製品のアップセル・クロスセルの提案を行い、売上を最大化することが目的となります。

既存営業は新規開拓営業とは異なり、既存の取引相手がアプローチ先となるため、比較的すぐに商談をはじめることができます。また、既存顧客にアプローチするため新規開拓営業とは異なり、担当者と話すことすらできないということはほぼありません。

ただし、既存顧客からの売上をどのくらい向上させることができるか、という点については当然相手の懐事情にもよりますので、必ずしも追加で買ってくれるとは限りません。

新規開拓営業が必要な理由

既存顧客に対して信頼関係を維持することや、新製品や別製品のアップセル・クロスセルの提案を行うことは大切です。既存営業が必要ないという訳ではありません。

しかし、それでも既存顧客との取引が永続的に続くとは限らず、競合製品への乗り換えが発生してしまう、あるいは顧客の企業自体が倒産してなくなってしまうことも有り得ます。企業が安定的に売上を増やし成長していくためには新規開拓営業を行い、新規顧客との取引を増やしていくことが必要です。

ただし、新規開拓営業の必要性を認識している企業は多いものの、企業側のセキュリティ意識も向上しており、一方的なテレアポや飛び込み営業では、商談や受注どころかもはや担当者と話すことすら難しいのが現状です。

そのため、商談につながるリード(見込み客情報)を0→1から獲得してくる取り組みであるリードジェネレーションや、リードジェネレーションで獲得したリードを商談につながるタイミングまで継続的にフォローし関係を築いていくリードナーチャリングをいかに効率的に行うことができるかが、新規開拓営業を効率的に実施する上で重要になります。

新規開拓営業を効率的に実施するための準備

新規開拓営業を効率的に実施するための準備として、以下の3点を実施できるようにしておきましょう。

成果指標を決めておく

一点目は、成果指標を決めておくことです。成果指標は、KPIやKGIと呼ばれることもあります。

成果指標の例としては、新規顧客からの受注件数や受注金額、提案書提出数やアポイント獲得数などがあります。新規開拓営業を行う際には、あらかじめ成果目標や成果指標を決めておき、関係者間で共有しておくことが大切です。

また、新規開拓営業は既存営業に比べ、初回アプローチから商談につながる割合が大きく下がることが一般的です。そのため、架電数、アポイント獲得数、訪問数、商談数など、必要に応じてより行動レベルのKPIまで細かく設定した方が良い場合もあります。

KPIやKGIに関しては、別記事「KPIとは何か?KGIとの違いやKPIの適切な設定方法とは?」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

リード情報を一元管理しておく

二点目は、リード情報を一元管理しておくことです。リード情報とは、リードジェネレーションの取り組みによって獲得した見込み客情報のことです。

リード獲得の経路は施策によってさまざまですが、獲得したリード情報は一つのデータベースに一元管理しておきましょう。情報を施策や分析に活用できるように管理することは潜在顧客・見込み顧客を最適な形でフォローするためにとても重要になります。

リード情報の一元管理に関しては、別記事「リード管理が必要な理由とは?リード管理が果たす役割や成功させるポイントについて解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

リード情報を関係部門で共有しておく

三点目は、リード情報を関係部門で共有しておくことです。営業やマーケティングがアプローチできるリード数は何件くらいあるのか、今月商談につながる可能性のある見込み客の数はどのくらいあるのかなど、顧客管理を実施し、リード情報を関係部門で共有しておくことが大切です。

営業やマーケティングが見込み客にアプローチするために必要な情報を適切に管理し、それぞれの顧客にあった情報を提供することができれば、顧客との良好な関係を長期的に継続することや、ビジネスを大きくスケールさせることにつながります。

小規模な特定のプロジェクトだけで活用する場合などには、Excelやスプレッドシートによる顧客管理で十分対応できる可能性もありますが、中長期的な顧客管理の観点からいうと、入力性、拡張性、通知性の問題が発生してくるためExcelやスプレッドシートでの顧客管理はあまりおすすめできません。

顧客管理を行うためには、MASFA、CRMなど顧客情報のデータ蓄積を行うためのシステムを早いタイミングから活用することをおすすめします。

顧客管理システムに関しては、別記事「顧客管理とは?顧客管理システムの種類やシステム導入時の注意点について」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

新規開拓営業の成果をあげるための7つの手順

続いては、新規開拓営業の成果をあげるための7つの手順について解説します。

既存顧客を分析する

一つ目の手順は、既存顧客を分析することです。

既存顧客を分析することで、顧客にはどのような特徴があるのか、つまり、どのような特徴を持っている見込み客が顧客になりやすいかという傾向を把握することができます。

例えば、業種、業態、従業員規模、売上規模、担当者の職種、役職、抱えていた課題、自社商品を選んだ決め手など、さまざまな切り口で既存顧客を分析することで、顧客になりやすい見込み客がどのような特徴を持っているのか、徹底的に分析して理解を深めておきましょう。

顧客になりやすい見込み客に対し、その方々が自社商品を選んでくれた理由を当てていくことができれば、新規開拓営業の成果は劇的にあげやすくなります。

業種、業態、従業員規模、売上規模、担当者の職種、役職、抱えていた課題などの傾向を分析することは、新規開拓営業のアプローチ対象を絞り込む際のSTP分析に利用することができます。

STP分析に関しては、別記事「STP分析とは?分析のやり方についてわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

また、顧客になってくれた企業が競合他社の商品ではなく自社商品を選んだ決め手を把握することができれば、自社商品のバリュープロポジションを明らかにすることにつながります。バリュープロポジションとは、「お客さまがあなたのサービスを購入すべき理由」のことを指します。

“バリュープロポジションに関しては、別記事「バリュープロポジションとは?その意味と作り方をわかりやすく解説します(https://btobmarketing-textbook.com/value-proposition/)」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。”

バリュープロポジションに関しては、別記事「バリュープロポジションとは?その意味と作り方をわかりやすく解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

自社が強みを出すことができるSTP、そしてバリュープロポジションを見つけることは、新規開拓営業を効率的に行うことを考えれば必要不可欠なことです。

アプローチ対象のリスト作成

二つ目の手順は、アプローチ対象のリスト作成です。

新規開拓営業を効率的に実施するためには、受注率の高い見込み客を絞り込み、精度の高いアプローチ対象のリスト作成することと、アプローチを実施しても枯渇しないだけの十分なリスト量が必要です。

一つ目の手順で受注率の高い見込み客の傾向を掴むことができたら、その対象を中心にアプローチ対象のリストを作成しましょう。

まずは、自社が既に保有しているリード情報の中に、対象数がどのくらいあるのかを把握します。対象数が十分であればそこからリストを作成しましょう。十分なリスト量が確保できない場合には、追加のリードジェネレーション施策を検討する、あるいは企業リストの購入を検討すると良いでしょう。

アプローチ対象の絞込み

三つ目の手順は、アプローチ対象の絞込みです。

新規顧客開拓営業は、マーケティング担当、インサイドセールス担当、営業担当などの関係部門が連携して実施することがほとんどです。

一つのトラブルが関係部門全体に及ぶことがあるため、アプローチすべきではない対象(対象外の企業はもちろん、現在提案中の企業や、過去にトラブルがあった企業など)をあらかじめアプローチ対象のリストから除外しておき、未然にトラブルを防止することが重要です。

そのため、前述したとおり、リード情報を関係部門で共有しておくことが大切です。アプローチすべきではない対象の情報はリアルタイムでアップデートされる可能性があるため、リアルタイムで更新した顧客情報が反映され、確認できる顧客管理システムの導入をおすすめします。

ヒアリングによるスクリーニング

四つ目の手順は、ヒアリングによるスクリーニングです。

リストアップした企業にアプローチし、商品やサービスの購入に関する検討動向をヒアリングして把握し、商談の依頼をするのに適切なタイミングかそうでないかのスクリーニングを行います。

ヒアリングによるスクリーニングを行う際には、BANT条件(BANT-CH条件)をヒアリングするようにしましょう。

BANT-CH条件とは、

  • Budget(予算)
  • Authority(決裁フロー)
  • Needs(ニーズ)
  • Timeframe(導入時期)
  • Competitor(競合相手)
  • Human resources(人的資源)

の頭文字を取った言葉で、商談を進めるために必要な要素をとりまとめたものです。

BANT条件(BANT-CH条件)をヒアリングすることによって、見込み客(または顧客)の意見や要望、あるいは状況、そして有効商談に繋がるかどうかの確度を明らかにしていきます。ヒアリングによるスクリーニングを通じて、商談の依頼をするのに適切なタイミングか判断し、商談につなげていきましょう。

BANT条件(BANT-CH条件)に関しては、別記事「BANT条件(BANT-CH条件)とは?法人営業におけるヒアリングの代表的なフレームワーク」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

ヒアリングによる情報のアップデート

五つ目の手順は、ヒアリングによる情報のアップデートです。

BANT条件(BANT-CH条件)をヒアリングすることは、商談の依頼をするのに適切なタイミングか判断するだけではなく、具体的な提案、そしてクロージングするために足りない要素も同時に明らかにすることにも繋がります。

ヒアリングによってBANT条件(BANT-CH条件)を含めた顧客情報のアップデートすることを心がけましょう。新規開拓営業のKPIを工夫して、アポイントの獲得数でなく情報のアップデート数を追うようにすると、確度の低い商談の発生を防いだり、アプローチリストの疲弊を防いだりすることができます。

目標に対するフィードバック

六つ目の手順は、目標に対するフィードバックです。

あらかじめ定めた目標(成果指標)が達成されたのかどうか確認し、達成の可否と、達成のために適切な目標設定であったのかをフィードバックします。目標(成果指標)とは、新規顧客からの受注件数や受注金額、提案書提出数やアポイント獲得数などのことです。

目標(成果指標)を達成するための取り組みを評価する際には、ファネル分析ボトルネック分析を行ってみると良いでしょう。

ファネル分析を行うことで、各プロセスに移行する際の離脱ポイントを把握したりCVR(コンバージョン率)向上のための対策を検討することができるようになります。また、ボトルネック分析を行うことで、ボトルネックとなっている業務やその原因を特定することができるようになります。

ファネル分析に関しては、別記事「ファネル分析のやり方とコツ|限られた経営資源で最大の付加価値をあげる方法」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

ボトルネック分析に関しては、別記事「ボトルネックとは?ボトルネックの見つけ方、解消方法についてわかりやく解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

目標に対するフィードバックのステップを含めることによって、新規開拓営業を効率的に実施することができたかどうかの検証と、より効率的に実施するためのPDCAを回すことができるようになります。

PDCAに関しては、別記事「【PDCAの基本】失敗しないポイントやメリット・デメリットを徹底解説します」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

成功パターン・ナレッジの共有

七つ目の手順は、成功パターン・ナレッジの共有です。

新規開拓営業を効率的に実施できるようにするためには、新規開拓営業の活動における成功パターンやナレッジの共有を行い、新規開拓営業の活動を組織的に考えて改善していく、という組織営業の考え方が大切です。

組織営業とは、営業活動における成功パターンやナレッジの共有を行い、成果につながる活動はできるだけ高いレベルで標準化してしまい、営業活動のムリ・ムダ・ムラ(3M)をできるだけ取り除いていこうという考え方です。

精度の高いアプローチ用のリストを作成・準備することができたとしても、一人当たりの営業担当者が一定期間の間にアプローチできる見込み顧客の数は限られてしまいます。

そのため、できるだけ精度の高いアプローチ用のリストを作成・準備することと同様に、できるだけ精度の高いアプローチ方法でアプローチすることが大切になります。そのためにも、成功パターン・ナレッジの共有の仕組みを持つことが大切になります。

組織営業に関しては、別記事「組織営業とは?営業活動を組織的に可視化(見える化)する7つのメリット」に詳しくまとめております。あわせてご覧ください。

さいごに

本記事では、新規開拓営業を効率的に実施するための準備と成果をあげるための手順について解説してまいりました。

新規開拓営業を効率的に実施するための準備とは、もっとわかりやすくお伝えすれば「既に買ってくれている実績のある顧客と同様の層にアプローチをすること」であり、成果をあげるための手順とは「既に買ってくれている実績のある顧客が評価してくれたポイントと同様の価値を提案すること」と言い換えることもできます。

新規開拓営業は、手間も時間もかかりますが、あらかじめ勝ち筋を導き出した上で取り組むことができれば、成果も目に見えて上がるようになりますし、つらい業務ではなくなります。

新規開拓営業が、企業が安定的に売上を増やし成長していくためには避けては通ることができないものであるならば、効率的に実施して成果を上げることができる業務へと、組織的に変えていきましょう。

さいごになりますが、当社ではBtoBマーケティングの業務に役立つお役立ち資料を複数ご用意しております。法人営業やマーケティングに関する基礎知識と実践方法を体系的にまとめたお役立ち資料などもご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。

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